「C Space」は展示を見る場ではなく、意思決定の裏側を知る場
CESの会場は、大きく分けてLVCC Campus、Venetian Campus、そしてC Space Campusの3つで構成されています。しかし、日本からの出張者は、LVCC CampusとVenetian Campusのみを訪問し、そのまま帰国されている方も少なくないのではないでしょうか。
メディア、広告、制作会社、エンターテインメント企業に関わる方にこそ、ぜひ足を運んでいただきたいのがC Space Campusです。
C Space Campusは、メディア、広告、デジタルマーケティング、ブランドコミュニケーションといった領域が混ざり合うことを前提に設計された空間です。CES2026を読み解くうえで、このC Space Campusを軸に据えることには、極めて重要な意味があります。何より、ここにはカンヌライオンズやアドバタイジングウイークに登壇するような業界の重鎮が、例年数多く集まります。
C Space Campusは、一般的な展示会を想像して訪れると、少し戸惑うかもしれません。オープンに立ち寄れる企業ブースは多くなく、アドテク、マーケティングテクノロジー企業の多くは、ARIAホテル内のスイートルームを拠点に、招待制の個別商談を行うスタイルを採っています。
LVCC Campusには、現在の重要クライアントはもちろん、次に狙う新規開拓先となる企業も数多く出展しています。そこで関係性を確認したうえで、落ち着いた環境のC Spaceに移動し、非公開の場で具体的な条件交渉や戦略的な議論を深める。この導線が確立されている点に、C SpaceならではのBtoB色の強さが表れています。
一方で、C Space Campusで行われる各種セッションは、日本からの来場者にとって極めて有益な内容が揃っています。Walmart、Targetをはじめとするリテールメディア、家電量販店のBest Buyなど、クライアント側の登壇者が具体的な実例や2026年に取り組むリアルな課題を率直に語っています。展示を見る場ではなく、意思決定の裏側や次の打ち手を知る場──それがC Space Campusの最大の魅力と言えます。
C Spaceの「C」とは何か
主催者は、C Spaceの「C」について公式サイト上で明確な定義を示していません。しかし、通信と放送の融合を語る文脈でも、広告やクリエイティブの世界でも、あるいは企業広報や企業広告の現場でも、「C」を頭文字とする言葉は、これまで数多く使われてきました。Communication、Creative、Corporate Communication──それらを包括した概念として、筆者はこの「C」を理解しています。
C Spaceを訪れる人々は、それぞれ異なる「自分なりのC」を頭に思い描きながら会場を歩いているはずです。それでも、Campus内で交わされる会話は、不思議なほどスムーズに成立しています。その理由は、C Spaceが「Cの定義を揃える場所」ではなく、「Cの違いを前提に共存する場所」、すなわち「Crossroad(交差点)」だからではないでしょうか。
