本当にユーザーを尊重すれば、「あえてメッセージを送らない」という選択肢も出てくるはず
――Brazeは「人間らしさ」「共感」をキーワードに掲げています。技術や製品でどのように実現するのでしょうか?
Magnuson:いくつかのアプローチを進めていますが、その1つが、瞬時のレスポンスの実現です。新しいデータが入ってきたら、適切なチャネルで適切なメッセージを打つ――これをBrazeで実現できます。
マーケティングでは、わずか数秒の遅れがユーザー体験を大きく左右します。ベンダーによっては「リアルタイム」という言葉を使いますが、我々はリアルタイムは当然で、さらに適切なコミュニケーションができるという意味で「インタラクティブ」という表現をしています。
――インタラクティブなコミュニケーションについて、具体的にはどのようなものをイメージすればよいでしょうか?
Magnuson:アプリ内、Webサイトとチャネルに関係なく、ユーザーのジャーニーを柔軟にパーソナライズできるのはもちろん、匿名のユーザーに対してもパーソナライズは可能です。これはアクティベーション段階で非常に有効な機能です。
たとえば、花屋のWebサイトを訪問した顧客に2枚の画像を表示するとしましょう。1枚は美しい花束の写真を、もう1枚はキャンペーン内容の告知画像です。このどちらをクリックしたかで、匿名の顧客が美しい花束に惹かれたのか、割引に惹かれたのかがわかります。匿名のままでも、それをもとにオファーを出し、最終的にコンバージョンを図ることができます。
これまでマーケティング活動の多くでは、シンプルなデータモデルが使われてきました。ユーザーが何かをクリックすると他のページにいっても同じ製品がずっと表示されるというのは、このデータモデルによるものです。こうした事態を回避するためには、包括的に顧客を理解する必要があり、テクニカルに落とすと、柔軟性のあるデータモデルが必要です。
そのユーザーにとって大事なものは何か、何に夢中になっているのか、何が響くのかなどを包括的に理解するためには、ユーザージャーニーの間でどのような変化が起きているのかを理解し、それに合わせる必要があるのです。
Hyman:もう1つ、Brazeではメッセージを送るべきではない時も判断します。ユーザーが順調にジャーニーを進めている時には、あえてメッセージを送らない。ユーザーを尊重し、邪魔をしない。これも、顧客を包括的に理解しているからこそできることです。
たとえば、花のデリバリーサービスでは、母の日の前にプロモーションのメッセージを送っていいかを尋ね、オプトアウトできるようにしました。全ての人の母親が存命とは限らないという配慮からです。また、あるニュースサービスでは、一定期間政治ニュースを受け取りたくないという人がいる可能性を受けて、オプトアウトしたいか尋ねることをやろうとしています。
しばらくWebサイトを訪問していない、メールを開封していないユーザーに対しては、今後もメッセージを受け取りたいかを尋ねることもできます。そのメッセージすら開かないのであればストップする――これは、ユーザーを尊重してユーザーの声に耳を傾けるということにつながります。