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成長の鍵は「価値ある体験の持続的な提供」、ビューティー業界のリーダーたちが語る技術革新と顧客体験

 米国NYで1月に開催されたNRF2025 Retail's Big Showでは、ビューティー業界のリーダーたちが各社のビジョンと取り組みを語り合った。顧客体験の強化と利益の最大化に焦点を当て、かつてないほどの速さで進化を遂げる様子をレポートしたい。

新たな時代の幕開け

 ビューティー業界は常に変革と革新の波にさらされている。そして、2025年1月に実施されたNRF2025 Retail's Big Show(以下、NRF)では、業界リーダーたちが今後の方向性について明確なビジョンを打ち出し、かつてないほどの速さで進化を遂げていることが明らかになった。それらは、どのようにして顧客の体験を強化し、利益を最大化するのかに焦点を当てられていた。特に、消費者が求めているのは単なる製品ではなく、彼らが真の価値を感じられる全体的な体験であることが重要視されていた。

 消費者の欲求は形を変え、物質的な欲求から体験、価値観、そしてコミュニケーションへとシフトしている。このような背景の中で、企業はどのようにして永続的な関係性を築き、信頼を得続けることができるのか再考を求められている。同時に、技術革新は避けられない変数であり、それをどう活用して競争優位性を確保するかが試練となる。

 市場がこのように進化を続ける中で、成功を収めるためには、革新的な戦略と実践が不可欠である。本稿では、NRFで語られたベストプラクティスを実現している企業の具体事例を紹介する。

ベストプラクティスを追求する企業たち

Bath & Body Works:CTOが語る顧客体験

左からBath&Body Works CTO Thilina Gunasinghe氏、KPMG Sam Ganga氏:NRF提供
左からBath&Body Works CTO Thilina Gunasinghe氏、KPMG Sam Ganga氏:NRF提供

 Bath & Body Works(ボディケアやフレグランス製品を販売する人気ブランド)は、デジタルトランスフォーメーションを通じて市場での地位を強化している企業の一つだ。彼らは、AI技術を活用した供給チェーンの効率化を図り、商機を最大限に生かしている。この取り組みについて、同社CTO Gunasinghe氏は「AIは多くの業界における破壊者であり、私たちの業界においても同様だ。AIを活用することで、顧客体験をより豊かにし、パーソナライズされたコンテンツを生成し、体験を没入型にできる」と語った。

 AIを用いることで販売予測の精度が格段に向上し、その結果、在庫管理が最適化され、消費者のニーズに迅速に応答可能となった。また、顧客データの分析を駆使して、パーソナライズされた製品提案やキャンペーンを展開することで、より深い顧客関係の構築に成功している。

 さらに、バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)を駆使した新サービスは、店舗での体験価値を一層高め、オンラインとオフラインの境界を効果的に無くしている。Gunasinghe氏は「私たちはARやVRを活用し、店舗での体験価値を一層高めている」と紹介した。

Sephora:AIと人間の接客バランスを重視

Sephora 米国CEO Artemis Patrick氏:NRF提供
Sephora 米国CEO Artemis Patrick氏:NRF提供

 一方、Sephora(セフォラ:コスメやスキンケア製品を揃えたビューティー専門店)は店舗での対面接客に力を入れている。北米プレジデント兼CEOのArtemis Patrick氏によれば、セフォラのコア競争力は非コミッションベースの熟練スタッフを育成し続けることにある。パトリック氏は「AIと人間の接客のバランスを取りつつ、デジタルセンサーを用いたスキンケア診断や個々の顧客ニーズに応じた製品提案を行うことがセフォラの独自性を形作っている」と語る。

 店舗では顧客が参加可能なイベントやワークショップも充実し、顧客体験の底上げに寄与している。このように、セフォラは単なる化粧品販売を超えて、顧客にとっての信頼されるビューティパートナーとして確固たる地位を築いている。

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この記事の著者

岡本 静華(オカモト シズカ)

電通デジタル トランスフォーメーション部門トランスフォーメーション事業部 マネージャー
コマース会社の設立・経営後、2017年に電通デジタルに入社。顧客体験設計のプランニングを中心としたDXコンサルティング業務に従事。リアル店舗を保有する企業のDX戦略策定から、顧客視点・従業員視点に立脚した体験価値の構築まで幅広く実行。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/04/11 09:30 https://markezine.jp/article/detail/48819

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