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コロナ禍で変わったこと・変わらないこと

五輪開催に合わせた壮大な構想が白紙に…迅速なDXで3万人規模のウェビナーを成功させたNECの今と未来

 本連載では、コロナ禍においてもビジネスを成長させ続ける一流企業のマーケターを招き、各社が今描いているコミュニケーション戦略や、デジタル・リアル・それらを組み合わせたハイブリッド形式で取り組んだ施策をうかがいます。聞き手を務めるのは、ブランドコミュニケーションの支援を担うALPHABOATの鈴木睦夫さん。P&Gや日本コカ・コーラなどにおいて、コミュニケーション戦略を推進してきた自身の経験を踏まえつつ、時代に取り残されないコミュニケーション戦略のヒントを引き出します。第2回のゲストは、NECの東海林さんと茂木さんです。

メモリアルイヤーになるはずだった2020年

鈴木:この3年間は多くの企業がコロナに振り回されてきましたね。最初は「3年も経てば完全に落ち着くはずだ」と思っていましたが、2019年の暮れに立てた3ヵ年計画にはないことばかりが起きました。コロナ禍を迎える以前、御社ではどのようなマーケティングプランを立てていたのでしょうか。

ALPHABOAT General Manager, Marketing 鈴木睦夫さん
ALPHABOAT General Manager, Marketing 鈴木睦夫さん
1988年にP&Gでキャリアをスタート。NTT/IMJ/コカ・コーラと一貫してマーケティングおよびデジタルマーケティング領域を歩んだのち、2015年に日本郵便へ転じる。DM市場拡大をミッションに、デジタルとアナログを組み合わせる有用性と最適解を3年半に亘って発信。DMに限らず、全てのプリント技術とマーケティングを結びつけて活動をブーストすることを目指し、2018年7月に独立。イーリスコミュニケーションズの共同設立に参画する。2020年4月、全てのマーケティングソリューションと等距離を保ちながら、真のオムニコミュニケーションを実現することを目的に、オムニコミュニケーションコンサルティングオフィスのCEOとして活動を開始した。2021年10月、マーケティング担当のGMとしてALPHABOATに参画。

東海林:2019年、当社では開催を翌年に控えた東京五輪に向けて、インバウンドをターゲットとしたマーケティングプランを練っていました。海外から日本へ来られる方々に、生体認証をはじめとしたNECのソリューションを提供する狙いです。「少し先の未来の暮らし」というビジョンの実現に向けて、マーケティング施策を数多くセットしていました。

NEC IMC統括部 マーケティングシニアディレクター 東海林直子さん
NEC IMC統括部 マーケティングシニアディレクター 東海林直子さん
NEC入社後、通信ネットワーク系の代理店販売業務を担当し、ユーザーコミュニティを立ち上げ。その後、法人向けインターネットサービス(BIGLOBEビジネス)で新サービス企画および営業支援を担当。2004年からは市場リレーション推進部門にてメールマーケティングをベースとした全社マーケティング活動を開始。現在は、IMC統括部でオウンドメディア、外部メディア、 リアルイベントなどの様々なタッチポイントとMA、SFA、インサイドセールスを連動させたマーケティング施策実行を統括。

茂木:日本全体をショーケースとし、ジャパンメイドのテクノロジーを体感していただく構想でした。海外の方から見ると、NECはコーポレートブランドがそこまで強いわけではありません。だからこそ東京五輪をフックに、グローバル規模でブランドの強化を図る考えがあったのです。

NEC IMC統括部 ディレクター 兼 AI・アナリティクス事業統括部 茂木崇さん
NEC IMC統括部 ディレクター 兼 AI・アナリティクス事業統括部 茂木崇さん
1999年NEC入社。金融機関システムのSE、先進技術を活用したマーケティング領域のビジネス企画に従事。現在は、NEC全体のDXに関するブランディングやプロモーションの企画・推進、DXのエバンジェリスト活動に従事。ICTベンダーとしての枠にとらわれず、テクノロジーを活用したお客さまとの"共創"を目指す。

鈴木:なるほど。2020年は御社にとってメモリアルイヤーになるはずだったのですね。

東海林:そのはずが、コロナ禍に突入してしまいました。五輪の開催を前に、国内外でフィジカルイベントへの出展を予定していたのですが、それらも軒並み中止です。五輪の開催も延期が決まり、ショーケースの構想はすべて白紙に戻りました。

鈴木:激動の2020年初頭をどう乗り越えたのですか?

東海林:オンライン化に向かって早急に動き始めました。2020年7月には、BtoB領域のイベントマーケティングを完全にデジタル化。当時は社内にオンラインイベント運営の知見がなかったものですから、ALPHABOATさんに支援していただきながら進めたのを覚えています。

初開催のオンラインイベントにのべ3万人が参加

茂木:お客様側にも変化がありましたよね。営業が提案しに来る環境から、お客様自ら情報を取りにいく環境へと変わったためです。その影響もあってか、初回のオンラインイベントにはのべ3万名の方に参加いただきました。

東海林:1つのセッションを約3,000名の方が視聴してくださったんです。リアルイベント開催時の3倍にあたる新規リード数を獲得できた一方、興味本位で視聴されている方もいらっしゃるため「数だけではない」ということに改めて気づかされました。その気付きを踏まえて、2022年は「誰に何を何のために届けたいのか」をより深く考えるようになりました。

 お客様にわざわざ足を運んでいただき、企業が一方通行の説明を行うリアルイベントについては、やり方を見直す必要があるのではないでしょうか。ラウンドテーブルのように、車座になって参加者同士が会話できる形態のほうが、参加者に「時間をつかう価値がある」と感じてもらえると思います。

茂木:お客様の役割やお肩書きによって、求めているコミュニケーションの形態は違うはずです。たとえばトップ同士が交流できる場をつくったり、あえて違う業界の方々を集めて新しい発見の場をつくったり、今後も工夫を重ねていくつもりです。

鈴木:今後リアルが回帰したとしても、ビフォーコロナの状態にそのまま戻るわけではないと思います。リアルあるいはハイブリッド開催の必然性と提供価値を定義しなければ、KPIも正しく設計できませんよね。何が正解かはまだ誰にもわかりませんが、考え続ける姿勢が求められると思います。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/02/09 09:00 https://markezine.jp/article/detail/41207

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