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花王廣澤氏が若手視点で聞く、これまでとこれからのマーケティング

これからの広告主×データ×広告のあり方とは【日本マイクロソフト有園氏×花王廣澤氏対談】

広告主もファーストパーティデータを持つべき?

廣澤:広告主がサードパーティデータに依存したデジタルマーケティングに危機感を覚える相当前から、海外プラットフォーマーはいち早くファーストパーティデータを取得する動きを進めていたのですね。

 このファーストパーティデータを取得する動きは、広告主の間でも進んでいると思います。D2Cブランドがファーストパーティデータを持つ企業をハックしたり、自社ECへ集客したりしながら急成長したことで、大企業も自社ECや会員サイトをローンチしてファーストパーティデータの蓄積に力を入れるようになりました。

 しかし、大企業がファーストパーティデータを持っていても活用しきれるのだろうか、という点については、メーカーの人間として懐疑的な気持ちもぬぐい切れません。それよりも、Microsoftなど膨大なファーストパーティデータを持つ企業のデータを使わせてもらうのが効率的ではと思ったのですが、有園さんはどう思いますか。

有園:花王さんなどのナショナルクライアントだと、ブランディングとコンバージョンの両立が求められると思います。その場合、ファーストパーティデータを保有していたほうがよいと考えています。

 たとえば、海外の大手新聞社などはファーストパーティデータを保有しており、ユーザーがどの記事を見ているかトラッキングできます。そして、クライアントのデータと突合して広告の精度を上げられる。つまり、自社商品の購入履歴をCDP(カスタマーデータプラットフォーム)に蓄積できていれば、そのデータを渡してマッチした方々をベースに広告を配信でき、リーチのターゲット含有率が上がります。

 このような取り組みは国内メディアでも今後行いやすくなると思うので、ファーストパーティデータを持っていたほうが、より効率的な広告配信ができる可能性があります。

広告主が媒体を育てる

廣澤:私たちもデータクリーンルーム(個人が特定されないセキュアなデータ環境)の案内を受けたことがあり、メディアやプラットフォーマーのデータと広告主が持つデータを掛け合わせる取り組みの有効性は理解しています。とはいえ、そこへのリソースを持つ広告主、国内メディアというのがまだ限られる印象があります。

有園:大手広告主がTVerやABEMA、Netflixのような動画メディアを育てていく流れになると理想的ですよね。動画サービスで会員IDを付与してIDベースの広告配信ができれば、企業のデータと組み合わせてカスタマーマッチでの配信ができる可能性がでてきます。

廣澤:広告主がどこまでデータ活用に取り組むかを考え、成長してほしい媒体には投資をしてオーダーを出していくことが求められるのだと感じました。

 一方で、現時点ではデータを扱える人材は豊富ではありません。自社のデータとメディアやプラットフォーマーのデータをつなぎ合わせるより、プラットフォーマーのデータを軸に施策を展開したほうがコスパがよいと考える人は多いのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。

有園:広告主のフェーズによってはプラットフォーマーのデータをもとに施策を行うのもよいと思います。ただ、コロナ禍を経て多くの企業は大きなビジネス転換が求められていますし、消費財をはじめとした多くの消費者向けブランドではD2Cの波が押し寄せています。

 もし今後D2Cの領域に向かっていく企業が多いのであれば、CDPは構築せざるを得ないと私は思っています。そして、CDPが構築できていれば、各プラットフォーマーのデータに依存せずとも様々なメディアに投資して各広告主のメリットになるように育てていくことができます。

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顧客が誰かを理解する上でファーストパーティデータは必須

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/02/21 08:30 https://markezine.jp/article/detail/41403

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