デジタルの力が店頭接客にもたらすものとは?
MZ:バニッシュ・スタンダードが提供している「STAFF START」など、店舗運営・接客において様々なデジタルテクノロジー・サービスが介在し始めていますが、その導入・活用を考える際に重要なことはなんだと思いますか。
藤原:なぜそのテクノロジー・サービスを導入するのかという「Why」が重要です。これは会社によっても、取り組む施策によっても違うと思います。売上を上げるため、ブランドを作るためなど、様々なWhyがあるはずです。加えて、導入にあたっては人事評価を含めた仕組みの部分にも気を配る必要があります。
また、Whyの粒度も経営の根幹につながるものから明日の売上を上げるためのものまで大小あるので、その伝え方も考えなければなりません。基本的には、「こういう意志のもと行う」という会社のパーパスから伝えることが重要です。

薄井:私もSTAFF STARTをお客様に提案する際にWhyを大切にしています。STAFF STARTは人によってスナップ投稿ツールに見えてしまうこともあり、なぜ導入・活用しなければならないのかが伝わっていないケースがあります。実際にはWebルーミングをする生活者の方に情報提供するためなど、様々な理由があるので、お客様のニーズに合わせてなぜ導入すべきかを伝えています。
また、ユナイテッドアローズ様のようにパーパスから伝え、仕組みを作った上で使い方の研修などを行うことも大切だと思います。企業によってはツールを導入して後は現場のスタッフ任せになってしまうケースもあります。
藤原:接客って属人的なスキルだと思われがちですが、仕組み次第で全体のパフォーマンスを高めることができます。デイリーのスタッフ経由の売上をランキング形式で見ると、特定の店舗のスタッフが皆上位に入っていることがあります。
これは、店長が上手く組織作りをしてオペレーションを各スタッフが適切に行えるように指示を出しているのです。接客という暗黙知になりがちなものを形式知にすることで、店舗全体の売上が上がってくるのです。
デジタルの登場で「接客のできるスタッフ」の定義が拡大
MZ:バニッシュ・スタンダードが主催したSTAFF OF THE YEAR 2022でも、ユナイテッドアローズのスタッフの方が何名もファイナリストに残っていました。藤原さんはこの結果をどのように捉えていますか?
藤原:STAFF OF THE YEARでは、LINE LIVEを使ったオンライン接客など、デジタルを取り入れたコンテストなので、通常の接客が得意なスタッフとはまた違ったスタッフがファイナリストに残っていて、接客という言葉の幅広さを感じましたし、バニッシュ・スタンダードさんには新しい接客の形をどんどん模索して欲しいです。
MZ:リアルでの接客に強い人とデジタルでの接客に強い人では、特性が違うんですね。
藤原:STAFF OF THE YEAR以外にも、販売員のロープレコンテストは様々なところで行われています。その中でユナイテッドアローズは、ルミネで働く全販売員メンバー約27,000名の中から、今年度のルミネストとしてゴールド2名(13名中)、シルバー3名(40名中)、ブロンズ7名(140名中)が認定されました 。
その他、全国各地の商業施設において開催されるロープレ大会において、優勝、準優勝、特別賞など受賞したスタッフが、20名以上おります。その後の地域支部大会を勝ち抜いた者だけが参加できる全国大会にも3名を輩出しました。