店頭接客のキーワードは「五感での体験」と「お客様目線」
MarkeZine編集部(以下、MZ):店頭の購買において、接客は重要な要素の一つだと思います。お2人が店頭での接客におけるキーワードを挙げるとしたら何が思い浮かびますか。
藤原:店頭接客のキーワードは「五感での体験」です。人は五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)のうち多くの感覚を使って体験すればするほど、脳に印象が残ります。結果として、購買後のエンゲージメントも高まります。そして、接客は対応次第でマイナスにもなってしまいます。
そしてアパレルの接客で大事なのは、複数回にわたって買ってもらい、LTVを高めることです。「接客が上手くいって1回買ってもらえた」だけでは、LTVが見合いませんから。
薄井:私たちは日本一の販売スタッフを決めるSTAFF OF THE YEARを開催しているのですが、そこでトップクラスのスタッフさんの共通点に気づきました。それは、「お客様目線」を持っているということです。
商品のサイズ感や素材などのスペックはECサイトを見れば一目でわかりますし、店頭で実物を見ればわかります。そのようなスペック以外でお客様が抱えているニーズをくみ取り、気になる点に沿った情報を出してあげることで、スタッフや店舗の価値が生まれると考えています。
接客をデータ化して傾向を見つける
MZ:では、ユナイテッドアローズでは「五感での体験」につながる接客を実現するために、どのような取り組みを行っているのでしょうか。
藤原:ユナイテッドアローズのハウスカード会員・アプリ利用者に対して定期的にアンケートをとって、接客に関するフィードバックを集めています。アンケートは週に1,000件近い回答が集まっており、フリーワードで熱量の高いコメントも多いです。
そして、集まったフィードバックはカスタマーサポートのチームが全件読み、その中で良いもの・悪いものを経営幹部が参加する会議で共有しています。
また、アンケートで得られた回答と個人を特定しない形での購買情報を突き合わせて「Aさんはこの接客が良かったから買ったんだな」など、カスタマージャーニーを組み立ててそのグッド・バッドを洗い出しています。
そして、それを統計的に解析してLTVが高い方はどのような接客だと嬉しいのか傾向を導き出しています。見えてきた傾向は店舗スタッフに共有しています。
薄井:オンラインで得られたデータを接客に活用していくのは素晴らしいですね。昨今リテールではOMO(Online Merge Offline)がキーワードになっていますが、在庫情報がOMOの状態でも、接客に関するOMOは道半ばという企業は多いです。ユナイテッドアローズ様の取り組みは、接客のOMO化を進める上で非常に参考になると思います。