モバイル広告業界の経験から「機械学習」の活用を日本で開拓
MarkeZine(以下、MZ):坂本さんは現在Molocoの日本事業を統括なさっていますが、これまでアプリ広告業界ではどのような経験を積まれてきたのでしょうか。
坂本:キャリアのスタートは楽天でした。次のGoogleでアプリ広告事業のAdMobを担当したのが広告との初めての関わりで、その後アプリ動画広告企業のAppLovin、SNS広告の運用ソリューションを提供するSmartly.ioに入社しました。AppLovinとSmartly.ioに関しては日本市場への参入フェーズから立ち上げに携わっていました。Molocoに入社したのが2021年9月です。
現在は機械学習のテクノロジー企業であるMoloco日本事業でビジネス面における責任者として、主にDSP事業の売上責任を負っています。新しいお客様とのビジネス開発をはじめ、既存のお客様や広告代理店様の事業成長をさらに促進するグロース(Growth)部門の統括をする立場です。
広告業界に起きている“アンバランス”とは
MZ:坂本さんは長年アプリ広告領域に携わっていらっしゃいますが、現在この市場ではどのような変化が起きているのか教えてください。
坂本:マクロレベルでいくつかの大きな変化が起きていると感じています。
まず一つがプライバシー規制です。CookieやIDFAのようなIDに依存した広告ソリューションを提供してきた企業にとっては逆風になりますが、これまでのようにユーザーデータを自由に使ったビジネスがしづらくなってきました。
もう一つがユーザーの可処分時間のシェアと、それに対する広告業界売上のアンバランスです。どういうことかというと、ユーザーがスマホを利用している可処分時間の過半はGoogleやFacebook以外のアプリやサイトに費やされるのに、広告の売上構造の大半はGAFAのようないわゆる『ビッグテック』に集中しています。
このアンバランスはかなり前から潜在的にありました。広告主にとっても媒体にとっても大きな機会損失となっている状態なのですが、なかなか解消できずにきました。なぜかといえば、ビッグテック企業は莫大な資本力を武器に、機械学習やAIに大きな金額を投資して、“彼らのプラットフォームの上で”非常に高い広告パフォーマンスを出せるようにしてきたからです。
私自身、モバイル広告市場をずっと見てきたのですが、2015年前後は多数あったモバイル広告企業がここ数年で再編され、Google/Facebookと「それ以外」というように二極化していると感じています。
それだけ彼らが強くなり過ぎたのと同時に、業界としても十分にテクノロジーに投資してこなかったという側面もあるのではないでしょうか。ビッグテック以外の広告企業の多くが「IDFAでターゲティングできればいいじゃないか」「ゲーム媒体にゲームアプリの広告を流せば手っ取り早くパフォーマンスは出る」といったことに甘んじてきた結果、『パフォーマンスの良いところに寄せる』広告主の予算の多くが、巨大プラットフォームに偏ってしまいました。
MZ:実際に広告主の方も可処分時間と広告売上のアンバランスについて認識しているのでしょうか。
坂本:はい、広告主の中にはそのアンバランスに疑問を持っている企業もあり、実際に「ビッグテック以外の良い出稿先媒体を探している」という声はあちこちで聞かれます。そうした潜在ニーズを満たすソリューションがMolocoです。
当社はこの状況に対し「機械学習の技術はより民主化され、誰にでも使えるようになるべき」と考えています。では、学習データに何を使うのかといえば、これまでのように自由にサードパーティーデータは使えませんから、やはりファーストパーティーデータを活用することが必要になります。
ですが現状は、広告主も媒体もなかなかファーストパーティーデータをビジネス成長に有効に繋げられていません。Molocoは機械学習技術を提供することで、あらゆる企業がファーストパーティーデータを活用し、大手プラットフォームがユーザーとデータを抱え込んでいる“Walled Garden”の外にあるオープンインターネット上でも、高いパフォーマンスを出せるようにしていこうと取り組んでいます。
モバイルアプリの新規顧客開拓・打開策をお探しの方へ
本記事でご紹介したMoloco Cloud DSPが、 他に抜きんでたパフォーマンスをなぜ実現できるのか、 3つの差別化要因をわかりやすく、簡略にまとめた資料をご提供しています。