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課題は可処分時間と広告売上のアンバランス Molocoが日本市場で目指す“機械学習技術の民主化”とは

「機械学習技術の民主化」を現実にする三つの事業

MZ:Molocoはどのような事業を展開しているのでしょうか。

画像を説明するテキストなくても可

坂本:Molocoをアドテク企業と捉えている方もいらっしゃるかもしれませんが、私たちは自社のことを「機械学習企業」と呼んでいます。Molocoという社名も実は「Machine Learning Company」のM・L・Cを取ったものです。そしてこのMachine Learning(ML)のテクノロジーを、クライアント企業の事業成長のために様々な形で提供しています。

 事業内容は大きく分けると三つです。一つ目はモバイル広告のDSP事業です。これはMolocoが長年展開してきた事業で、ゲーム・非ゲーム問わず、高度なML技術によりアプリ広告のパフォーマンスを短期間で高めることができるのが特長です。広告主や代理店にとっては、GoogleやFacebookに広告を出稿するのと同じ感覚で「Molocoに広告を出稿する」という形で利用いただいています。現在当社の大半の売上はこのDSP事業によるものです。

 次にリテールメディア・プラットフォーム事業。これも機械学習技術を活用し、マーケットプレイス事業者が広告ビジネスを立ち上げる際に必要な機械学習エンジンやキャンペーン管理機能などを提供するものです。たとえばEコマースプラットフォーム企業が、大きな技術投資をしなくても「Amazon広告みたいなサービスを立ち上げる」ことを可能にするソリューションです。

 そして最後が『Moloco Monetization』という、アプリのマネタイズ(収益化)に関する事業です。これは自社のデータを活用し、オリジナルの広告プロダクト構築を可能にするサービスになります。たとえば日本発のカレンダーシェアアプリ『TimeTree』は、『TimeTree Ads』という独自の広告メニューを開発しているのですが、そのエンジンを提供しているのがMolocoです。

ユーザーIDに依存せずに高パフォーマンスを実現するMolocoのDSP

MZ:コアとなるDSP事業はどのような特長があるのか教えてください。

坂本:DSPは昔から多数ありますが、広告IDが取れなくなっている現在、大量のトラフィックデータがある中で、広告案件それぞれについて裏で動いている機械学習の『精度』と『速度』の2つが差別化要素になっています。「重要なシグナルの選別」「シグナルの値で重み付け」「価値が高いトラフィックの買い付け」という一連の流れを行う際の精度、「その学習を回転させられる」速度です。私たちの機械学習はディープニューラルネットワーク(DNN)という学習法を活用し、これらの課題に取り組んでいます。

 細かい内容ですが、極力わかりやすく説明してみますね。まず、媒体側から送られてくる広告の『リクエスト』には、100前後の様々な“シグナル”が含まれています。OSのバージョンや端末のタイプ、IPアドレスなど、プライバシーに関係のない機械的な(コンテクスチュアルな)シグナルが多数あるなか、アプリごとに『良いユーザーに共通する特徴点』を抽出していきます。

 どのシグナルが良いのか・悪いのかは、広告主のサービスによって変わります。そのため、ファーストパーティーデータは、それぞれの広告主にとってどのシグナルがどれくらい重要かを学習するために必要なデータソースとして類推に使います。

 こうしてどのシグナルにどれくらいの価値があるかを計算し、毎秒数百万にのぼる次に来た広告リクエストのシグナルを迅速に解析して、それぞれのトラフィックにどれぐらいの価値があるのかを極力正確に推定します。これが私たちが提供している裏側の仕組みで、膨大なデータを圧倒的なスピードで分析するわけです。

画像を説明するテキストなくても可
Molocoの機械学習の仕組みの概要。アプリそれぞれのファーストパーティーデータ、コンテクスチュアルデータ、広告キャンペーンのデータを大量に取り込み、高い技術力とインフラに裏打ちされたDeep Neural Networksによる深層学習で最適化をかけることで、高い広告効果を実現させる
(クリックすると拡大します)

MZ:IDに頼らずRTBに含まれるシグナルを分析して重み付けを行うことと、さらにファーストパーティーデータを活用することでより信頼性が担保されるわけですね。

坂本:そうです。そのため広告主の皆様には、なるべく多くのデータをMolocoに提供していただくようにお願いしています。Molocoはほとんどの広告主の方が導入されている計測ツールと公式に連携しているため、プライバシーに関する情報を送受信することなく最適化しています。

 ほかのDSPだと最適化できるまで4~8週間ほどかかるような深いレイヤーのキャンペーン目標でも、Molocoなら2~3週間くらいで最適化できます。なんでしたら広告配信前からデータを送っていただければ事前に学習しておけるので、パフォーマンスが上がるまでの期間を大幅に短縮できます。もちろん実際の広告配信後には、より多くのデータが得られるようになるため、調整を行って改善をし続けます。

  また、広告効果が高いだけでなく配信ボリュームも確保できます。広告効果を高めるために、自社にとって価値の高いユーザー以外を切り捨てるような媒体もありますが、それだとボリュームが下がってしまい、事業を成長させたいという広告主のニーズに最大限には応えられません。Molocoでは、価値が相対的に低いトラフィックに対しても低い金額で入札し、ROIがプラスになるよう最適化を行うことで、ボリュームと効率性を維持しながら広告主のKPI達成を支援しています。

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 本記事でご紹介したMoloco Cloud DSPが、 他に抜きんでたパフォーマンスをなぜ実現できるのか、 3つの差別化要因をわかりやすく、簡略にまとめた資料をご提供しています。

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Google広告やFacebook広告と肩を並べる“もう一つの選択肢”

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/03/22 11:00 https://markezine.jp/article/detail/41608

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