SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine Day 2023 Spring

データ活用で大切なのは「ユーザーが嫌がることはしない」。サンリオが実現した、ファン目線の施策とは

休眠顧客の心を再び近づけるカギとは?

 サンリオでは、非財務目標として「サンリオ時間」というものを設けている。これはサンリオのキャラクターに寄り添ったり夢中になったりしている時間を示すもので、この「サンリオ時間」を増やしていくことが目標だ。Sanrio+を通じて、常時お客様とつながる”ALWAYS-ON”の環境を作っていきたいと田口氏は述べた。

 ファンマーケティングで田口氏が大切にしているのが、「ユーザーの生活の文脈を理解する」ことだ。ファンの熱量は人それぞれ、その時々で変わっていく。

 子供の頃は大好きだったけど、成長にともなって少し離れる。そして、”子供の頃好きだったな”と再びサンリオを思い出す――これを田口氏は、「リ・エンゲージメント」と表現。「好きだった記憶を思い出すことで心の距離が再び近づくような、きっかけづくりが大切」と述べた。マーケティングの視点で見るならば、一度休眠顧客となった後に完全に離脱することなく、また顧客に戻るという流れだ。

クリックして拡大

 そのためには「エンゲージメントファースト」が重要だという。具体的には、ファンとのコミュニケーションの機会を逃さないことだ。あわせて、リアルとデジタルの両方の良さを生かしながら「サンリオらしい楽しさ」を提供することで深くつながってもらう。他のキャラクターやブランドとのコラボレーションで、接点を増やしていくことも有効だと田口氏。

 また、田口氏は「ユーザーに嫌がられることはしない」ことの重要性も加えた。アプリは常に顧客の手の中にあり、距離が近いサービスだ。会社都合の「買ってほしい」「登録してほしい」「情報が欲しい」という思いをユーザー側が感じとってしまうと、エンゲージメントにはつながらない。

オンラインとリアルを連動した施策でエンゲージメントを高める

 前述のような指針のもと、同社は顧客とつながり続けるために多様な施策を実施している。たとえば様々なキャラクターがデザインされた「電子スタンプ」を全店舗で導入。ユーザーを楽しませる工夫と、店舗・イベントごとのクーポン利用状況の分析を両立させている。

 毎年実施している人気投票イベント「サンリオキャラクター大賞」および結果発表イベントでは、リアルとアプリが連動したスタンプラリーなどの企画を用意した。イベント参加チケットを申し込んだ会員のうち、参加したユーザーと不参加だったユーザーを比較して、顧客接点ごとの行動の違いを分析・可視化。また店頭で人気の「サンリオ当たりくじ」でもスマホ版を展開するなど、ハイブリッドな施策を推進している。

 さらに2022年には抽選で会員証(=推し)キャラクターから年賀状が届くという、パーソナライズされた高エンゲージメントな施策にも挑戦した。累計の申し込みIDは約8万、応募割合は会員全体の6.5%と決して多くはないが、直近1ヵ月以内にアプリを開いた会員に限ると24%となる。

 同施策のTwitter上での反響は大きく、当選者の満足度が高いことがわかった。今後もより幅広いファン層に向け、エンゲージメントを高めるアプローチを検討・挑戦していきたいと田口氏は話し、セッションを締めくくった。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
MarkeZine Day 2023 Spring連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーライター

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/05/29 08:00 https://markezine.jp/article/detail/42086

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング