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第100号(2024年4月号)
特集「24社に聞く、経営構想におけるマーケティング」

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MarkeZine Day 2023 Spring

スマドリ×fermataに聞く、社会課題解決×売上向上につなげるマーケティングに必要な視点

 2023年3月開催の「MarkeZine Day Spring」。「マーケターの知りたいに応える2日間」の最終セッションでは、今後のマーケティングに求められる視点を議論。Hengeの廣田氏がモデレーターとなり、日本が抱える社会課題の解決と事業売上の両立に動くスマドリ社とfermataの2社のキーパーソンをゲストに迎え、目先の利益との兼ね合いやKPIの測り方、マーケターとしてどのような視点・マインドセットで事業を展開しているのかを紐解いた。本記事では両者の異なる経歴から、大企業・スタートアップ、双方のマーケターにとっての学びある講演の様子をレポートする。

「スマートドリンキング」「フェムテック」……新概念とマーケター

 本セッションのモデレーターには『世界のマーケターは、いま何を考えているのか?』の著者である廣田周作氏が登壇。2018年に電通を独立し、ブランド開発を専門に行うHengeを設立。普段はブランドのリサーチを専門に、企業のブランド戦略の支援を行う廣田氏が、その業界を俯瞰的に見る立場から、スマドリ社とfermataでの新しいブランド戦略論や、マーケティングの考え方に切り込んだ。

株式会社Henge CEO/Founder 廣田 周作氏
株式会社Henge CEO/Founder 廣田 周作氏

 今回のゲストは、それぞれ異なる立場から、社会課題解決に向けた新ビジネスを立ち上げている2人だ。

 ゲストの1人目は、スマドリ 代表取締役CEO(現:アサヒビール マーケティング本部長)の梶浦瑞穂氏。1998年にアサヒビール入社後、22年にスマドリを立ち上げ、ゴールに「スマートドリンキング社会」の実現を見据えるビジネスを展開する。同社の発足のきっかけについて、梶浦氏は以下のように説明した。

 「日本の飲酒人口は約9,000万人と言われています。その中で、お酒を飲まない/飲めない人は、実は4,000万人ぐらいいるのです。私が元々いたアサヒビールという会社は、お酒が好きな社員が多く在籍していたこともあり、お酒飲まない人がいないくらいの無意識な認識の中で、マーケティングを行ってきました。創業130年目にしてそうした状況に気づいて一念発起し、お酒を飲まない/飲めない人に対してのビジネスを開始しました」(梶浦氏)

スマドリ株式会社 代表取締役CEO(登壇時の肩書。現在はアサヒビール株式会社 マーケティング本部長) 梶浦 瑞穂氏
スマドリ株式会社 代表取締役CEO
梶浦 瑞穂氏
(登壇時の肩書。現在はアサヒビール株式会社 マーケティング本部長)

 ゲストの2人目は、fermataの中村寛子氏。女性特有の健康課題を解決する新しい選択肢である『フェムテック(Femtech)』という産業に対する事業の展開を、2019年から行っている。

 具体的には、女性のライフステージにおける「生理・月経」「更年期」などの様々な課題を解決できる製品・サービスを提供することはもちろん、企業のフェムテック市場への参入、新規市場創出なども支援し、包括的に「フェムテック」文化の醸成に取り組む。

fermata株式会社 Co-founder 中村 寛子氏
fermata株式会社 Co-founder 中村 寛子氏

可視化していない悩みに気づけるか

 セッションのはじめ、廣田氏から「2人にとって、マーケティングのおもしろいと思う部分/逆に難しいと感じる部分はどこか?」という質問が飛んだ。

 アサヒビール時代からマーケティングに長年従事してきている梶浦氏は、「顧客の様々な感情・不満をマーケターが察知・理解して、その期待を超えるモノやサービスで提供させていただく。そうすることで喜んでもらえるのは、マーケティングのおもしろい点だと思う」とコメント。一方で、その察知・理解ことこそ、難しいという。

 「先ほども話した通り、私はビール会社で、世の中の人がお酒を飲むのが当たり前だという文化の中で20数年勤めていました。そうすると、世の中に飲めない人たちがいたり、そこに需要があったりすることに気づけないんですよね。ユーザー自身も不満はあるけど気づいてない/言語化できていない部分があるし、声を上げる文化もない。そこに気づけるかが一番難しく、今後人口減少していく上でビジネスをやっていく上では重要な部分ではないかと思います」(梶浦氏)

 中村氏も梶浦氏のコメントに共感しつつ、マーケティングのおもしろい点について、「万人受けしないかもしれないが、1人のちょっとした“モヤモヤ”が晴れるものを提供させていただけたときは、やっていてよかったなと実感する」とコメント。さらに自身の事業もふまえ「いま見えている女性特有の健康課題は氷山の一角に過ぎない」と語った。

 「長い間、女性の健康課題はタブー視される傾向が強かったからこそ、私自身もそうですが、女性が『痛くて当たり前』と思っていたり、そのモヤモヤ自体に問いを立てたりすることがない人がすごく多い。まだ可視化されてない課題がどんどん明らかになるとよいのですが、自分に向き合う作業は精神的苦痛をともなう場合もありますのでもちろん強制はできないですし、モヤモヤ自体を当たり前と思っているケースも多いので、なかなか声が上がってきません。声を上げやすい環境や文化を作る必要があると考えています」(中村氏)

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この記事の著者

釘﨑 彩子(クギサキ アヤコ)

 2019年からマーケティング・広告の専門出版社で編集者として勤務。広報・PR分野を中心に編集業務にあたる。2022年よりフリーランスのライターに。媒体問わず、マーケティング、広報、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/07/18 08:30 https://markezine.jp/article/detail/42618

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