SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

MarkeZine Day 2023 Spring(AD)

1年で700の施策を実施!@cosmeが実践した、顧客体験向上のためのBraze活用と成果

 クチコミ・情報メディアやEC、実店舗など、コスメ・美容に関わる様々なサービスを展開する@cosme。同サービスは、ユーザーが分断している課題に対し、アプリを軸としたマーケティング戦略を実行。Brazeを活用し1年で700本の施策を行い、顧客体験を向上させた結果、短期間で月間アプリダウンロード数210%、特定ユーザーの購買率が200%などといった成功を収めたという。MarkeZine Day 2023 Springでは、アイスタイルの奥家氏とBrazeの伴田氏が登壇。全体最適を行い、顧客体験を向上させるポイントについて語った。

「@cosmeアプリ」ユーザーとのコミュニケーションを加速

 アイスタイルが運営する@cosmeは、美容に関わるデータを扱い、コスメ・化粧品・美容の総合情報サイトをはじめ、メディア・EC・店舗事業を手掛けている。これらの事業をつなぐ役割を果たしているのが、「@cosmeアプリ」だ。

 しかし、様々なチャネルから流入してくるがゆえ、全ユーザーに対し一律の情報が発信されることに課題を感じていたと奥家氏は語った。

「良いサービスを提供するためには、出会い方・使い方に合わせた様々なコミュニケーションが必要となっていました。そのために必要な要素がパーソナライズでした」(奥家氏)

株式会社アイスタイル<br />顧客体験事業ユニット カスタマーエクスペリエンス本部 グロース推進部<br />APPグロースグループ マネージャー 奥家 沙枝子氏
株式会社アイスタイル
顧客体験事業ユニット カスタマーエクスペリエンス本部 グロース推進部
APPグロースグループ マネージャー 奥家 沙枝子氏

 こうした状況を解決するために、2021年に統合型カスタマーエンゲージメントプラットフォーム「Braze」を導入したという。

「世界最高水準の顧客体験」を目指し、パーソナライズを推進

 @cosmeは「世界最高水準の顧客体験」を目指すことを掲げ、以下の2つの目標を定めた。

1.ユーザーのアクションをトリガーとしたCRM

2.ユーザーの属性と行動に基づいた情報発信

 最初はスモールスタートで始めたチームであったが、部署を横断する施策も多かったため、現在は関わる部署や人数も増加。現在、プロジェクトに関わっている人数は20人ほどだという。

クリック/タップで拡大
(クリック/タップで拡大)

 ここまで組織が大きくなった要因を奥家氏は次のように振り返る。

「Braze導入によるインパクトが大きかったというのが要因だと思います。施策を開始してすぐ良い数字が見られたので、うわさを聞きつけたメンバーが興味を持ち、プロジェクトメンバーも増えました」(奥家氏)

 アイスタイルでは、以下に示した「ゴールデンルート」と呼ばれるカスタマージャーニーに沿って施策を設計。ダウンロードから購買までをフェーズで区切り、それぞれに合わせた施策を実施している。

クリック/タップで拡大
(クリック/タップで拡大)

「ゴールデンルートは仮説であり、それを検証することが趣旨です。実際、施策を行っていく中で見えてきたのは、パーソナライズの重要性でした。

 私達が設定したゴールデンルートに乗ってくださるユーザー様もいらっしゃいます。しかし全員を同時にリフトさせるためには、それぞれに合わせた施策が大切だということがわかってきました」(奥家氏)

Brazeを活用し、月間のダウンロード数が210%に向上

 セッションの後半では、実際に成果が出た事例を紹介した。

 まず紹介したのが、アプリのダウンロードを促進させる施策だ。アプリダウンロードの訴求はこれまで、トップページに大きくバナーを掲載する形で行っていた。しかしBrazeを活用し、ポップアップの表示に変更したところ、月間のダウンロード数が210%に向上したという。

クリック/タップで拡大
(クリック/タップで拡大)

 ポイントは、3つある。1つ目は、ABテストが容易にできる点だ。20種類ほどのクリエイティブのABテストを行い、結果を振り返りながら勝ちパターンを発見できる。

 2つ目が、ノーコードで簡単にクリエイティブが作成できる点。HTMLやCSSの知識がなくても、マーケターだけで制作することが可能だ。3つ目は、自動で勝ちパターンに配信量を寄せていく機能がある点だ。

 今回の施策の成功要因について、Brazeの伴田氏は次のように解説した。

「施策の中でも、“攻め”と“守り”のチャネルがあります。ポップアップはまさに“攻め”のチャネルです。今回のようにバナーからポップアップにすることでこうった成果が出たのだと思います」(伴田氏)

伴田 有香氏
Braze株式会社 プロダクト&グロース本部
グロースエンジニア 伴田 有香氏

複数の施策をクイックに実行し、1年間で行った施策は700本以上に

 続いて伴田氏は、Brazeの管理画面を見ながら実際の操作方法について紹介した。

 管理画面の左側にパーツと呼ばれる項目があり、これらを組み合わせることにより複数チャネルで柔軟なシナリオが作成できるようになっている。またメッセージに応じた出し分けも可能だ。

「どのチャネルも操作感は変わらず、基本的なオフィスアプリケーションと同じような感覚で使うことができます」(伴田氏)

Brazeの管理画面 クリック/タップで拡大
Brazeの管理画面(Braze キャンバス)

 またシナリオを作成していくだけでなく、シナリオをコピーして、文言・画像・チャネルを変えて制作することもできる。シナリオの分岐も、一度に8個まで同時に検証ができ、施策のブラッシュアップやコンバージョンアップを図ることも可能だ。

クリック/タップで拡大
(クリック/タップで拡大)

 また長期の施策の場合は、コンバージョンの高いクリエイティブに自動で寄せていく機能も魅力的だ。同機能を利用することで人の手を解さずに効率よく施策のブラシュアップが行える。

 アイスタイルではBrazeの機能を駆使しながら、1年間に約700本の施策を検証していった。「1ヵ月に一度、マーケターが施策を共有する会議で、施策を共有し進めていきました」と奥家氏。会議体を定期的に設けることで、PDCAを回していける仕組みを整えたことで漏れやかぶりがなく複数の施策をクイックに実行することができたのだ。

特定のユーザーにプッシュし、購買率を200%向上

 オンボーディング・休眠対策・アクション強化の施策として、特定の商品をLikeした人にのみ、お得な情報を届けていった。その結果、購買率が200%まで向上したという。

クリック/タップで拡大
(クリック/タップで拡大)

「ここでのポイントは詳細なセグメント分けができるほか、特定ブランドの商品に掲出できることです。特定のアクションをしてくださるユーザー様は、興味があることがうかがえます。確度の高いお客様に掲出することで購買率の向上にもつながりました」(奥家氏)

 Brazeでは、ユーザー一人ひとりの情報を一元的に管理。アプリやWEBの情報、連携している基幹システム情報が蓄積されている。これらをセグメント分けの条件、パーソナライズ、メッセージの出し分けといったあらゆる場面で活用できるのだ。

「プロファイル上で持っているあらゆる情報を掛け合わせてセグメントが作成でき、リアルタイムで対象者数が集計されます。そのためSQLを書いて出力するといった作業を行わず、リーチできる対象者数が把握できるのです。加えて、どのチャネルだと効果的に届きやすいかを、その場で確認しながら施策を組み立てていくことも可能です」(伴田氏)

 当初アイスタイルでは、購買あり、購買なしという大きなセグメント分けをしていた。プロジェクトの進行が進んでいくうちに、次第にセグメントが細かくなっていったという。

「施策を行う中で、“あれがやりたい・これもやりたい”と次々生まれて細かい検証がしたくなっていきました。その結果、セグメントが細かくなっていきました」(奥家氏)

一人ひとりのユーザーに心地の良い体験を

 最後に紹介した購買に対しての施策では、2022年の@cosme BEAUTY DAYの事例が紹介された。

 具体的には同キャンペーン期間中、ECサイトの@cosme SHOPPINGで取り扱いがある商品に対し、@cosme BEAUTY DAYのバナーを表示するというものだ。

「@cosmeには国内外4万ブランド以上あり商品ページも 36万点以上存在します。その中でも@cosme SHOPPINGで取り扱いのあるものだけに掲出先として設定しました。限られた属性にアプローチしていくことによって、購買のUUが110%まで上昇しました」(奥家氏)

クリック/タップで拡大
同施策は社内でも「こんなに上がるんだね」と話題になったと奥家氏は語った。(クリック/タップで拡大)

 Brazeでは、APIを用いて外部情報を参照し、施策送信の瞬間にパーソナライズを行っている。そのため鮮度が高く、正確な情報をユーザーに届けられるのだ。

 また位置情報・レコメンドエンジン・在庫情報などと掛け合わせることで、よりリアルタイムなパーソナライズを行える。これにより「ユーザー様にとって残念な体験を減らすことが可能となった」と伴田氏は語った。またユーザーが開きやすい時間帯やチャネルを自動で判断し送信する機能のほか、多数の機能が存在する。

 伴田氏は最後に「ユーザー様一人ひとりにとって心地の良い体験を届けることを、Brazeで実現していただきたい」と語り、セッションを締めくくった。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:Braze株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/07/13 14:35 https://markezine.jp/article/detail/42108