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時事イベントに見るスポーツマーケティング入門

【スポーツマーケ】松坂を60億と評価したセイバーメトリクス分析とは

 日本の男子バレーが15年ぶりにオリンピック出場を決め、大いに盛り上がった先日の世界選手権大会。そこでは、さかんに「データバレー」という言葉が使われました。競技に勝つため、データ分析は不可欠ですが、そのデータはいまや、選手の年俸や市場価値を測る指標にもなっているといいます。【バックナンバーは こちらから!】  

スポーツはもはやデータ勝負で、常勝チームは存在しない?

 今年のユーロ(サッカー欧州選手権)は、近年にないおもしろさだった。イングランドの姿が本選で見られなかったのは実に惜しかったが、ロナウドやバラックなどのスターはちゃんと活躍したし、何よりもどのチームも守備を優先していなかったことが、ゲームをおもしろくし、かつ戦いが清清しかった。

 ベスト4の顔ぶれは、ドイツを除いてすべて予選リーグの2位だったのも驚きだったが、その中でもロシアの大番狂わせは話題だった(もっとも筆者はオランダの敗退をある程度予想していたが。予選でああいう大勝をしたところは、不思議とそれほど大物でないところにコロッと負ける。86年のメキシコWカップのデンマークがそうだったし、2006年のオランダがそうだった。この2チームの敗戦を筆者は現地で目撃している)。

 ロシアの躍進で名将ヒディングの声望はさらに高まった。一方、フランスのドメニクやイタリアのドナドニには「辞めろ」の大合唱(「世界中の監督は2種類に分けられる。罷免された監督と、これから罷免される監督だ」とは、誰の名文句であったか…)。

 ヒディングがデータを駆使しているのはよく知られている。2006年の対日本戦に臨み、不幸な先制点を計上した前半終了後のハーフタイムに、「後半残り20分で日本は極端にパフォーマンスが落ちる。そこからが勝負だ」と選手を鼓舞した。結果は、…悔しいがその通りになった。

 今回の岡田ジャパンに、ルマンの松井は招集された。それまで松井はテクニックはあるが、走らないというイメージだった。ところが、データを詳細に分析すると、松井は「ホームの試合」と「点差が1点以内の試合」のときには13キロ前後走っていることが判明(マンUのテベスやパクチソンなど、トッププロでよく走る選手は14キロ近く走る)。そこで合宿に召集し、試してみた。松井は招集された意味をよくわかっており、合宿中に相当な運動量を示したのである(こういうところが賢い選手は違う)。

 これらの例を見てもわかるとおり、現代のスポーツはデータの勝負になっている。それは競技の勝敗のみならず、スポーツのビジネス全体にも活用されているのだ。現代のスポーツはデータの勝負になっている。それは競技の勝敗のみならず、スポーツのビジネス全体にも活用されているのだ。おそらく、今後、データが利用できないではGMになれないだろう。

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松坂に60億の価値をつけた「セイバーメトリクス」という分析

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この記事の著者

広瀬 一郎(ヒロセ イチロウ)

1980年株式会社電通に入社。ワールドカップをはじめ、サッカーを中心とした団体スポーツのイベントを多数プロデュースする。1994年に「2002年ワールドカップ招致委員会」事務局に出向、1999年にはJリーグ経営諮問委員会委員就任、2期4年を務めた。豊富な経験に、スポーツにビジネス・メソッドの活用を訴える先駆的視点を持ち合わせた、スポーツマーケティング分野の論客。著書は『スポーツ・マネジメント入門』『「Jリーグ」のマネジメント』(ともに東洋経済新聞社)など多数。2008年、多摩大学・大学院教授に就任。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2008/06/27 11:00 https://markezine.jp/article/detail/4264

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