松坂に60億の価値をつけた「セイバーメトリクス」という分析
現代のスポーツはデータの勝負になっている。それを決定的にしたのは、米国メジャーのアスレチックスのGMビリービーンである(詳しくは『マネー・ボール』 参照)。ビリーは選手のパフォーマンスをほとんど見ないで、データのみで判断するといわれている。

それもそれまでは「打率」「打点」「本塁打」だけだったのが、ビリーは「出塁率」を最優先した。「出塁率と得点と勝利」の関係をデータ化した結果である。そのデータを入力し、解析していたのが、当時MITの大学院生で、アルバイトに来ていたテオ・エプスタイン、つまり松坂獲得に60億円も支払った現在のボストンレッドソックスのGMなのである。
ビリーやテオが開発した、「競技データ」の分析は、その後「競技」のみでなく、選手の年俸交渉や、獲得したい選手の「市場価値」にも利用されるようになり、その全体を「セイバーメトリクス(SABR Metrics)」と名づけられている。
そして野球の世界に限らず、サッカーの世界にもそれは導入されている。おそらく、バレーボールなど、他の球技にも導入されているはずだ。北京五輪で番狂わせを起こすチームの裏に、頭脳明晰なデータ分析者が控えていた、などということがきっと起きるであろう。
