生成AIは、顧客体験を豊かにする副操縦士に
アドビが今回のサミットでテーマとして掲げたのは「Experience-Led Growth(顧客体験主導の事業成長)」だった。そして今回のサミットで話題の中心となったのは、AIに関連する話題であった。
アドビの会長 兼 CEOのシャンタヌ・ナラヤン氏は、コンテンツやアプリケーションの作成と消費が加速していることについて触れた上で、人工知能(AI)についても言及。「AIは新しいフロンティアとなっている」と話した上で、その可能性について語った。
「AIは、既存のテクノロジーに革命を起こそうとしています。これらはクリエイターの創造性を拡大することにとどまりません。AIは顧客体験を豊かにする副操縦士として、ビジネスの生産性とパーソナライゼーションを自動化していくのです。これによりマーケターは今後、より有意義な方法で顧客と関われるようになります」(ナラヤン氏)
生成AIが革命的な理由
では実際、顧客体験を豊かにする副操縦士として、どのようなことができるのだろうか。まず、AIとマーケティングとの関連から整理しよう。
AIは、各種広告の最適化・ツールなどの異常の検知とお知らせ・データ分析による細分化・予測などに使われている。アドビも10年以上AIを開発し続け、マーケティング担当者にAIサービスを提供している。
Experience Cloudのシニア・バイス・プレジデントを務めるアミット・アフジャ氏は、その歴史の中でも「生成AIが登場したことは、過去の10年間と比べても非常に大きな変化となっている」と語り、以下のように続けた。
「具体的には、同じアプリケーションを使用したまま、より早く、より効率的に仕事ができるようになった点が革命的な変化だと我々は考えています。しかも、アプリケーション同士をつなぐことも容易です。重要なことは、主導するのはあくまでもマーケターであり、AIは副操縦士として助ける役目にある点です」(アフジャ氏)
たとえばアナリティクス分野では、専門的な知識がないと集計したり、読み解いたりすることが難しい場合も多くある。しかし、生成AIを使うことで多くの人が自然な言語でその結果を理解できるようになるのだ。
「生成AIによって全ての人が等しく理解し、同じ共通言語でプロジェクトなどを進めやすくなるのです」(アフジャ氏)