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今知っておきたいマーケティング基礎知識

新卒でマーケティング職を目指すには?求められるスキルと現実

 新卒でマーケティング職を目指すには、相応の準備が必要だ。新卒からマーケティング職に就くのは難しいといわれているが、それには理由がある。そこで本記事では、マーケティング職を希望する学生が身に着けておきたいスキルや就職が難しいといわれる理由、就職の可能性を高める方法などについて紹介していく。

新卒がマーケティング職を目指すために必要なスキルとは?

 新卒がマーケティング職に就こうとするとき、どのようなスキルが必要になるのか。そのことについて、実際にマーケティング職に就いている人を対象にヒアリングしたリサーチがある。

新卒が身に着けておきたいスキルトップ3

 早速、新卒が身に着けておきたいスキルのトップ3を紹介しよう。

  • 1位「データ分析力」28.9%
  • 2位「コミュニケーション力」28.3%
  • 3位「思考・判断・実行力」27.5%

 マーケティングは、データと向き合う仕事だといっても過言ではない。1位はデータ分析力。データから何をどのように読み解くかという力が求められているということだ。学生時代には、実験や調査、フィールドワークなどデータ収集する機会もあるだろう。そのデータの中から意味や価値を見出す作業だといっていい。

 2位は、コミュニケーション力。マーケティングはさまざまな手段で顧客とのコミュニケーションを図ることだともいえるため、重要だといえる。3位の思考・判断・実行力は、データ分析から立てた仮説を検証するという一連の作業に不可欠な力だといえる。

新卒が身に着けていると歓迎されるスキル

 同じリサーチで、新卒が身に着けておくべきスキルを13位まで発表している。4位以降も参考までに紹介しておこう。上位のどれかを習得、または学習しておくことで就職に有利になる可能性がある。身に着けておくと歓迎されるスキルとして4位以下のものを紹介しておこう。

 4位「課題解決能力」25%、5位「企画力」24.6%、6位「情報収集力」24.1%、7位「プレゼンテーション力」20.5%、8位「マネジメント能力」18.6%、9位「タスク管理/調整力」13.9%、10位「基本PCスキル」13.6%と続く。スキルの中でも、比較的短期間で身に着けられるPCスキルや情報収集力、プレゼンテーション能力などは、早めに習得しておくといいだろう。

 なお、調査の詳細はこちらの記事をご確認いただきたい。

マーケティング職が担う役割

 マーケティング職を目指す学生が身につけておくべきスキルは、そのままマーケターに求められるスキルだと言い換えられる。

 収集したデータを分析し、データから考え得るニーズを導き出す。そのニーズを課題として捉え、課題解決となる企画を立てる。広告という形で顧客とコミュニケーションを取り、自社商品やサービスとの接点を作り出していく。

 マーケティング職が担っているのは、自社商品と顧客との接点を作り出し、売れる仕組みを作ることだ。では次に、マーケティング職の業務内容を見ていこう。

マーケティング職の業務内容

 マーケティング職には、大きく5つの業務内容がある。「市場調査・分析」と「商品企画」「販売促進」「広告宣伝」「効果検証」だ。この一連の作業をPDCAで回していくことだといっていい。

市場調査・分析

 まずは、自社商品やサービスの市場動向を把握することから始まる。必要であれば新たに調査することもあり、自社で調査することもリサーチ会社に依頼することもある。収集したデータを整理・精査し、市場内での自社のポジションや競合他社との特色の違いなどを把握する。

 次に、市場動向や顧客ニーズの分析と自社商品・サービスごとの販売実績から、中長期的な販売予測を立てたり、予測との差異が生じた場合の原因などについて分析や考察を重ねたりしていく。消費者調査など行いながら、自社商品・サービスに興味を示しそうな顧客はどのような属性の人たちなのかとその消費量を予測したり、競合他社の動向などをリサーチしたりする仕事もある。

商品企画

 さまざまなデータを基に、顧客に求められている商品・サービスを作り出すのが商品企画の仕事だ。営業が持ち帰ってきた顧客の声に耳を傾ける必要もある。例えばコンビニでは、毎週約100~200種類もの新商品が開発されている。しかし、その中でも人気が出たり、定番商品となったりするものはごくわずかだ。

 どのような商品・サービスが求められているのかを探り、ターゲットやコンセプトを決め、既存商品・サービスや競合他社の類似商品との違いも考慮する。その上で試作品を作り、地道に改良を重ね、パッケージなども含めて量産できるかどうか、利益が確保できるかどうかなどを検証していくことも欠かせない。生産現場との連携も不可欠だ。

販売促進

 新たに発売する商品やサービスはもちろんのこと、既存商品についても、どのようにしたら商品の魅力が伝わり、顧客に選んでもらえるかを考えるのが販売促進の役割だ。顧客の購買意欲を高めるための活動と言い換えられる。

 例として、キャンペーンやイベントなどを開催するほか、期間限定のクーポンやクーポンコードの発行、抽選によるプレゼントや応募者全員への特典付与などが該当する。店舗の場合には、ディスプレイやのぼり、POPなどで、顧客の目に留まるよう工夫を凝らすといったことだ。

広告宣伝

 ターゲットにふさわしい広告媒体を利用して商品・サービスの認知度やイメージを広めていくのが、広告宣伝の仕事だ。一口に広告といっても、マスメディア広告やインターネット広告、プロモーションメディア広告などの種類があり、各カテゴリーに含まれる媒体にはそれぞれ特徴がある。

 自社商品・サービスの認知度や企業イメージを向上させていくには、どの媒体にどのような内容の広告を掲載するのが適しているかを考え、効果的に宣伝していくことだ。広告宣伝は会社によって予算や規模が異なり、社内のチームで制作されることもあれば、広告代理店に発注して制作を依頼するなど、さまざまである。

効果検証

 市場分析や商品企画、販売促進、広告宣伝という各フェーズで採用してきた企画や施策に、どれだけの効果があったのかを確認するのが効果検証といえる。効果的だった施策は何が良かったのか、思いのほか効果が出なかった施策には何が足りなかったのかを、紐解いていく作業だといえるだろう。

 自社商品・サービスに対する見込み顧客が見当違いではなかったか、キャンペーンのターゲットに対して内容は適切だったか、掲載した広告はどれだけ見てもらえたかなどを確認する。どのマーケティング施策も、最終的には販売数量がどれだけ伸びたかで判断される。

新卒からマーケターになるのが難しい理由

 マーケティング職の業務内容を見てきたところで、新卒からマーケターになるのが難しいといわれる理由を見ておこう。理由を知っておけば、対策を講じることが可能だ。

経験が求められるため

 前章で見たように、マーケティングは商品・サービスの特徴や市場、顧客の心理、時勢、生産体制などを考え合わせなければ、効果的な施策を打つことが難しい。市場分析から始まる一連のマーケティング業務は、いずれも会社の利益を生み出す源泉となる自社商品・サービスや企業イメージに直結する。このような業務は、新卒ではなく経験者に任せたいと考えるのは自然なことだろう。

高度なスキルが必要なため

 本記事の冒頭で紹介した新卒が身に着けるべきスキルのトップは、データ分析だった。顧客ニーズを見極めるために不可欠なデータ分析だけではなく、商品企画をする際の論理的思考力や課題解決力、社内に企画を通すためのコミュニケーション力やプレゼンテーション力、広告出稿に欠かせない情報収集力や判断力など、マーケティング業務のどのフェーズでも、求められるのは高度なスキルだ。

募集に対して応募が多いため

 そもそも経験者が歓迎される仕事であることに加えて、新卒からの人気が高いことも、マーケティング職に就くのを難しくしてしまっているといえる。人気の理由は、いったん身に着けたら専門職として長く活躍できることが挙げられる。デジタルマーケティングでは、成果を数字で確認できるという分かりやすさに加えて、SNSやアプリ、Webなどの身近なツールを使う面白味もあるといえる。

希望を具体的に絞り込んでいくステップ

 仮に競争率が高いとしても、新卒でマーケティング職を目指すのは不可能ではない。どのような企業でマーケティングに携わりたいのか、現実的に希望を絞り込んでいくステップを紹介しよう。

事業会社か支援会社か

 最初のステップは、事業会社か支援会社かを選ぶことだ。事業会社とは、自社商品やサービスを提供する会社のことで、具体的にはメーカーやサービス提供会社が該当する。支援会社とは事業会社の経営支援をする会社のことで、調査会社やマーケティング会社、広告代理店などがあてはまる。

 マーケティング職に就きやすいのは、支援会社のほうだ。新卒で事業会社のマーケティング部門に配属される可能性よりも、マーケティング会社に就職するほうが、マーケティング職に就ける可能性は高い。事業会社なら自社商品・サービスについて深く、支援会社なら商材を幅広く取り扱うことになる。

取り扱う商材

 商材は、有形商材か無形商材かという2種類に大きく分かれる。有形商材は商品のことで、無形商材はサービスと理解していい。

 有形商材の良さは、明確に形を持ったモノを取り扱うため、数値化しやすく分かりやすいことだといえる。日常的に消費される消費財や比較的長期間使用する耐久消費財など、どのような商品にするかで企業数は絞り込まれるだろう。

 それに対して無形商材は、サービスという目に見えないものを取り扱うことから、有形商材よりも難しいといっていいだろう。

 支援会社の場合、どのような商材を取り扱うことが多いのか確認しておくことをおすすめする。

ベンチャーか大手か

 ベンチャー企業か大手や有名企業か、どちらを好むかによって選び方は変わってくる。ベンチャーの場合は、革新的な商品・サービスの開発や事業成長のスピードの速さ、裁量範囲の広さといった特徴がある。

 大手や有名企業の場合、商品・サービスやブランドに対する安心感、認知度の高さ、大規模なプロジェクトに参加できる可能性などが特徴として挙げられる。自分はどちらを好むか、それぞれの企業文化と自分の価値観がマッチするかという視点で考えよう。

日系か外資か

 一般的に、日系企業と外資系企業との間には、企業文化の違いがある。

日系と外資の違い

  • ジェネラリストかスペシャリストか
  • 協調性か自主性か
  • 実力主義かどうか

 日系の場合、ジョブローテーション制度に代表されるように、いくつかの職種を経験することも珍しくはない。外資の場合は職種ごとに募集があり、その職務を果たしているかという目で見られる。

 成果に強くコミットするというのも、外資の特徴だ。自分から積極的に動き、どんどん仕事を進めていくことが好まれる。日系の場合には、上司の指示や許可のもと、与えられた業務を遂行していく傾向があるといえるだろう。

 仕事ができる人材には、より大きな仕事を任せたり、成果に応じた報酬で応えていったりするのも外資の特徴で、年齢や経歴などはあまり影響しないといえる。

マーケティング職の中でもどれがいいか選ぶ

 本記事の中で触れているように、マーケティング職の中には、いくつかの業務がある。例えば、消費者リサーチやデジタルマーケティング、商品企画、Web広告運用、店頭での販売促進企画などだ。希望を聞かれた際に答えられるようにしておこう。この業務に携わりたくて準備を進めてきたという説明ができれば、説得力が増すはずだ。

新卒がマーケティング職に就く可能性を高める方法

 最後に、新卒からマーケティング職を目指す場合、どのような経験を積んでおけば可能性を高められるのかについて触れておきたい。

SNSを運用する

 アカウントのコンセプトや想定しているターゲット、実際の投稿、投稿に対する反応などで、どのようにSNSを運用しているかがわかる。フォロワー数がどのように伸びたか、伸ばすためにどのような工夫や改善を行ったかなどを記録しておくと、成長の過程が可視化されるため、アピール材料にすることも可能だ。

セミナーに参加する

 近年では、本や動画などでマーケティングの知識をマイペースに学べる。しかし、実際に集まるセミナーに参加することをおすすめしたい。理由は人脈だ。学ぶ仲間やアドバイスを求められる経験者、就職した後にも交流できる同期のような存在を作っておくことは、その後の財産になる。

インターンで経験を積む

 実際にインターンでマーケティングを経験しよう。OB・OGや先輩の紹介だけでなく、インターンの募集サイトなどで、募集中の会社を確認できる。知識を学ぶことは大切だが、実際の職場での作業の流れや工夫などに触れることが可能だ。

 新卒がマーケティング職に就くのは狭き門だが、不可能ではない。本記事を参考に、学生のうちにできることを積み重ねて、新卒からマーケティング職を目指そう。

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この記事の著者

マーケ研究所(マーケケンキュウジョ)

 マーケティングに関する情報を調べ、まとめて届けています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/03/17 08:30 https://markezine.jp/article/detail/43510

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