2022年のフェアトレード市場規模、過去10年で最大に
フェアトレード・ラベル・ジャパンの報告書によると、2022年は市場規模が195.6億円と、前年比+24%の伸び率となりフェアトレード市場は伸び続けている。一方で、X(旧Twitter)からのフェアトレードに関するソーシャルボイスはここ10年のグラフで見ると年々減少している状況だ。
これらの結果から、市場が伸びている一方で、フェアトレードの話題性が薄れてきているということが見て取れる。
一般的に市場が伸びている場合、ソーシャルボイスも増加する傾向にあり、このような現象は珍しい。なぜこのような反比例が起きているのだろうか。ソーシャルボイスを深掘りすると、次のような声が見られた。
フェアトレードのコーヒー豆は専門店に行かないと、なかなかない。けれど、〇〇(店名)で提供されるコーヒーは99%がフェアトレードのもの。来店する客のほとんどはそのことを知らないんじゃないかな。生産者と顧客を無理なく続けているところが、このお店の素晴らしいところ。
先の声から、企業努力によりフェアトレードの原料利用が増え、「知らないうちに消費している」生活者が多いように見える。
しかし、SNS上での話題量減少を踏まえると、生活者側の意識改革も必要なのではないだろうか。「目に見えづらいアクション」を、生活者が自ら進んで「行いたい!」と思ってもらうために、企業が行える取り組みとは一体、何なのだろうか? 本記事では、フェアトレード商品を好んで購入している生活者の声からヒントを探っていきたい。
「買うモノの背景」も含めた購入の価値観の変化
今回は、身近な嗜好品のコーヒーとチョコレートから、フェアトレード商品を好んで購入する理由を探っていく。まず、フェアトレードコーヒーについて、選ぶ理由として下記のような声が見られた。
以前は何も考えずに安くておいしいコーヒー豆を買っていたから、毎日2杯も3杯も飲んでいた。しかし生産地で働かされている現地の子どもの状況を知ってからフェアトレードの豆しか買わないことにした。高いからガブガブ飲めないけれど、1杯のコーヒーを感謝して飲むようになった。
「いつも飲むモノを良いものにしたい」という価値観が、味だけでなく「買うモノの背景」も含まれるよう、選択基準が変化している。「買うモノの背景」を気にするきっかけは、国や企業を飛び越えた、世界や当事者からの情報が増えたことに影響を受けたと考えられる。