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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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【特集】「知らなかった」では済まされない、法規制とマーケティング

個人データ取得・活用の作法:「データを提供しても良い」と思ってもらえる体験設計が鍵

データを基に顧客の健康を支える

──ここ数年でデータの取得・活用に関する法整備が進みましたが、御社では顧客のプライバシー保護とどのように向き合っているのでしょうか?

 外部のデータと自社のデータを突合する際は、個人が特定されないよう注意しています。現在は個人関連情報、いわゆるCookieを基に情報を突合していますが、将来的には取得できなくなるでしょう。今後はデータの取得・活用についてお客様から積極的な同意を得る必要があります。お客様が「この会社にならデータを提供しても良い」と思えるようなサービスや顧客体験を我々は設計しなければなりません。

──「データを提供しても良い」と思ってもらえるサービスや顧客体験とは、たとえばどんなものですか?

 オーラルケアを主軸に事業を展開しているため、当社には「お客様のオーラルケアをより良い体験にしていきたい」という思いがあります。これまでも、主力ブランドの「G・U・M」を歯周病と戦うブランドと位置付けて情報を発信してきましたが、できることは情報発信にとどまらないはずです。

 たとえば、オンラインショップとコミュニティ、アプリをまたいだシームレスな顧客体験の提供です。クラブサンスターを訪れたお客様の中から、特定の商品を必要としていそうな方を見出し、オンラインショップでご案内するなど、目下取り組みを進めています。

 お口の健康はもちろん、そこを入口として全身の健康に貢献していきたいという思いもあります。実は、小売店舗と当社のオンラインショップでは販売している商品群が異なるんです。前者ではオーラルケアアイテムを中心に展開している一方、後者では健康食品を中心に扱っています。たとえばオーラルケアで当社に関心を持ってクラブサンスターに登録してくださった会員に向けて、健康食品をおすすめすることもできるはずです。

毎朝30分の情報収集で最新情報を押さえる

──浜辺さんはデータ利活用プロジェクトのメンバーとして他部署と協働する機会も多いと思います。組織の壁を解消するために意識していることを教えてください。

 ブランドチームとコミュニケーションする際、データの収集や利活用について「こんなことを実現したい」とこちらの希望を伝えるだけでは、なかなか協力を得られないと思います。データの収集からブランドマーケティングの実行までをこちらが設計するくらいのつもりで、自分の役割を限定しないよう意識しています。

──デジタルマーケティングの領域においては、実務に関連する法改正が度々行われています。これらの情報をどのようにキャッチアップし、対策を講じていますか?

 データマーケティングは新しい技術が次々と出てくる領域ですから、最新情報をキャッチアップするための時間を毎朝30分間設けています。加えて、チーム内でも他社の取り組み事例や注意すべきポイントを持ち回りで発表し、知見を共有する時間をつくっています。

 法規制は確かに進んでいますが、顧客中心のマーケティングを追究すれば、規制は自然な流れだとも感じます。社内研修の機会を設けるなど、組織としてプライバシー保護の対応を今後も進めていきます。

──最後に、顧客データの取得・活用に関する御社の目標をお聞かせください。

 お客様に安心してデータをお預けいただくために、我々ができるのはより良い体験・サービスを提供することです。これまではセルフケア領域を中心に情報を発信してきましたが、国民皆歯科検診の導入が検討される中、当社がセルフケアとプロケアを橋渡しするような存在になりたいと思っています。たとえばセルフケアを中心に取り組んでいる方に向けて、必要なタイミングでプロケアをレコメンドする。そんな取り組みにデータを活用していきたいと考えています。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/11/27 09:30 https://markezine.jp/article/detail/44188

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