※本記事は、2023年11月刊行の『MarkeZine』(雑誌)95号に掲載したものです
【特集】「知らなかった」では済まされない、法規制とマーケティング
─ 生成AI活用時の「法的なトラブル」を避けるために知っておくべき観点
─ 「ステマ規制」導入で 何が変わる? 企業が押さえるべき ポイントと考え方
─ マーケターが改正電気通信事業法に対応するために必要な3つのステップ
─ ステマ規制のポイント:法令順守と倫理観をセットで考え、判断できるか?
─ ステマ規制のポイント:インフルエンサーを尊重しつつ法抵触のリスクを最低限に!トリコの取り組み
─ 個人データ取得・活用の作法:法令順守の一歩先へ ブランドアセットに紐づく対応を
─ 個人データ取得・活用の作法:「データを提供しても良い」と思ってもらえる体験設計が鍵(本記事)
─ プラットフォーマーに聞く①多角的に安全で健全な環境を整備し続けるMetaの取り組み
─ プラットフォーマーに聞く②TikTokが取り組み続ける「信頼できる広告環境」作りとは?
─ プラットフォーマーに聞く③安心安全な環境と快適な広告体験を届ける、LINEヤフーの方針
─ 「今まで同様にやっていきたい」という考えを捨てる時。ステマ規制への向き合い方と注意点
データを突合しロイヤルカスタマーの理解を促進
サンスター株式会社 デジタル戦略グループ グループ長
浜辺康平氏
国内製薬会社、外資系生命保険会社、デジタル広告代理店などを経て2020年から現職。生活者向け・医療従事者向けコミュニティサイトの運営を担当するほか、CDPプロジェクトマネージャーとして全社の顧客基盤構築とデータ活用の推進に取り組む。
──サンスターでは2022年度より、データの活用プロジェクトが本格始動したそうですね。具体的な取り組み内容を教えていただけますか?
CDPを導入し、社内横断型のデータ活用プロジェクトを立ち上げました。プロジェクトの主な目的は顧客理解です。我々メーカーはお客様との直接的な接点が少ないため、顧客理解が進んでいないことを全社的な課題と捉えていました。つくり手の都合で商品開発やコミュニケーション設計をしてもヒット商品は生まれにくい。そのような意識からプロジェクトが始まった流れです。
顧客理解と一口に言っても、お客様の種類は様々です。当社では現在ロイヤルカスタマーの理解を優先的に進めています。ドラッグストアやスーパーを訪れると、何種類もの歯ブラシが並んでいますよね。そんな厳しい競争環境において、当社の商品を買い続けてくださるお客様がいます。数%のロイヤルカスタマーの購入額が、ブランドの売上全体で大きな割合を占めているのです。その方々が当社の商品を買ってくださっている理由を紐解き、他のお客様への施策に応用することで、ロイヤルカスタマーをさらに増やす狙いがあります。
──どのような方法でロイヤルカスタマーの理解を試みているのでしょうか?
自社で運営するコミュニティサイト「クラブサンスター」を主な接点として取り組んでいます。数十万人の会員データと外部の購買データをCDPで突合し、ロイヤルカスタマーの定義やあてはまる方の特徴を把握しているところです。
元々は自社のオンラインショップとアプリ、クラブサンスターで個別の顧客基盤を抱えていたのですが、CDPの導入にともなってバラバラに管理していたデータを一元管理できる状態にしました。