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【特集】「知らなかった」では済まされない、法規制とマーケティング

ステマ規制のポイント:インフルエンサーを尊重しつつ法抵触のリスクを最低限に!トリコの取り組み

 ステルスマーケティングが景品表示法違反となったことで、対応に不安を感じる企業は多いだろう。インフルエンサーマーケティングを実施するときに気を付けるべきポイントを、CARTA MARKETING FIRMとトリコの2社に聞いた。トリコはパーソナライズビューティケアブランド「FUJIMI」やヘアケアブランド「GINZUBA」を展開し、インフルエンサーを起用したマーケティング施策を数多く行っている。そんな同社に、法抵触のリスクを可能な限り抑え、かつユーザーに届く広告を展開するために実践している具体的な取り組みを聞いた。

※本記事は、2023年11月刊行の『MarkeZine』(雑誌)95号に掲載したものです

定常的に第三者の専門家の意見を仰ぐ体制を構築

トリコ株式会社 マーケティング 奥隅俊太氏

トリコ株式会社 マーケティング 奥隅俊太氏

大学卒業後、新卒でセプテーニに入社。営業担当としてWeb、APP問わず様々な業種の広告ディレクションを経験。その後2021年7月にトリコに入社。マーケティング部門のマネージャーを務める。

──今回の法規制により、トリコではデジタル広告の企画運用の現場にどのような影響・変化があると考えていますか?

 トリコとしては、これまでの経験をもとに、景品表示法や薬機法に詳しい企業や弁護士など社外の第三者と連携し、法令を順守できる体制を整えてきました。そのため今回の法規制が始まったからといって、現場が新たな影響を受けることはほとんどないと考えています。

 細かなレギュレーションの整理などは、社外の専門家に協力をお願いする部分もありますが、基本的には自社内で管理するようにしています。

──トリコは、多くのインフルエンサーと協働してPRを行っています。インフルエンサーとコミュニケーションを取るときに気を付けていることや工夫されていることがあれば、教えてください。

 企画時点はもちろん、インフルエンサーの方からクリエイティブが上がってきたとき、そして投稿後まで、何段階かに分けて確認のフローを踏むことで、世の中にステマに該当するようなものが出てしまうことを防いでいます。

 まずインフルエンサーを選定する段階では、その方が法律に違反しているような発信をしていないか、倫理観のある発信をしているかを、過去の投稿を遡ってチェックします。起用するインフルエンサーを選定した上で、実際に依頼する段階では、弊社のルールに沿っていただけるかをインフルエンサー本人に確認。承諾していただいた方のみに依頼をします。また、「このような表現はNG」といったレギュレーションを記載したマニュアルを渡すなど、インフルエンサーの方と当社で認識を統一するようにしています。

 そして、インフルエンサーの方にPR投稿を作成していただいた後は、下書きを当社に共有していただきます。ここは他の企業ではあまりないフローかもしれません。下書きの共有に抵抗があるインフルエンサーの方もいるかもしれませんが、当社の場合は、この対応に協力していただける方のみにお仕事の依頼をしています。

 その後、作成された下書きを見て法に触れる表現がないかを社内でチェックし、問題がなければ投稿する準備を進めます。もし表現について判断の難しい部分があれば、冒頭にお話ししたような社外の専門家に確認するようにしています。もちろん、基本的にはインフルエンサーの方の表現を尊重していますが、やはり、意図しない伝わり方になってしまう可能性を完全に防ぐことは難しいものです。そのような意図せぬ伝わり方があった場合は、後から修正対応をしていただくこともあります。

(左)FUJIMIシーズナルローション&エマルジョン (右) FUJIMIパーソナライズサプリメント 商品はパーソナライズ分析をもとに、一人ひとりの顧客に合ったものを提供。プロテインからサプリメント、スキンケア商品、ヘアケア商品まで、プロダクトは多岐にわたる。
(左)FUJIMIシーズナルローション&エマルジョン (右) FUJIMIパーソナライズサプリメント 
商品はパーソナライズ分析をもとに、一人ひとりの顧客に合ったものを提供。プロテインからサプリメント、スキンケア商品、ヘアケア商品まで、プロダクトは多岐にわたる。

各媒体の最新情報にキャッチアップ

──今回の法規制をはじめ、各媒体による規約の変更など、デジタルマーケティングの領域においては、実務に関連するアップデートが度々あります。どのようにこれらの情報にキャッチアップし、対応を講じられていますか?

 媒体情報に関しては、定期的に媒体社様と定例会を開き、最新情報を共有していただくことでキャッチアップしています。たとえば、Instagramでは広告時に用いるフォーマットとしてMeta社が推奨しているものがあります。トリコはフィードでもストーリーズでも、このフォーマットを用いてタイアップの設定を行っており、下書きの段階でもこの点はしっかり確認しています。

インフルエンサーの視点や想いを乗せていく

──最後に、デジタル上でインフルエンサーと一緒にプロモーションを企画運用していく際、トリコが意識していることを教えてください。

 広告という性質上、完全に実現することは難しいかもしれませんが、お客様目線を大切にしています。流れてきた広告を見てお客様が不快な思いをしてしまうというのは、私たちが望んでいることではありません。どのような環境であっても、お客様目線を常に忘れずにプロモーションを展開していきたいと考えています。

 また、私たちにとってのお客様とは、プロダクトのユーザーはもちろん、一緒にPRをしていただくインフルエンサーの方も含まれています。皆さん、クリエイティブの品質を高めるために試行錯誤されていたり、インフルエンサーであり続けるために多くの努力をされたりしています。このようなインフルエンサーの方々の想いや視点を私たちが理解し、そして多くの方々に届けるための取り組みも行っており、その一例として「ask my beauty」というインタビュー企画があります。これは、FUJIMIのブランドコンセプトである「私らしい美しさ」をテーマに、インフルエンサーの皆さんに美や健康にまつわるお話を聞くというものです。

 FUJIMIのマーケティングにおいて、インフルエンサーは非常に重要な存在です。今後もインフルエンサーの方々と二人三脚で、進んでいきたいと思います。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/12/12 11:05 https://markezine.jp/article/detail/44169

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