吉本興業がRobloxに感じている魅力とは
続いて、吉本興業のオンラインチケット事業やメタバース関連事業を手掛けるFANYの梁氏、田中氏に吉本興業がRobloxに注目する理由や現在の取り組み、今後の展望を聞いた模様をお届けします。

MarkeZine編集部(以下、MZ):FANYでは2023年5月に「FANY X Lab on Roblox」を立ち上げ、Robloxに関する取り組みを活発に行っています。その背景を教えてください。
梁:FANYは2022年5月、メタバース事業およびタレントアバター事業「FANY X」をスタートし、メタバース関連の様々な取り組みを企業や自治体の協力のもと行ってきました。
その中で感じたのは、集客と空間を作った後の運用の大変さです。メタバースはバズワードになっている一方で、空間を作ることがゴールになってしまい、作った場所に人が来ない、作ったきりで放置されてしまうという課題がありました。その中で出会ったのがRobloxでした。
Robloxと出会った頃、すでに小学生などの間で流行っていて、日本国内でじわじわ来ていて、知らないのは大人だけという状態でした。小学生たちの間ではRobloxが放課後のたまり場になっていたんです。その中でRobloxが2023年本格的に日本市場に参入すると聞き、これはFANY Xでやるしかないと、「FANY X Lab on Roblox」の立ち上げに至りました。
MZ:Robloxの魅力はなんだと思いますか。
梁:メタバースでも、ゲーミングプラットフォームでもない点ですね。どちらかに振り切っていない分、没入型の体験を提供できるんだと思います。また、グローバルで圧倒的なDAUも魅力ですね。
吉本興業に所属している芸人さんにとっても、Robloxでゲームする様子を配信したり、Robloxのゲームクリエイターになったり、仕事の場が広がると考えています。
現在は実験を重ねている段階
MZ:現在は「ダイアン落とし」「無限ジョイマン」「よしもと障害物競走」「FANY X 月面劇場」が提供されていますが、これらのゲームにした理由を教えてください。
田中:最初は手探り状態なので、まずはアバターとして魅力のある人を立てたいと思い、ダイアンさんとジョイマンさんを起用したゲームを作りました。たとえば、ダイアンさんは自分たちでゲーム配信もされていますし、ギャグもあるのでゲームにしやすいんですよね。グローバルのユーザー数としてはまだこれからですが、リリース時にはダイアンさんのファンの方が集まってプレイしてくれていました。
MZ:これからFANY XのRoblox活用を進めていく上で、どのような戦略を考えていますか。
梁:Robloxを通じてどうやってマネタイズするかは日々考えています。Robloxだと集客ができれば後は自然と売上も付いてきますので、集客につながる仕掛けを打ちたいです。
吉本興業オリジナルのバーチャル空間「FANY X 月面劇場」では、お笑いライブができるんじゃないかと思っています。フォートナイト内でアーティストがライブをしているのが話題になっているので。また、アバターで笑いの表現ができる芸人というのも出てくる気がしています。
Robloxの可能性は未知数なので、今はちょっとおもしろいワクワクする未来を作るための実験を重ねる段階だと思っています。
アイテムリリース、プログラミング教育、YouTube配信など様々な展開を予定
MZ:最後に今後の展望を教えてください。
田中:まず、Roblox上で使えるアイテムをすでにリリースしているのですが、今後も追加していきたいです。また、「NOBU PROJECT」に関してはしっかり投資をして作っていきます。
また、Robloxに関するプログラミング教育やRobloxに関連したYouTube配信といった取り組みを行っていく予定です。
梁:FANYはファンとよしもとをもっと近くにすることをモットーに、ファンクラブやオンラインサロンを展開してきました。それに加えてRobloxで芸人さんとファンの皆さんが集まって交流できる場所を作れると触れ合えてる感が生まれると思っています。
また、Robloxではイマ―シブ広告(ワールド間をつなぎ、集客を支援するメニュー)を提供していますが、企業のワールド開発のお手伝いもしていきたいです。メタバース関連の案件にはたくさん携わって成功も失敗もしてきたので、その知見を活かした支援ができればと思います。