広告経由の売上は40%増 CPAは50%も改善
──The Trade Deskが提供するDSPの特徴を教えてください。
伊藤:配信の最適化は、我々が自信を持っているポイントです。当社のプラットフォームでは自社開発の自動最適化AI「Koa(コア)」を採用しています。Koaをより有効に機能させるためには、一定のデータボリュームが必要です。ここで言うデータボリュームとは、コンバージョン数のことを指します。コンバージョン数が増えれば増えるほど、Koaに取り込むデータボリュームが増え、最適化の精度が増していくのです。
伊藤:今回は最初に「ブランドサイトへの来訪者数」をコンバージョンに設定してデータボリュームの最大化を図りました。来訪者数が増えてからは「お悩み相談ページの閲覧」や「会員登録」「購入」など、より深度のあるアクションをコンバージョンに設定し、それらのアクションに至るユーザー数が最大化するよう最適化の指示を出していきました。
──今回のキャンペーンによって得られた成果を教えてください。
谷古宇:約2ヵ月間キャンペーンを実施した結果、指名検索数は10%、広告経由の売上は40%増加しました。Web広告全体のCPAも50%の改善が見られ、認知拡大のための広告であっても、配信を最適化すれば獲得につながることがわかりました。また「何のクリエイティブを何回見た人がコンバージョンに至りやすい」というユーザーの条件を把握できた点も大きな収穫でした。
──今回の成功要因はどのような点にあったとお考えですか? The Trade Deskが工夫したポイントもあわせてお話しください。
伊藤:The Trade DeskのDSPは複数の媒体に広告を配信することができますが、今回は広告代理店様とプランニングを進めた結果、数ある媒体の中から注力媒体として「ABEMA」を選定しました。キャンペーンの期間にABEMAでは高校野球を放映していたため、アンファー様の商品に興味を持っていただけそうな年代の方が多く番組を視聴していると考えたのです。同時期に他の媒体にも広告を配信しましたが、ABEMAでの配信を通じて得られた効果が非常に高かったです。
クリエイティブ×配信面の相性と細かい検証が成功の鍵
谷古宇:成功のポイントはクリエイティブにもあります。元々メディカルミノキ5のテレビCMでは、タレントの草彅剛さんと香取慎吾さんを起用して「ミノキ兄弟」というキャラクターを考案し、インパクトのあるクリエイティブで第一想起率を上げる狙いがありました。ただ、指名検索数を増やすためにはインパクトを与えるだけでなく、商品の特徴をしっかりと伝える必要が生じます。
そこで今回は、動画広告用にオリジナルのサウンドロゴ(※2)を制作しました。「髪が生える、髪が抜けない」という強烈なフレーズを特徴的な音声で伝えることにより、テレビCM素材の流用だけでは得難い成果を出せたと考えています。
※2 効果音やメロディーを使い、企業名や商品などを宣伝する楽曲のこと
伊藤:広告の運用面では、広告代理店様と密に連携しながら設定するコンバージョンを細かくチューニングし、「この数値を最大化したら次はこの数値を最大化しよう」「この数値が増えるまでには時間がかかりそうだから、次のアクションはこうしよう」という具合にスピード感をもって進められた点が成功要因でした。
──クリエイティブと配信面がうまく嚙み合ったことと、細かい検証を重ねながら配信の最適化を行ったことが成果に作用したわけですね。