効果的なクリエイティブに重要なのは、素材・編集・効果予測
では縦長動画の中で、どんな要素がクリエイティブに含まれると効果的に働くのだろうか。それに対し服部氏は「パフォーマントクリエイティブ」という指針が出てきたと語った。
「Business as usualとしてやっていたものに、この要素を加えると、より効果が出るとわかってきました」(服部氏)
VCLでは、“素材・編集・効果予測”という3つのステップで、クリエイティブの効果を担保している。まず素材制作のために、2023年にサイバーエージェントが新設した 「極AIお台場スタジオ」を活用。同スタジオはLEDパネルを組み合わせて撮影ができるほか、スキャンシステムやモーションコントロールカメラなどの最先端設備を有している。
動画撮影の際、グリーンバックで撮った後にマスクを切っていくのは非常に骨の折れる作業だ。それをせずとも使える素材を撮影できる点について、服部氏は「革命的だ」と評価。実際、親和性の高い背景を活用した方が、効果が高いこともわかっているという。
「これにより季節や天候に関わらずどんな風景でも撮影できます。たとえばウォーターサーバー企業の商材では、滝を背景に撮影しました。同素材は、CVが通常のものに比べて約270%伸長しました」(久慈氏)
「冒頭3秒」を攻略するには「モジュール化」が有効
次は、編集について。動画には、文字の位置やBGMなど、編集で工夫できる要素が数多く存在する。その中でもVCLでは、動画をモジュール化して捉えることを一番重要視しているという。
「弊社内で制作したパフォーマンスが良い広告を調査したところ、開始3秒時点での平均再生率は約19%でした。逆に言うと、Metaさんに評価され効果が出ている広告でも、80%のユーザーは3秒で離脱してしまうのです。“冒頭3秒の攻略”は、編集では最重要項目です。だからこそ動画を約3秒ごとに切り、CTAでモジュール化することで成果の再現性を高めています」(久慈氏)
意識しているポイントは、続きが気になる仕掛けをどう作るかだと久慈氏は話す。「実行しやすいテクニックとしては、冒頭3秒のSTOPPER部分で『絶対見てね』などの呼びかけをすることです。あとは自分ゴト化させることが重要」だと指摘した。
では実際の事例を見てみよう。写真をアプリで現像できる、ALBUS(アルバス)の事例では、冒頭で推し活をしているユーザーに向けて語りかけている。加えて、勝ちパターンのひとつでもある「制作過程」の型が採用された。同素材は、他の素材に比べ170%もの再生回数をたたき出した。
続けて紹介された事例は玄関から始まる動画。玄関を開けると、段ボール箱があり、その段ボール箱を開けると商品が入っているという構成だ。
「これはメーカーさんなど、商品を作られているお客様であれば使える形です。弊社ではこれを玄関素材と呼んでいます。玄関は『家の中に何があるのだろう』という期待感が醸成でき、入って見てみたい気持ちにさせます。色々な商材で試せる手法です」(久慈氏)