工数とコストを大幅削減、誰もが簡単にAIを使えることの意義
━━一つのバナー広告を最短5分ほどで作成可能なのは工数やコストの削減に大きく寄与しそうですね。
そうですね。実際、多くの企業がこの部分に魅力を感じてくださっています。一般的には、バナー広告のクリエイティブ制作を外注すると、1万~3万円ほどかかってしまうことが多いです。これらの費用が削減できるためROIの改善が期待できます。
また、クリエイティブの制作や変更のために、外部の関係者に指示出しや修正依頼などを行った場合、コミュニケーションコストもかかってしまいます。OneDesignを活用することにより担当者一人で完結できることもポイントです。操作が非常に簡単なので、現場のディレクターや営業といった“非デザイナー”の方々でも、クライアントから情報や素材を提供してもらってすぐに自分で画像を作ることができます。
━━Adobe Photoshopのファイル形式である「PSDファイル」でのダウンロードを可能にしていますが、何か狙いはあるのでしょうか。
OneDesignでは現状、シンプルな画像を生成することに特化しています。そのため、一度クリエイティブの下地をOneDesignで作成してから、細かい装飾や配置変更などの編集が行いやすいように多くのデザイナーが利用しやすいPSDファイルでも書き出せるようにしました。
最終的には、プラットフォーム上だけで完璧なクリエイティブを作れることを目指してはいますが、現在は編集の自由度を上げることで「クリエイティブに手を加えたい」というニーズに応えるのがPSDファイルでダウンロードを可能にしている狙いです。
曖昧だったクリエイティブの良さを定量的に判断
━━「CVR推論」の機能は、具体的にどのように活用できるのでしょうか。
CVR推論では、OneDesignで生成した画像に対してCTR・CVRの数値を予測し、事前にスコアリングします。過去のMetaでの配信データをもとに、見られたクリエイティブと、クリエイティブを見た人数、クリックされた数、さらにはCVに至った数といった数値を解析し、そのデータを基に推測するものです。
生成した30枚ほどの画像をA~Dの4段階でスコアリングするため、それを基に予測値が高いものから使えます。この機能を活用することで、広告のパフォーマンスが高まることはもちろんですが、クリエイティブの客観的な評価が可能になったこともポイントだと感じています。
従来、クリエイティブ領域では、定量的にクリエイティブの評価をすることが難しかったため、どうしても定性的に“何となく良いもの”を選ばざるを得ませんでした。しかし、CVR推論の機能を活用することで良いクリエイティブの基準を数値で見える化できるようになったこともポイントです。