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有園が訊く!

人の検索行動は変わるのか? SEO第一人者の渡辺隆広氏が見据える、検索エンジンマーケティングの未来

Googleを使わなくなっていく?

有園:検索行動の変化によって、検索エンジンの使い方も変わるのでしょうか。

渡辺:私は長年、検索エンジンの使い方について大学生にインタビューをしています。その中で、10年ほど前に、Googleを使う人を3つに分類しました。1つ目は、Google以外の検索エンジンも使った経験があり、その上でGoogleを選ぶ人。2つ目は、大学や職場など、周りの環境に影響されてGoogleを選ぶ人。3つ目は、GmailやYouTubeを使っているから、何となくGoogleを使う人です。

 1つ目のように、いろいろな検索エンジンを使った上でGoogleを選ぶ人は、今の若い世代では少なくなりました。では、2つ目と3つ目の行動に生成AIがどう影響するか。今後5年たったら、周りの環境に合わせて自然と生成AIを選んで使うことが増えるのではないでしょうか。何も考えずにGoogleを使っていた人が、他の選択肢を覚えていく。そうなると、Googleを使う人は徐々に減っていくのかなと見ています。

有園:あらためて確認したいのですが、検索エンジンと生成AIのサービスは別物なのでしょうか。カニバリゼーションが発生するのか、という観点で考えると、生成AIは「検索して何かを探す」ために使うのではなく、「このデータからわかることを教えてもらう」「文章の要点をまとめてもらう」「外国語の動画の内容をまとめてもらう」などといった使い方になり、検索エンジンとは別物になります。

渡辺:基本は別物ですが、一部重なるところもあると思います。全体として、「新しいことができるようになった」という捉え方になるのではないでしょうか。

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan 有園雄一氏
Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan 有園雄一氏

大学生のスマホ画面、検索フォルダに「Yahoo!知恵袋」がある理由

有園:若い世代の“検索エンジン離れ”が起きていると言われていますが、どのように見ていますか。

渡辺:大学生へのインタビュー調査では、10年前と比べると明らかに変化しています。まず、Googleという名前が出てこない人が増えました。論文を書いている大学院生などは「Googleを使う」と答える人も多いですが、大学2~3年生だとそうとは限りません。ある大学3年生の女性のスマホ画面を見せてもらったところ、「検索」というフォルダに入っていたのが「Yahoo!知恵袋」でした。「Googleはキーワードを入れるのが難しい。わからないことは人に聞いた方が早い」だそうです。

 また、ランチでいろいろな飲食店に行くという20代の知り合いは、「以前はGoogleで店を探していたが、今はInstagramで探す」と言っていました。Google検索だと、来店したことがあるかわからない人が書いたおすすめ記事や、事実なのか判断できない口コミが出てくるからです。Instagramで写真を見て、興味を持ったらGoogleマップでお店の場所を確認するそうです。

 コンテンツの絶対量が少なかった時代は、ほしい情報を求めて検索するしかなかったため、Googleを使ってWebサイトを行ったり来たりして目的を達成することが一般的でした。しかし、今はSNSのプラットフォームごとにコンテンツや人が集まるようになりました。そこでほしい情報を探せるし、質問があれば投稿主などに直接聞けます。Google一辺倒だった検索行動が、用途によって使い分けるように変わってきたのです。

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検索エンジンで集められない情報の重要性

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。

地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/09/02 08:00 https://markezine.jp/article/detail/46184

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