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今知っておきたいマーケティング基礎知識

【徹底解説】Web広告の種類と特徴|効率的な運用のコツを5つ紹介


 企業のマーケティング活動の中で、Web広告は欠かせないものとなりました。マーケティングの手法としてWeb広告を取り入れると、効率的に見込み顧客の獲得や認知の拡大を図れます。自社においてもWeb広告を取り入れたいが「広告や媒体の種類が多くて、どれから始めればよいのかわからない」「効率的に認知拡大や見込み顧客を獲得するには、どのようにWeb広告を活用したらよいのかわからない」という人も多いでしょう。本記事では、Web広告のメリット・デメリット、広告や媒体の種類から広告を運用する際のコツを紹介します。ぜひ最後まで読んで、自社のマーケティング活動に活かしてください。

Web広告とは何か

 Web上のメディア(媒体)やSNSなどに掲載される広告の総称で、デジタルマーケティングの手法の一つです。簡単にいうと、GoogleやYahoo!などの検索エンジンでなにかを検索した際に表示されるリスティング広告や、ブログや大手ポータルサイトにバナーを活用して表示されるディスプレイ広告、InstagramやX(旧Twitter)などSNS上に掲載されるSNS広告などが該当します。Web広告の種類は豊富で、他にもさまざまな広告があります。

 Web広告は紙媒体の広告に比べて自由度が高く、配信結果もリアルタイムで見れるためPDCAを回しやすく効率的に成果を高められます。

Web広告のメリット・デメリット

 Web広告は、新聞や雑誌・看板などのオフライン広告と異なり、配信結果の効果計測が行いやすい広告です。これからWeb広告の配信を始める人は、メリット・デメリットを理解して準備を進めましょう。

 メリット・デメリットそれぞれについて簡単に紹介します。

メリット1.少額の予算から始められる

 Web広告は、テレビや新聞・雑誌・ラジオに比べ少額の予算から配信を行えます。テレビや新聞などの場合、広告の掲載に数十万円から数百万円の費用が必要になるため、なかなか手が出ない企業も多いでしょう。

 Web広告の場合、事前に上限予算の設定が可能なので、予算を超えて広告が掲載されることはありません。予算の設定も自由度が高いので、テレビや新聞などと異なり取り組みやすい広告になります。

メリット2.短期間で効果を確認できる

 テレビや新聞などと異なり、Web広告は配信してからの効果をリアルタイムに計測できます。

 Web広告は各媒体が設けている広告審査をクリアすると、任意のタイミングで出向を開始できます。出稿後は広告の表示回数やクリック数、消化金額などを確認できます。

 広告の配信準備から配信、効果計測までのスピード感はWeb広告ならではの特徴です。

メリット3.細かいターゲティング設定ができる

 Web広告はターゲットユーザーの年齢層や性別、趣味や興味関心、検索しているキーワードなどから広告配信対象者を絞り込むことが可能です。ターゲットを絞り込むことで、商品・サービスに興味関心を持つ可能性が高い最適なユーザーのみに広告を配信でき、効率的に予算を活用できます。

 自社でWeb広告を配信する際には、商品・サービスのターゲット像を把握して「誰」に「どんな広告」で「どんなメッセージ」を「どの媒体」で「何を見ているとき」に届けたいのか整理してターゲティング設定を行いましょう。

メリット4.配信途中でチューニングができる

 Web広告は配信の途中で広告内容のチューニングが可能です。配信開始してからの効果計測で、思いどおりの効果が出ていないと感じたとき即座に広告テキストやバナーの差し替えができます。

 配信中の広告のパフォーマンスを確認しつつ、都度チューニングを行うことで効率的な広告配信ができるでしょう。

メリット5.効果測定によりPDCAを回せる

 Web広告は、配信データが収集されるため実績をもとづいた分析結果を活用したPDCAを回せます。新聞や雑誌では可視化しづらかった数値を計測でき、効果改善につながります。

 広告テキストやバナーごと、ターゲティング別にも数値を見られるので、より効率的な広告戦略を展開出来るでしょう。

デメリット1.Web広告を運用するには知識が必要になる

 Web広告を配信して成果を出すには、各広告媒体の特徴やターゲティング設定、利用可能な配信設定など専門的な知識が必要不可欠です。

 独学でも学べますが、すぐに身につくものではないので知識のある経験者に教えてもらいましょう。細かい知識は実際に広告を運用していくことで身につけやすくなります。

デメリット2.競合他社の出向が多いと単価が高騰する可能性がある

 Web広告は、テレビや新聞・雑誌などに比べて細かいターゲティング設定が行えるほか、参入障壁が低いため他の企業も出稿しているケースは多いです。競合他社の出稿が多いと、ターゲットが近しいためキーワードや掲載面の単価が高騰し、費用が高くなる可能性があります。

デメリット3.成果を上げるには配信実績を多角的な分析する必要がある

 Web広告では、PDCAを回すことで改善を図れるメリットがあると紹介しました。いずれも効率的な改善に結びつけるためには、配信実績から現状を多角的に分析するスキルが重要になります。

 現状の広告運用で思うような成果を得られていない場合、改善策を求められます。闇雲に提案するのではなく、現状の数値や過去の実績を元にした分析が必要です。事実と過去の実績から、仮説を立てて施策を見つけます。仮説を立てて思考する力は、実際の広告運用を通じて習得し伸ばしていきましょう。

Web広告の種類

 Web広告は配信する媒体やプラットフォーム、課金形態や配信手法などによって分類されています。ここでは、主要となる10種類を紹介します。

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 各広告について、簡単に紹介します。

1.リスティング広告

 GoogleやYahoo!などの検索エンジンでユーザーが検索したキーワードに対して関連性のある広告が掲載されます。ユーザーが能動的に検索行動を起こした際に表示される広告のため、顕在層を自社サイトに誘導できる広告です。

 たとえば、都内で一人暮らしを検討している人は「都内 一人暮らし 家賃」などを検索するでしょう。こうしたニーズの高い検索に対して広告を掲載できるため、効率的な獲得につながります。

 課金形態はクリック課金です。人気のキーワードは競合他社も買い付けているケースが多く、1クリックあたりの単価が高騰します。

 リスティング広告は、最低出稿金額が定められていないので取り組みやすい広告です。ユーザーが検索するであろうキーワードを想定して効率よく顕在層へアプローチしましょう。

2.ディスプレイ広告

 Webサイトやアプリの広告枠に表示される広告です。バナーや動画が活用できるため、顕在層だけでなく潜在層に向けた視覚的なアプローチができます。

 デモグラフィック(年齢・性別・居住地)のほか、興味関心などを活用したターゲティング設定を行うことで、商品・サービスに興味を持つであろうユーザーに対して訴求できるため、認知拡大などでも活用されます。

 課金形態はクリック課金とインプレッション課金の2つになります。媒体によって異なりますが、Googleの場合は目的によって使い分けることができます。

3.リターゲティング広告

 過去に自社サイトや商品LPに訪れたユーザーに対して広告を表示できる手法です。課金形態はディスプレイ広告同様にクリック課金とインプレッション課金の2種類があります。

 ユーザーの多くは1度の訪問で商品購入に至らずに離脱してしまうケースがあります。そこでリターゲティング広告を活用して、自社の商品やサービスを思い出してもらい購入や申込につなげます。

 比較的購買につながりやすい手法ですが、ユーザーに繰り返し広告を表示させるため、「追いまわされている」といったネガティブな印象を与える可能性もあるので、1ユーザーあたりに広告を掲載する回数に制限を設けましょう。

4.アフィリエイト広告

 ユーザーが広告を経由して商品の購入や申込に至ったときや、広告主が定めた成果条件を満たすと広告費が発生します。

 ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)に契約し、広告を出稿したい商品・サービスの情報を掲載してアフィリエイターが運営するWebサイトやSNSアカウントに商品・サービスの広告を配信してもらう流れになります。

 ユーザーの購入意欲を搔き立てる広告を掲載するケースが多く、比較的顕在層へのアプローチに向いています。もちろん、無関心層や興味関心層へのアプローチも可能です。

5.リワード広告

 アプリのインストールや認知拡大を目的とした際に活用されることが多い広告です。特徴としては、動画の視聴あるいはアプリのインストールといったアクションを起こしたユーザーにもリワード(特典)が与えられることです。

 主にスマホのゲームアプリなどで利用されており、広告を閲覧するとアプリ内で使用できるアイテムやポイントなどが用意されています。

 特典を貰えるため、動画視聴やアプリインストールを行うユーザーが多く短期間での認知拡大などに寄与します。

6.SNS広告

 X(旧Twitter)やFacebook・InstagramなどのSNS上に掲載される広告です。日常的に情報収集として活用しているユーザーが多く、幅広い世代にアプローチを行えます。広告がタイムラインの中に自然と溶け込む形で掲載されるので、他の広告に比べてユーザーにストレスを与えません。課金形態はクリック課金とインプレッション課金の他に、媒体によってはエンゲージメント課金があります。

 プラットフォームによってはリポスト機能があり、拡散性に優れています。自社商品やサービスへの興味関心の有無に関わらず、たくさんのユーザーに認知してほしいときにおすすめの広告です。

7.ネイティブ広告

 Webサイトやメディアに掲載される広告です。広告フォーマットが、記事やサイト内の投稿に近い形なので、サイト内のコンテンツに自然に馴染む特徴があります。広告色が薄いので、クリック率を高めることができます。SNS広告も、ネイティブ広告といえます。

 SNSを除くと、GunosyやSmartNewsなどがネイティブ広告にあたります。課金形態は媒体によってさまざまです。

 Webサイトやメディアに溶け込む形で広告を掲載できるため、無関心層や潜在層に向けた認知拡大に適しています。

8.タイアップ記事広告

 媒体と提携してWebサイト内で自社の商品・サービスのPR記事を掲載する広告です。課金形態は媒体によって異なるので、事前に媒体社に確認しましょう。

 特徴は、提携先媒体の記事のような体裁で広告が掲載される点です。媒体が持つ信頼感や知名度を利用して、無関心層や潜在層に向けて自社の商品・サービスの認知拡大を図れます。

 広告配信には記事が必要なので事前の記事制作の期間が発生します。広告の配信希望時期が決まっている場合は、早めに準備を進めるようにしましょう。

9.動画広告

 広告の配信フォーマットに動画を活用したものをさします。代表的なものではYouTubeが挙げられます。他にもTikTokやSNS広告でも動画のフォーマットが使用可能です。課金形態は、期間固定型やインプレッション課金・視聴課金があります。

 動画広告の大きな特徴は、静止画に比べて伝えられる情報量が多いことです。音声を入れることで、よりユーザーの意識に残りやすくなります。そのため、自社商品・サービスを知って貰うきっかけになる広告です。

 一方で、動画はバナーに比べて制作費が高くなります。あらかじめ広告予算と相談して実施の有無を検討しましょう。

10.純広告

 特定の媒体が保有している広告枠を一定期間買い取り広告を配信する手法です。媒体社側で配信を行うので、自社で運用する手間が掛かりません。媒体ごとに広告掲載費用が定められており、効果の有無に関わらず広告費が発生するので注意が必要です。

 ユーザーアクセス数の多い媒体が広告枠を用意しているケースが多いため、ブランディングや認知拡大を目的に利用されます。有名なものでは「Yahoo!ブランドパネル」があります。

Web広告の主要媒体8選

 Web広告は媒体の数も多岐にわたります。ここでは、Web広告を実施する際に基本的に導入される主要となる8媒体の特徴を紹介します。各媒体の特徴を捉えて実施媒体の選定を行いましょう。

1.Google/Yahoo!:リスティング広告

 リスティング広告は、低予算でいつでも開始できる魅力があるものの、少額過ぎるとなかなかPDCAが回せずに改善が上手くいかないことがあります。PDCAを回すことを考えるとひと月20〜50万円ほどの予算があるとよいでしょう。

 購入・申込意欲の高い顕在層へのアプローチを得意とする広告です。実施の際にはGoogle・Yahoo!の2媒体で実施し、取りこぼしがないようにしましょう。

2.Google/Yahoo!:ディスプレイ広告

 ディスプレイ広告は、配信に使用できるフォーマットがバナーや動画なのでユーザーに視覚的に情報を届けられます。リスティング広告と比べてクリック単価が安価なので認知の拡大に適しており、予算が限られている場合にも導入しやすいでしょう。

3.YouTube:動画広告

 Youtubeは動画フォーマットの広告なので、短い時間でしっかりと情報をユーザーに届けられるメリットがあります。一方で、5秒経ったらスキップされることやネガティブな印象を与える可能性があります。動画を作る際に、いかに5秒以上見てもらえるか、もしくは5秒でインパクトを残せるのかを意識しましょう。

4.Facebook:SNS広告

 Facebookはプロフィールを登録して利用するため、精度が高いターゲティングを行えます。一方で、利用ユーザーの年齢層が30-40代中心とやや高く、商品・サービスとマッチしない場合にはあまり効果につながらないでしょう。

 また広告管理画面の仕様変更も多いため柔軟な対応が求められます。しかし最低出稿金額は100円なので、商品・サービスのターゲット層と利用ユーザーの年齢層がマッチしている場合には積極的に導入しましょう。

5.Instagram:SNS広告

 日常的に情報収集をInstagramで行うユーザーも少なくありません。Facebookを運営しているMetaのプラットフォームになるため、Facebook広告同様に精度の高いターゲティング設定が可能です。

 ビジュアルが重要な媒体になりますが、自社の商品・サービスのビジュアルに魅力がある場合や、クリエイティブ制作に力を入れられる場合は、取り入れることをおすすめします。

6.X(旧Twitter):SNS広告

 X(旧Twitter)は、ユーザーの趣味嗜好が明確に現れるSNSなので細かいターゲティング設定が可能です。しかし、年齢や性別、居住地域などは登録必須ではないためデモグラフィックのターゲティング精度はやや低い可能性があります。

 リポスト機能があり拡散性が非常に高いため、認知拡大を図りたいときなどに高い費用対効果を発揮できる媒体です。

7.TikTok:動画広告

 TikTokは10代の利用者層が全体の66.4%を占めており、若年層へのアプローチに適した媒体といえます。入稿できるフォーマットは5秒~60秒の動画になります。Youtubeと同様に動画広告になるので、バナーに比べて多くの情報をユーザーに届けられます。

 動画制作に費用が掛かりますが、若者に向けた商品・サービスを展開している企業にとっては費用対効果が期待できる媒体でしょう。

8.A8:アフィリエイト広告

 A8は国内最大手のASPで、提携メディア数の多さが特徴的です。ユーザーアクセス数が多い有力メディアや自社商品・サービスにマッチしたメディアが見つかりやすいのもA8の魅力です。

 成果報酬の広告費の他に初期費用(5万円)と月額利用費(4万円/月)が発生します。契約は最低6カ月からになるので、導入する際には広告予算以外に固定費が掛かることを忘れないように注意しましょう。

Web広告の課金形態

 Web広告には、さまざまな課金形態があります。代表的な課金形態を6つ紹介します。

 自社が広告出稿を行う際に参考にしてみてください。

1. クリック課金型

 広告がクリックされるごとに広告費が発生する課金形態です。「CPC(Cost Per Click)課金」と呼ばれることもあります。

 クリックが起点となる課金方式なので、広告が表示されただけでは広告費は発生しません。Webサイトや商品・サービスLPへのアクセスを増やしたいときや、購入・申込を目的とした際に適しています。

2.インプレッション課金型

 広告が1,000回表示されるごとに広告費が発生する課金形態です。「CPM(Cost Per Mille)課金」とも呼ばれます。

 自社のブランドや商品・サービスの認知拡大を狙うときに最適な課金方法です。

3.エンゲージメント課金型

 ユーザーが広告に対して特定のアクションを起こしたときに広告費が発生する課金形態です。「CPE(Cost Per Engagement)課金」とも呼ばれます。

 SNS広告で使用されるケースが多く、ユーザーが「いいね」や「リポスト」、「リプライ」など行った際に課金されるしくみです。広告の拡散やユーザーとの関係構築に適しています。

4.成果報酬課金型

 ユーザーが商品購入や申込のアクションを完了したときに広告費が発生する課金形態です。「CPA(Cost Per Action)課金」とも呼ばれます。

 主にアフィリエイト広告で使用される課金形態です。成果につながるアクションにのみ課金できるので、適切に運用できれば高い費用対効果が期待できます。

5.視聴課金型

 動画広告で使用される課金形態で一定の秒数動画を視聴する、もしくは動画広告をクリックするなどのアクションを起こした際に広告費が発生します。「CPV(Cost Per View)課金」とも呼ばれます。

 一定時間視聴されてからの課金になるため、バナー広告が目に留まるだけよりも内容を理解してもらえる可能性が高い傾向にあります。

6.期間保証型

 純広告で使用される課金形態です。一定期間広告を掲載する枠を買い取り、掲載を保証してもらうものです。「CPD(Cost Per Day)課金」とも呼ばれます。

 広告の効果の有無に関わらず、掲載される期間で広告費が発生します。代表的なものでは、ブランド認知などを目的に実施されるケースが多いYahoo!ブランドパネルが、期間保証型課金の広告です。

Web広告の配信予算の決め方

 Web広告を配信する際に頭を抱えるのは媒体選定だけではありません。いくらの広告予算を投資するのか悩むこともあるでしょう。特に運用型広告は予算設定の自由度が高いため、苦心しがちです。

 代表的な広告予算の決め方を紹介します。

1. 損益分岐点から逆算する

 商品の売価から原価を含む販売コストを差し引いた金額を損益分岐点と仮定し、その金額を超えないように広告費を設定しましょう。

 たとえば、1個1万円の商品をWeb広告活用してプロモーションを行う場合、売価1万円に対して4,000円の販売コストが掛かるとすると、損益分岐点は6,000円になります。1個あたり6,000円を超えた予算設定を行うと赤字になる計算です。仮にWeb広告からの販売目標数を100個とした場合、活用できる広告費は最大で60万円になります。ただし、60万円では利益が出ませんので、60万円以内での予算設定が必要になります。

 損益分岐点からの逆算は、高額商品やリピートされにくい商品の広告予算決定に向いています。

2. 売上目標額から逆算する

 事前に設定した目標の売上金額に広告費に充てたい一定の割合を掛けて算出します。

 たとえば、売上目標金額が1カ月200万円で10%を広告費に充てたい場合、1カ月の広告費は20万円になります。目標の売上金額を元に算出する方法なので、簡易的に予算を算出したい人におすすめです。

 損益分岐点からの逆算同様に、売上目標額からの逆算も高額商品やリピートされにくい商品の広告予算決定に向いています。

3.LTVの考え方から逆算する

 LTV(ライフタイムバリュー)は、ユーザーが自社の商品・サービスを使い始めてから使用しなくなるまでの期間に企業に与える利益を指し、ユーザーがリピーターになることの価値を表しています。LTVからの逆算では、リピートの平均回数を広告費に掛けて予算を算出します。

 たとえば、1回に2,000円の利益が出る商品をユーザーが1年間で平均5回リピートしたとします。この商品が1カ月に40個売れる場合、広告費は2,000円×40個=8万円になります。ここに年間平均リピート数の5回を掛けて8万円×5回=40万円となり、1カ月に使える広告予算は40万円が上限ということになります。

 あらかじめリピート回数などがわかっていないと算出が難しい方法になるので、既存商品でWeb広告を配信する際の予算算出に活用するとよいでしょう。

4.キーワードから算出する

 リスティング広告の予算算出のみに活用できる方法になります。Google、Yahoo!それぞれがキーワードからの予測額を算出してくれるツールを用意しています。

 たとえば、「化粧水」の月間予測額が60万円の場合、60万円以内で広告予算を設定します。

 広告予算の決定方法を4つ紹介しました。商品・サービスの価格などにより向き不向きがあります。どの決定方法が適しているか整理して活用しましょう。

使用するWeb広告・媒体の選び方

 Web広告は、適正な広告や媒体を選定できないと効果につながりません。実施するWeb広告を選ぶ際には下記の2点を意識して選びましょう。

  • 広告を実施する目的から選ぶ
  • ターゲットユーザーが利用している媒体から選ぶ

 それぞれ、Web広告や媒体を選ぶ際に具体的にどのような意識を持てばよいのか詳しく紹介します。

1.広告を実施する目的から選ぶ

 Web広告を実施する目的を整理して適正な広告や媒体を選びましょう。認知拡大を図りたいのか、競合他社の類似商品を検討している人に自社の商品へ関心を持って貰いたいのか、購入を検討してるユーザーに最後の一押しをしたいのか、目的によって打ち手はさまざまです。

 まずはWeb広告を実施する目的を整理しましょう。目的が明確になると、どの広告・媒体が最適なのかがわかります。

2.ターゲットユーザーが利用している媒体から選ぶ

 商品・サービスのターゲットとなるユーザーが利用している媒体を活用することが重要です。ターゲットとマッチしない媒体を選定してしまうと効率が悪化し成果につながりません。

 たとえば、40代の女性に向けたスキンケア商品の広告配信をX(旧Twitter)で行っても思いどおりの成果は得られないでしょう。X(旧Twitter)は10代~30代のユーザーが多い媒体です。40代のユーザーもいますが、ボリュームが少ないため効率的とは言えません。このようなミスマッチを防ぎ、効率よく成果につなげるために、ターゲットとなるユーザーが利用している媒体なのか調べた上で選定しましょう。

Web広告を効率的に運用するコツ5選

 初めてWeb広告の配信を始めるにあたって、不安を抱えている人もいるでしょう。Web広告を効率的に運用するために抑えるべきコツを5つ紹介します。

1.目的とターゲットを明確にする

 広告を配信する目的と情報を届けたいターゲット像を整理して明確にしましょう。さらに広告と接触したユーザーに「どんな行動を取ってほしいか」を考えられると広告効果を高める運用ができるでしょう。

 整理ができないと最適な媒体や配信手法を選定できません。商品の購入や申込を目的としているのに、ディスプレイ広告やSNS広告を配信しても成果を得られません。具体的に目的やターゲット像を定義しておくと、効率よく成果を出せる運用を行えます。

2. ニーズが顕在化したユーザーに向けた広告配信を優先する

 どの企業でも広告を配信するからには売上を作る必要があります。売上を上げるためには、より商品の購入や申込に近い顕在層のユーザーへのアプローチが最適です。

 広告としては下記の3つが適しています。

  • リスティング広告
  • リターゲティング広告
  • アフィリエイト広告

 まずはこの3つを導入して売上を作ることを意識しましょう。

3.潜在層にアプローチできる広告を配信する

 顕在層へのアプローチも十分にでき売上も安定してきたら、潜在層にアプローチできる広告を配信しましょう。顕在層へのアプローチだけでは、いずれアプローチ可能なユーザーの母数が枯渇してしまう恐れがあります。

 中長期的な目線を持ち、無関心層や潜在層のユーザーに向けて広告を配信しましょう。すぐの商品購入や申込は見込めません。しかし、将来的に購入や申込に至る可能性があります。ディスプレイ広告やSNS広告、動画広告などを活用して認知の拡大を図りましょう。

4. ターゲット設定やクリエイティブなどを見直して定期的に改善する

 Web広告はリアルタイムで数値が計測されるので、定期的にターゲット設定や広告テキストやバナー・動画がクリックされているか、購入や申込につながっているかをチェックしましょう。

 表示されているがクリックされていないものや、購入や申込は獲得できているが獲得単価が他に比べて高いものの見直しが必須です。

 バナーも、ずっと同じものを掲載しているとユーザーの反応は鈍くなります。定期的に新しい広告を入稿して既存の広告と効果検証を行い、成果につながるものだけに精査しましょう。

5.KPIを設定し効果測定を行う

 Web広告を配信する目的によってKPI(指標)は異なります。KPIが定まっていない場合、分析や改善するための打ち手を考えにくくなります。

 Web広告を配信する際に使用されるKPIを一部紹介します。

  • インプレッション数(imp):広告が表示された回数
  • クリック数:広告がクリックされた回数
  • クリック率(CTR):表示された広告をユーザーがクリックした割合
  • コンバージョン数(CV):購入や申込(コンバージョン)に至った回数
  • コンバージョン率(CVR):広告をクリックしたユーザーが購入や申込に至った割合
  • コンバージョン単価(CPA):購入や申込(コンバージョン)を1件獲得するために掛かった広告費

 広告の効果を最大限に引き出すためにもKPIを設定して、PDCAサイクルを回しましょう。

 その他、ROAS(費用対効果)などの指標については『ROAS計算の重要性を知り、広告効果の最大化を狙う戦略を立てよう』で詳しく紹介しています。

まとめ

 Web広告のメリット・デメリットから広告や媒体の種類、広告運用を実施する際のコツを紹介しました。

 これからWeb広告の運用に取り組む初心者の人は、本記事を参考にして広告を配信する目的やユーザーにどのような行動を起こさせたいのか整理してみてください。広告予算も紹介した方法を活用すれば、適正な広告予算を設定できます。運用のコツを忘れずに配信後においても、ターゲティング設定や広告テキスト、クリエイティブの計測結果を元に定期的に見直しを図りましょう。

 広告や媒体によって得手不得手があります。しっかりと特徴を理解して、自社の商品・サービスの売上拡大に貢献しましょう。

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マーケ研究所(マーケケンキュウジョ)

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2024/11/30 21:25 https://markezine.jp/article/detail/46429

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