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【特集】Update:BtoBマーケティングの進化を追う

案件創出数は3年で3倍に 旭化成エレクトロニクスが辿ってきたABMの軌跡

Tierをバレンタインチョコに例える作戦

──2023年の体制変更と同時期にABMを強化し始めたとうかがいました。具体的にどのようなことに取り組まれたのでしょうか?

 施策を意味のあるものとするため、Tierを次のように定義しました。

Tier 1 to 1

 何かしらの情報が得られた場合、営業へ直ちにパスする企業。優先度は最も高い。

Tier 1 to few

 特別なコンテンツを用意して、良好な関係を築きたい企業。優先度は高い。

Tier 1 to many

 人手に余裕があればアプローチしたい企業。優先度は普通。

 Tierを定義した後は、海外を含む全拠点の営業担当者の協力を得ながら、顧客を各Tierに分類しました。

 3つのTierをイメージしやすくするため、バレンタインチョコに例えるアイデアを思いつきました。Tier 1 to 1は「大本命チョコ」を渡したい相手で、こちらのアプローチに少しでも反応をいただけたら直ちに対応します。Tier 1 to fewは「本命チョコ」のお相手で、特別なコンテンツを用意して訪問をお待ちする温度感です。Tier 1 to manyは「友チョコ」のように、汎用的なコンテンツで広くアプローチする相手を想定しています。この“バレンタイン大作戦”は、あくまで私個人がTierに対する理解を深める目的で始めたものですが、ABMに対する意識は企業全体で徐々に高まっていると感じます。

──Tierの定義やリードのグルーピングを行う際に、苦労したことがあれば教えてください。

 同じ顧客でも、海外の拠点と国内の拠点で優先度が異なるケースには苦労しました。従来は営業が各拠点の方針に沿って独自にアプローチしていましたが、昨年の体制変更にともない、営業部門とのリードマネジメントプロセスを見直したのです。これにより、ABMをトップダウンで進められるようになったことは大きな一歩だと感じます。

Webページの閲覧回数をスコアに含めない理由

──冒頭で挙がったスコアリング精度の低さも、体制変更にともなって改善されたのでしょうか?

 はい。顧客のアクティビティの熱量をスコアリングに反映できるよう、ルールやシステムを作り直しました。具体的には「Webページの閲覧1回につき1点加点」という旧ルールを撤廃し、Webページの閲覧回数をスコアに含めないようにしたのです。当社には数多くの製品があるため、自社の製品同士で比較検討されるケースや、1つのアプリケーションで複数の自社製品を扱うケースがあります。つまり、複数の製品ページが閲覧されていても、案件の数としては1つにカウントできるわけです。そこで、Webページの閲覧回数は加点の対象とせず、あくまでプロダクトスコアとして参照するにとどめています。さらに「資料のダウンロード1回につき1点加点」というルールも、1日に1回しか加点しないルールに変更しました。スコアの急上昇を防ぐ狙いです。

 加えて、Tierを属性スコアとして加点しています。Tierが高いリードほど属性スコアが高いと見なす、つまり下駄を履かせるような形です。こうすることにより、Tierの高いリードでアクティビティが発生した場合は、即座にMQLとして営業にパスすることができます。

 なお、営業にMQLとして渡った後にリサイクルされたリードは、スコアをゼロに戻すようにしています。これにより、古いリードほどスコアが高まる現象を防ぎ、現在の熱量をスコアに反映できるためです。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/02 09:30 https://markezine.jp/article/detail/46773

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