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マーケティングの近未来

Googleは「解体」されてしまうのか?独占禁止法にあたる法律違反の影響を考察

 米国大手IT企業・プラットフォーマーを数社にわたり経験してきた著者によるコラム。2024年8月5日、米国連邦地方裁判所がGoogleに対して独占禁止法にあたる法律違反を認める判決を下したことを受け、見解を述べる。

Googleに独占禁止法違反にあたる判決が下った

 米国連邦地方裁判所は2024年8月5日、Googleの独占禁止法にあたる法律違反を認める判決を下した。この裁判の結果を受けて、「Google検索が圧倒的に優れいていると、自分はGoogleを信じていたのに……」と、ちょっと騙されていたような気がする人、どこか喪失感や失望感という複雑な心境の人がいるようだ。このような感覚については、自分も理解できる。

 裁判所の意見書によると、「98%の確率で」Microsoft Bingのほうが速かった事実が明るみにでた。裁判所の資料に、そんな分析結果が紹介されている。正直いって、私も驚いた。Googleの社内調査で、Microsoft Bingのほうが優れているとGoogle自身が認めていた事実を、裁判所が書いている。なぜ、Appleにお金を渡す必要があるのか? なぜ「開発者やメーカー側に巨額の契約料を支払い、自社の検索サービスを初期設定」にさせていたのか? といったことなどが、判断材料に使われている。技術力のお陰で多くのユーザーを獲得したわけではないとして、その証拠の一つに使われている。

 今回の裁判についての「MEMORANDUM OPINION(裁判所の意見書)」が公開されている。280ページを超える法的英文なので読み込むには時間がかかるが、この資料のp49には「Bingのほうが”劇的に速かった”」と書いてある。

「In 2017, Google analyzed its latency relative to Bing and determined that, for certain popular queries on Google, 25% of the time, the SERP took more than three seconds to load. UPX2026 at 122. Bing was “dramatically faster[.]” Id. at 123. Its first result arrived sooner 98% of the time.」

(意訳:2017年に、Googleは、Bingとの比較でレイテンシーの分析をした。特定の人気のある検索クエリに関して、そのとき25%の確率で、検索結果ページ(SERP)のローディングに3秒以上の時間を要した。Googleは、Bingのほうが”劇的に速かった”と結論付けた。Bingの最初の検索結果ページは98%の確率でGoogleより速い速度で読み込まれた。)

出典:「MEMORANDUM OPINION」

 「98%の確率で」Microsoft Bingのほうが読み込み速度が速かった。裁判所の意見書によると、そのようなケースが他にもあったようだ。そのため、検索市場を独占するために違法行為に手を染めていった。その結果、Googleは「ネットの検索などの分野で公正な競争を妨げた」と判決し、裁判所は司法省による訴えを認めた。日本の独占禁止法にあたる法律に、Googleは違反している、と。

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Google検索が圧倒的に優れているわけではない

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この記事の著者

ヴァイオレット・エヴァーインディゴ(ヴァイオレット・エヴァーインディゴ)

1990年代に米国西海岸に留学し、シリコンバレーで就職。1998年のGoogle誕生に衝撃を受け、ネット広告・デジタルマーケティング領域に職域を転換。2000年代初めに帰国。米国大手IT企業・プラットフォーマーを6社経験。デジタルマーケティングのコンサルティングを生業とする。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/09/11 08:00 https://markezine.jp/article/detail/46791

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