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第107号(2024年11月号)
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効果を最大化するコンテンツ企画&集客の考え方とは? 年間600件支援、イベントのプロ・猿人に聞く

 イベント施策はマーケティングにおいて無視できない。一方、集客やコンテンツ作りなど課題も多い。本稿ではマーケティングイベント「MarkeZine Day」を担当するMarkeZine編集部の道上飛翔が、年間600件以上のイベント・セミナーを支援する猿人の土谷竜介氏、阿久津慎吾氏へ「イベント成功の鍵は何か?」をテーマにインタビュー。同社の知見と、IT担当者300人へのアンケート調査から得られた最新インサイトを掛け合わせながら、イベント担当者にとって共通の課題である「企画」と「集客」を中心に、実践的なノウハウを深堀りする。

企画段階の「そもそも」問題

道上:私はMarkeZine Dayというイベントでコンテンツ企画やオペレーションなど幅広く担当しています。猿人様のイベントマーケティング支援の実績や担当領域を教えていただけますか。

阿久津:私たち猿人はIT業界のクライアントを中心に、コンサルティングやイベントマーケティング、デジタルマーケティングなど幅広い領域でBtoBマーケティング支援を提供しています。「イベント」という観点で言うと、お客様のニーズに合わせて小規模なセミナーから企業のフラッグシップとなるような大型カンファレンスまで幅広くご支援しています。展示会も同様です。それぞれ、企画や集客、前後施策、リードマネジメント、ブランディングに至るまで、イベント制作の括りとらわれず包括的に支援をさせていただいています。

株式会社猿人 執行役員 阿久津 慎吾氏
株式会社猿人 執行役員 阿久津 慎吾氏

道上:今回は猿人様の知見だけでなく、御社が情報システム担当者300名に実施したアンケート結果も交えてイベント施策についてお話をうかがっていきます。まずはアンケート調査の概要を教えてください。

土谷:ユーザー側の行動として、インターネット上での情報収集の一般化が進んでいます。同時にBtoBマーケティングにおいてもデジタルの手法がどんどん進化しています。加えて、コロナ禍を経て、オンラインとリアルのハイブリット化が当たり前です。他方、コロナ禍の反動のせいか、イベントの需要は非常に高く、規模も大きくなり、回数も増えています。

 この中で企業のマーケティング担当者は、デジタルを優先していくべきなのか?イベントに代表される対面施策を優先するべきなのか?悩みを抱えています。

 加えて、イベントを企画するにしても、明確な根拠もなく感覚でイベント計画を立てていることが多いのも実情です。どのようにイベントを組み立てていけばいいか自信がなく、かといって成果は上げなければならない……。そんなマーケティング担当者の皆さんに、イベントプランをする際に少しでも役に立つ、プランの根拠となるような情報を提供したいと考えたのがきっかけです。

阿久津:そこで、情報システム、研究開発・設計部門、ITリーダー層という、ITツールを選定する担当者へwebアンケートを実施しました。どのようなチャネルで情報を収集しているか、イベントへ参加する目的、登録の決め手、リアル開催で行ってほしい要素などを聞いています。

道上:ありがとうございます。私たちも探りながらイベントを企画しているので、担当者の方の悩みに共感します。ちなみに猿人様に寄せられる相談で、多くの企業に共通するものはありますか?

土谷:問い合わせ内容は大きく分けて2つのパターンがあります。1つは、「イベントに出展したい・開催したい」という明確な要望があるパターン。もう1つは、「出したい成果はあるが、何をすべきかわからない」という、より上流からの相談です。

 猿人が実施した企業のIT担当者へのアンケート調査では、「新しいITツールを選定・導入検討する際、最も利用する情報収集手段」として、「情報メディア」(48.0%)に次いで、「ITツール・サービスを提供する企業主催のイベント」(23.1%)と「イベント会社・メディアなどが主催するイベント」(21.5%)が上位に挙がりました。デジタル化が進む中でも、実際に担当者とFace to Faceで情報収集できるオフラインイベントのニーズが高いことがわかっています。

新しいITツールを選定・導入検討する際、最も利用する情報収集手段「ITツールを選ぶ際の情報収集についてのアンケート」より
新しいITツールを選定・導入検討する際、最も利用する情報収集手段(「ITツールを選ぶ際の情報収集についてのアンケート」より )

 しかし、いざイベントを企画するとなると「何を目的とするのか」「誰をターゲットにするのか」「いつ、どのくらいの規模で開催するのか」といった、イベントが求める成果や全体像が明確になっておらず、開催すること自体が目的化してしまっているケースが多く見られます。とても当たり前のことではありますが、私たちはこれらのポイントを整理しながらお客様に企画をご提案しています。

阿久津:イベントの実施が決まっている場合だと「いつ頃開催するのがいいのか」「どの会場を選べばいいのか」「どう集客すればいいのか」「どのようなコンテンツで構成すればいいのか」といった悩みを持つ担当者様が多いですね。

土谷:たとえば「いつ頃開催するのがいいのか」という点について、アンケート調査によると、イベントに参加しやすい開催時期は「こだわりはない」(55.6%)が最も高いという結果でした。一方で参加の決め手となるのは「テーマ」という結果も出ています。開催時期については、競合他社の動向などの懸念もありますが、「自社がお客様にとってもっとも魅力的なテーマとコンテンツを提供できるタイミングが、最も適した開催時期」と言えると思います。

有名人のゲスト登壇は有効?

道上:とはいえ、魅力的なコンテンツ作りは課題の1つだと思います。芸能人やスポーツ選手などの著名人に登壇してもらうセッションは様々な業界で企画されますが、これは有効だとお考えですか?

阿久津:コロナ禍の途中、オンラインイベントが乱立し始めたあたりから、集客に苦戦する企業が増えたタイミングがあり、それ以降、著名人を呼びたいという要望が増え続けています。しかし、ただ闇雲に著名人を呼べば良いかと言うと、そうではないと考えています。たとえば、AI関連のソリューションの企業様であれば、アカデミックな視点からAIの未来を語れる教授など、イベントのテーマに合致した人選を提案することが多いです。

土谷:アンケート結果を見ると、大型イベントの参加目的は「業界の最新動向を得られるから」(81.5%)が圧倒的に高く、登録する決め手となるのも「開催テーマ」(79.6%)が大多数です。つまり、「著名人が出るから行こう」という動機は低く、あくまで「イベントの内容」で参加を決めている方が多いのが実態です。

大型イベントに参加登録する1番の決め手(「ITツールを選ぶ際の情報収集についてのアンケート」より
大型イベントに参加登録する1番の決め手(「ITツールを選ぶ際の情報収集についてのアンケート」より )

 一方で、おもしろい結果も出ています。過去に大型イベントに参加して「よかった」と思ったコンテンツを尋ねると、「有識者やタレントによる特別講演」(24.1%)が最も高いんです。「業界の最新動向を聞きたいから」と参加はするけれど、著名人などのゲスト講演はやはり満足感につながっていることがうかがえます。

 来場目的になる講演、満足度を高める講演など狙いを分けて企画することが大切だと感じます。

過去に大型イベントに参加した際によかったコンテンツ(「ITツールを選ぶ際の情報収集についてのアンケート」より
過去に大型イベントに参加した際によかったコンテンツ(「ITツールを選ぶ際の情報収集についてのアンケート」より )

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 記事内で紹介している、情報システム担当者に行った調査結果を実際にお手元でご確認いただけます。ぜひ、イベント企画の立案にお役立てください。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

堤 美佳子(ツツミ ミカコ)

ライター・編集者・記者。1993年愛媛県生まれ。横浜国立大学卒業後、新聞社、出版社を経てフリーランスとして独立。現在はビジネス誌を中心にインタビュー記事などを担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社猿人

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/11/27 10:00 https://markezine.jp/article/detail/47222

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