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メルマガの6通に1通は届いていない!? マーケターが知っておくべき到達率UPのための対応策とは?

 メールマガジンなど大量のメールを届けることは実は難しく、スパムではない正当なメールでも6通に1通は受信トレイに届いていないという衝撃的なデータが明らかになっています。Gmailの新ガイドラインへの対応を進める企業も多い中、実は技術的な要件以外にも、到達率を大きく左右する重要なポイントがあります。本記事では、株式会社構造計画研究所の田中琴音氏が、世界で月間1,480億通の配信実績を持つ「Twilio SendGrid(トゥイリオ センドグリッド)」のノウハウをもとに、マーケターが今すぐ取り組むべき具体的な施策を解説します。

届かないメールに、時間と労力を費やしている可能性

──まず田中さんの業務内容・ミッションについて教えてください。

 構造計画研究所は、米国発のクラウド型メール配信サービス「Twilio SendGrid(以下、SendGrid)」の正規代理店として、日本国内の事業者向けにSendGridの導入支援やノウハウの提供を行っています。私は2019年に入社後、2021年からSendGridのマーケティングを担当しています。

構造計画研究所 Twilio SendGrid マーケティング担当 田中琴音氏
構造計画研究所 Twilio SendGrid マーケティング担当 田中琴音氏

──メールマーケティングは、現在の企業のマーケティング活動においてどのような役割を果たしているとお考えですか?

 古くからある手法ですが、メール通数は年々増加しており、現在も世界中で広く活用されている有効な手段の1つだと考えています。メールアドレスはほぼすべての人が持っていますし、他のチャネルと併用することで幅広い層へのリーチが可能です。1通あたりの送信コストも低く、ネット広告やSNS広告と比較してもROIの高い施策と言えます。さらに、顧客の属性や行動履歴に基づいたパーソナライズ配信も容易で、開封率やクリック率などからPDCAを回しやすい点も強みです。

──メールマーケティングにおいて現在、企業が直面している課題は何でしょうか?

 メールのコンテンツ制作に悩む担当者の方も多いですが、着目すべきは「メールの到達率」です。せっかく作成したメールも、受信トレイに届かなければ意味がありません。「メールが確実に届いているか」も改めて確認いただきたいポイントです。

正当なメールでも6通に1通は届いていない

──メールが届かない原因には、2023年10月にGoogleが発表(2024年2月に施行)した送信者向けガイドラインの改定が挙げられるのでしょうか?

 ガイドライン改定も1つの要因ではありますが、実はそれ以前から、メールはただ送れば届くというものではなくなっていました。Validity社のレポートでは、スパムではない正当なメールでも約6通に1通は受信トレイに届いていないというデータが示されています。

正当なメールの到達率

 メールの通数やスパムメールの増加にともない、メールボックスプロバイダは受信トレイを守るための対策を強化してきました。今回のGmailのガイドライン改定は、これまで推奨扱いだったメールの送り方が必須要件となり、要件を満たさない送信者のメールは届かなくなる可能性を明示したことから、大きなインパクトがあったのだと考えられます。

──その要件とは、どのようなものだったのでしょうか?

 1つ目は、「自分が正当な送信者であり、安全な方法でメールを送信している」という技術的な要件を満たすこと。2つ目は、受信者が必要としている読まれるメールを送る、不要なメールの配信解除を受信者が簡単にできるなど、“送信者としての適切な振る舞い”をすることです。

ガイドラインが求めていること

 具体的にGmailの新ガイドラインでは、ワンクリックでの配信停止機能や、迷惑メール報告率の低減などが求められます。

 長い間メールが読まれていなかったり、受信者の迷惑メール報告率が高かったりすると、送信者の信頼度が低下し、迷惑メールフォルダへの振り分けが増加します。つまり、メールの到達率が低下するということです。各メールボックスプロバイダが目指しているのは、「受信者にとって快適な受信トレイ」です。Gmailに限らず、Yahoo!やMicrosoftなども含めたあらゆる宛先において必要な観点であることに留意しましょう。

──実際にどれぐらいの企業がガイドラインに対応できているのでしょうか?

 2024年7月に実施したSendGridユーザーへのアンケートでは、メールマーケティング担当者のうち6割以上が「すべての項目に対応済み」と回答する一方で、2割近くが「対応状況が自分ではわからない」と回答しました。

Gmailガイドラインの対応状況

 ガイドラインでは技術的な側面が注目されがちですが、マーケターの方々が意識すべき“送信者としての適切な振る舞い”の点では、まだまだ改善余地があると考えられます。

──Xで「Gmail 届かない」と検索すると、イベントや有名アーティストのライブの当落メールが届かないという声が見受けられました。

 普段からメールのやり取りをしていないアドレスに、突然大量のメールを一斉送信したことでスパムメールと誤判定されたのかもしれません。チケットの当落結果メールは同時刻に大量のアドレスに送信されることが多く、まさにスパムメールの送信パターンと同じですからね。普段からメルマガなどを配信し、送信元のメールアドレスを「信頼できる送信元」として認識させておくことも重要です。

メール到達率を高めるための具体的な対応策

──では、到達率を高めるためにはどうすればいいのでしょうか?

 まずは、ガイドラインに準拠した認証設定を行いましょう。その上で、受信者が本当に求めているメールを送るようにする、という点も重要です。その際は「どんな内容のメールを送るか」だけでなく、「誰に送るか」も押さえるべきポイントです。

構造計画研究所 Twilio SendGrid マーケティング担当 田中琴音氏

 メールアドレスの登録時点では高かった興味関心も、時間の経過とともに薄れるものです。メールを読まなくなったユーザーに送り続けていては、メールボックスプロバイダから「望まれないメールを送信している送信者」と判断され、到達率が低下する可能性があります。登録者をつなぎとめたい気持ちはわかりますが、「送らない」選択も必要です。

──具体的な対応策について教えてください。

 メール受信者のライフサイクルに沿った対処が効果的です。ここでは「新規ユーザー」と「非アクティブユーザー・退会候補」の2ステージに分けて説明します。

 まず新規ユーザーに対しては、メールアドレスの取得時に「ダブルオプトイン」を導入することを強くお勧めします。これは、登録フォームでメールアドレスを入力後、確認メールのリンクをクリックすることで登録を完了させる方法で、ユーザーの明確な意思確認と存在しないアドレスの排除につながります。

ダブルオプトインを導入する

 ダブルオプトインは、「スパムトラップ」の混入防止においても有効です。スパムトラップとは、メールボックスプロバイダが悪質な送信者を見つけるために設置した罠のメールアドレスのことです。

 スパムトラップにメールを送り続けると、悪質な送信者とみなされてブラックリスト入りし、場合によってはほぼすべてのメールが届かなくなります。実際に「ブラックリストに入ってしまった」というお客様の対応にあたりましたが、その後の対処はかなり大変でした。

「読まない人には送らない」という決断も必要

──では、非アクティブユーザーや退会候補のユーザーには、どのような対処をすべきでしょうか?

 大きく分けて、3つの対処法があります。

配信停止方法をわかりやすくする

 まずは、配信停止リンクや案内をわかりやすくしましょう。不要なメールは配信停止してもらうことで、迷惑メール報告を防ぐことができます。「リストの数を減らしたくないから」と配信停止の手順を複雑にしているケースも見られますが、その結果、迷惑メール報告が増えてしまえば到達率に深刻な影響が出てしまいます。配信停止は、メール本文内に設置する配信停止リンクと、メールボックス側で表示される「ワンクリックでの配信停止」の2種類とも必要です。

メールプリファレンスセンターを設置する

 配信停止以外の選択肢として、受け取るメールの種類や配信頻度をユーザーが選べる「メールプリファレンスセンター」の設置もお勧めです。エンゲージメント維持やフィードバックの収集にもつながります。

再エンゲージメントメールを送信する

 長い間反応がないメールアドレスに対しては、クーポンや特別なオファーなどを記載した再エンゲージメントメールを送信しましょう。ただし、何度も送ると逆効果になるので、計画性が必要です。そして、再エンゲージメントメールにも反応がない場合は宛先リストから削除するなど、「サンセットポリシー」を決めておきましょう。

──つまり、「ある一定期間メールに反応しなかった宛先にはもうメールを送信しない」という線引きを、企業側が主体的に決めておくべきということですね。

 その通りです。反応がないメールアドレスに送り続けることは、先述の通り到達率に悪影響を与え、メール送信コストも増加します。宛先の「量」よりも「質」にこだわり、必要なユーザーに最適なコンテンツを届けることに注力することこそ、意義のあるマーケティング活動と言えるのではないでしょうか。

メール到達率の向上と、運用負荷の軽減を両立するには

──これまで教えていただいたガイドラインへの準拠や到達率を向上させるための対応策について、SendGridではどのように対処できるのでしょうか?

 SendGridは、メルマガの一斉送信から自動通知メールまで、幅広いメールの送信・管理が可能なクラウドベースのメールサービスで、高い到達率を特長としています。

構造計画研究所 Twilio SendGrid マーケティング担当 田中琴音氏

 サインアップ完了メールやパスワード変更メールなど、システムメールの不達によるユーザー離脱を防ぎ、企業イメージの低下も防ぎます。Gmailガイドラインの技術的な要件も満たしています。

 SendGridのダッシュボードでは、メールの到達状況、開封率、クリック率などを統計データとしてだけでなく、個々のメールアドレス単位で確認できます。リストから削除すべきアドレスの判断や設定も容易です。配信停止や迷惑メール報告、アドレスが存在しないなどの恒久的なエラーの発生時には、次回以降の配信を自動停止する機能も標準搭載しています。再エンゲージメントメール送信時は、セグメント機能で「〇月〇日以降にメールを開封していないユーザー」などと、ターゲットを絞り込んだ配信が可能です。

規模に関わらず最適なメール配信環境を提供

──SendGridを導入した企業からはどのような反響がありますか?

 様々な規模・業種の企業様にSendGridを利用いただいており、「メールの不達件数が減った」「運用負荷が軽減されて、本来時間を使いたい業務に集中できる」という嬉しいお声を多くいただいています。メールが届かなかった場合の原因やエラー内容もメールアドレスごとに確認できるので、「お客様からの問い合わせ対応が楽になった」との声もよく伺います。

──今後、SendGridをどのような企業に活用してほしいとお考えですか?

 SendGridは、世界中で月間1,480億通以上のメール送信実績があります。大規模なメール配信にも対応できるインフラを保有しているのが大きな強みです。

 もちろん、送信規模によって柔軟な料金プランを用意しているので、これからメールマーケティングを始めたい企業様や、送信件数を増やしていきたい企業様まで、幅広い企業様に安心して活用いただければと思います。

メール配信でお困りではありませんか?

Twilio SendGridにはメールを高速・確実に届けるための仕組みが備わっています。ブラウザ上の直感的な操作でHTMLメールの作成から配信結果の分析まで行うことができます。 詳細はWebサイトをご覧ください。

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この記事の著者

堤 美佳子(ツツミ ミカコ)

ライター・編集者・記者。1993年愛媛県生まれ。横浜国立大学卒業後、新聞社、出版社を経てフリーランスとして独立。現在はビジネス誌を中心にインタビュー記事などを担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社構造計画研究所

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/01/14 11:00 https://markezine.jp/article/detail/47366