SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Autumn

AIはどこに介在できる? デザインを実装につなぐAIの可能性を検証してみた

コード化プロセスのどこにAIは介在する?

 Figmaのような先進的なデザインツールはすでにデザインをコード化するプロセスを効率化され、高品質な出力をサポートしています。そんななか、AIはどこに介入できるのでしょうか。

コード品質向上のためのデザインファイル最適化

 前述のとおり、Figmaや各種ツールを使うことでデザインファイルを比較的高精度にコード化できるようにはなりましたが、デザインツールを使ううえで不要レイヤーや無駄なグループ、削除し忘れた要素、規則性のない数値など、デザインデータ自体が雑な場合は意図したデータを出力することができません。

 AIを使うことで、これらのファイルを検知/推測し、適切な値におきかえるようなサジェッションが可能です。具体的には次のようなサジェッションが考えられます。

  • 不要レイヤー、オブジェクトの削除
  • オートレイアウトの適用・提案
  • レイヤー名の置き換え
  • 色や書体などのトークン置き換え提案

 どんなにきれいなコードを出力したりオススメしてもらったとしても、もとのデザインデータが正しく作られていなければ、コードの品質自体良くはなりません。コード出力に直接介入というよりも、コード化前のデザインデータの最適化に使用するパターンです。

 実際にこれらの機能を実現しているツールとしては「Locofy.ai」が代表に挙げられます。

Locofy.ai とは

 Locofy.ai は、Figma で作成した UI デザインから React.js のコードを自動生成するサービスです。Figma、XD、Sketch のデザインをモバイルおよびウェブのフロント用コードとして出力することができ、React、React Native、HTML/CSS、Next.js といった複数種類のコードに変換することができます。 

 また、真偽は不明ですが、AIを使用してフロントエンド開発を加速し、プロダクトの開発速度を 5~10 倍速くできると謳っている新しいツールです。

 Locofy.aiでは「Optimise design」や「Auto-Tagging」という機能で、レイヤー名の置き換えやグループの解除、AutoLayout化をサジェスチョンしたり修正を提案したりすることが可能です。現時点では筋の良いサービスのひとつと言えるでしょう。

Locofy.ai の公式サイト
出典:Locofy.ai 公式サイト
Locofy.aiの実際の操作画面
Locofy.aiの実際の操作画面で、「Optimise Design」という機能を使用しているところ。キャプチャでは「Convert groups into frames」を選択しており、Figmaファイルを読み込み、自動的にグループをフレームへ変換する。

デザインファイルを介在せずに実装コードを出力する

 「Text to UI」と言われる、UIを出力するプロンプトからデザインファイルをはきだすサービスは以前から紹介していますが、最近ではプロンプトから直接UIのコードを出力できるサービスが登場しています。このアプローチはどちらかといえばエンジニア向けと言えるでしょう。プロンプトテキストで指示を出すことで、自動的にウェブのUIやページのコードを作成し、さらに指示すると細かな修正も行ってくれる点が特徴です。

 直近もっとも話題なのはNext.jsを開発しているVercel社がリリースした「v0」でしょうか。生成AIに自然言語のプロンプトを与えることでウェブのユーザーインターフェースを自動生成してくれるサービスで、現在ベータ版が公開されています。

v0の公式サイト
v0の公式サイト

 v0で出力されるUIデザインはHTMLとCSSで作成されており、スタイルはTailwind CSSShadcn UIがベースになっています。

WhatsAppに似たチャット画面をプロンプトを通して出してもらい、それに対しダークモードで出力してもらったUI。そのあとに追加プロンプトを入力し調整することも可能。
プロンプトを通してWhatsAppに似たチャット画面を出してもらい、それに対しダークモードで出力されたUI。そのあとに追加プロンプトを入力し調整することも可能。

 プロンプトから出力されるコードは基本的に定形のUIで、カスタマイズされたスタイルは適用できません。しかし、出力されたコードに追加でプロンプトを与えてインターフェースを改修したり、カラースキームを変えたりするといった根本的な改修は可能です。

 この「Text to UI」のアプローチにおける活用のベストプラクティスはまだない状態ですが、たとえばv0で出力したコードをもとに、デザイナーがスタイリングし、実装工数を減らしたり、プロトタイピングとしてデザイナーが介在せずにエンジニアのみでインターフェースを組み立てて設計したり、といった動きも考えられます。

おわりに

 いかがでしたでしょうか。今回はデザインを実装につなぐAIの可能性を調査しながら紹介しました。

 デザインツールから出力されるコードはなかなか使いづらかった側面もありますが、ツール自体の進化と生成AIの登場で、より実用的かつ生産性の高い「ハンドオフ(※)」を実現できるでしょう。(※:開発プロセスにおいて、開発者が完成したデザインを実装するプロセスのこと)

 ちなみに「Text to UI」の登場によってデザイナーが不要になるのかという意見や不安があるかと思いますが、個人的には逆のことが起きると考えています。簡易にデザインが扱えるようになった分、各プロダクトとの差をつけることが、今後ますます難しくなってくるでしょう。そうなったときに、優秀なデザイナーの力は今後さらに必要になってくるはずです。

 技術が進化する中で、デザイナーの役割もより深化していくでしょう。この変化の時代にチャレンジしていきませんか?

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

※CreatorZineへの会員登録(無料)が必要になる場合があります。

  

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/11/30 08:15 https://markezine.jp/article/detail/47676

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング