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第110号(2025年2月号)
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成果につながるリサーチ

9割が新規、カテゴリー全体が伸長!マツキヨココカラPBの好調支えるデータ×リサーチの商品開発

 ドラッグストア事業を展開するマツキヨココカラ&カンパニー(以下、マツキヨココカラ)は、「matsukiyo」をはじめ、様々なプライベートブランドを立ち上げ、多くのヒット商品を生み出してきました。その裏には、膨大な自社データの活用、多様な顧客接点を活かしたリサーチがありました。本記事では、マツキヨココカラのプライベートブランド(以下、PB)の商品開発を統括する櫻井壱典氏に、同社の商品開発で心がけていることや、開発の種になっている商品DNA、具体的な成功事例についてうかがいました。

「matsukiyo」以外にも独立型ブランドが登場しPBが多様化

MarkeZine編集部(以下、MZ):最初に「matsukiyo」をはじめとした御社のプライベートブランドについてご紹介ください。

櫻井:マツキヨココカラには、PBとしてmatsukiyoやmatsukiyo LABなどのほか、商品ごとにブランドの世界観を訴求する独立型ブランドがあります。加えて、メーカー様と共同開発しているオリジナル商品もあります。PB商品とオリジナル商品を合わせて現在2,000SKU(在庫管理における最小の管理単位)ほどあります。

株式会社MCCマネジメント 商品統括本部 商品開発部 商品開発課 次長 櫻井 壱典氏
株式会社MCCマネジメント 商品統括本部 商品開発部 商品開発課 次長 櫻井 壱典氏

MZ:ものすごい商品数ですね。ブランドとしてはmatsukiyo、matsukiyo LAB、独立型ブランドが存在しているわけですが、どのように棲み分けをしているのでしょうか。

櫻井:3つに共通して大切にしているのは「お客様の1歩先を行く発想で、お客様の期待を超えるものを作ること」です。その中でmatsukiyoはベーシックラインとして、「日本の暮らしを楽しくする」ブランドビジョンのもと、メインブランドとして医薬品から化粧品、日用品、食品と、幅広いカテゴリーを展開しています。国内のグループ店舗をはじめ海外およびFC契約企業で販売しています。

 matsukiyo LABは、管理栄養士や薬剤師、ビューティスペシャリストなどの専門家が監修に関わっているのが特徴です。アスリートラインやサプリメントなど、ヘルスケアに特化した商品がラインナップされています。

 そして独立型ブランドは、カテゴリーの中でも特に高品質、高付加価値で、商品ブランドの世界観を作り込んでいます。ナショナルブランド(NB)と重複せず、まだ捉えられていないニーズを掘り起こすことを意識しています。

 我々のグループ理念は「未来の常識を創り出し、人々の生活を変えていく」ですから、PB戦略は会社の中でも非常に重要な戦略の1つです。品質や付加価値、情緒的な価値を大切にし、理念を具現化する商品をしっかりと作っています。今の常識が「非常識」となる新しいものを作るのが目標ですね。

全商品に商品DNAを付与、顧客ニーズを正確に捉える

MZ:では率直に、PB商品の開発を進めていく際に大事にされているのはどんなことですか。

櫻井:一番大事なのは、NB商品とのカニバリを起こさないことですね。NBからPBへのブランドスイッチが起こるだけでは、カテゴリー全体の売上は伸びません。PBの新商品が入ることで、カテゴリー全体の売上に貢献することを重視しています。

MZ:商品同士のカニバリを起こさず、空白となっている顧客ニーズやインサイトをどのようにして捉えているのでしょうか。

櫻井:弊社の持つデータの活用とリサーチを組み合わせて、お客様のニーズやインサイトを捉えています。弊社には、カード会員やアプリ会員、LINEの友だち、メルマガ会員など様々な形でお客様とつながっています。これらの顧客接点は合計すると1億5,000万を超えており、この膨大な顧客接点から日々購買に関するデータを収集、蓄積しています。

 また弊社は、小型店から大型店、都市部から郊外など、立地に合わせて多彩な店舗フォーマットを展開し、全国47都道府県に3,400店舗強を出店しています。店舗ごとに品揃えも顧客層も異なるため、多様な購買データが収集できています。

 この膨大かつ質の高いデータを用いて、弊社ではすべての商品に「商品DNA」というものを設定しています。美容に対する感度や健康意識の高さ、買い物態度などから「意識スコア」を商品ごとに設定し、買い物態度の保守性、衝動性、ブランド志向、SNSへの敏感度や情報収集量なども加味して全店舗の全商品に商品DNAとして情報を付与しています。

 そして購買データから、こういう商品を買う人は美容系だ、健康系だ、低価格好きだと、お客様をセグメントするのです。年代、性別は関係ないので、たとえば「美容系」には、若い女性も中年男性も入っています。昨今はデモグラで単純に区切ることができないくらいニーズやインサイトも多様化していますが、商品DNAならその課題にも対応できます。

 購買はその方の生活そのものを反映しており、買う商品が変わればお客様のセグメントも変わっていきます。特に女性は結婚や出産などのライフスタイルの変化によって可処分所得や購買の変化が顕著です。

 そのため商品DNAも、既存商品を超える高感度な新商品が出るたび常にスコアをチューニングしています。「売れる商品」を作るためには、やはり購買を見て開発するのが正しい姿で、理にかなっていると思いますね。整合性というか、「確かさ」に気づくことがあります。

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9割が新規顧客、敏感肌市場を劇的に伸長させた『RECiPEO』の事例

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/03/21 09:00 https://markezine.jp/article/detail/48278

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