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成果につながるリサーチ

パナソニックが実践する未来起点のリサーチ 数年先の生活者や市場を捉える意義

 生活者の“今”を捉えるための手法として使われがちなリサーチ。しかし、自社の商品や事業を長く存続させるためには、10年後・20年後の生活者や市場を想像するためのリサーチも必要ではないだろうか。パナソニックのデザイン本部が擁するインサイトリサーチ課では、デザイン思考をベースにした独自のアプローチで、未来の社会に生じそうな課題や変化の“兆し”を捕捉している。マーケターが普段行うリサーチにも取り入れられるエッセンスはあるのだろうか? シニアデザイナーの伊東梢氏に話をうかがった。

事業変革に資するインサイトを抽出

──まずは伊東さんのご経歴を教えてください。

 パナソニックに入社する前は、建築設計事務所で構造設計の仕事をしていました。大量のデータを基に、建築物を物理学的に成立させつつ、地震などを受けても倒壊しないように構造強度を確保するための設計を考える仕事です。

パナソニック デザイン本部 トランスフォーメーションデザインセンター インサイトリサーチ課 伊東梢氏
パナソニック デザイン本部 トランスフォーメーションデザインセンター インサイトリサーチ課 伊東梢氏

──現在はトランスフォーメーションデザインセンター(以下、XDC)に所属されているとのことですが、XDCがどのような組織か教えていただけますか?

 次の組織図を用いて説明すると、XDCはパナソニック株式会社の直下に位置しています。

 「中長期視点で事業活動を変革する」というミッションの下、XDCでは様々な事業部とともに未来を構想しています。いわゆる意匠としてのデザインではなく、未来のユーザー体験や事業機会を可視化する活動としてデザインを捉え、事業の変革を目指す立場です。

──インサイトリサーチ課はXDCにおいてどのような役割を担っていますか?

 暮らしと人の知見を蓄積する機能を担っています。生活者が置かれている状況や暮らしぶりから、未来の社会に生じそうな課題や変化の“兆し”を捕捉し、事業変革に資するインサイト(示唆)を抽出するイメージです。

ときにはフィールドリサーチへ足を運ぶ

──具体的にどのようなリサーチを行っているのでしょうか?

 生活者の暮らしや価値観を研究する場合は、インタビューを実施することもあります。人を年代別に区切り、価値観を問う調査は年2回の頻度で20年ほど続けています。そのようにして蓄積したデータを踏まえつつ「今の30代が40代になったとき、暮らしや価値観はどう変化するか」などを考察するんです。

 加えて力を入れているのがフィールドリサーチです。先端事例の現場まで足を運び、一次情報を集めて各事業部のメンバーに伝える役割があります。最近「デステック(Death Tech)」が注目を集めているのをご存知ですか? 堆肥葬や樹木葬など、エコな埋葬方法を選ぶ人が海外では増えているようです。日本でも少子高齢化は進んでいますから、デステックが普及する未来はそう遠くないかもしれません。実際、業務用冷蔵庫を製造する日本の某メーカーはデステックに参入しています。そのような先行事例を引き合いに出しつつ「自分たちの事業ではどのようなチャレンジができるか」を考えてもらう。これも我々XDCの役割です。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/03/31 07:00 https://markezine.jp/article/detail/47773

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