Z世代の「界隈」は、他者との共通点を見つけるツール
「界隈」とは、趣味・嗜好に基づきカテゴライズした集団を指す言葉だ。セッションの冒頭では、Z世代での言葉の扱われ方について椎木氏による解説が行われた。

Z世代でも「界隈」という言葉が日常的に使われるようになった結果、「日常に起きる、あるあるコンテンツをミーム化し真新しいものへ昇華させる『何でも界隈にする現象』も起きている」と、椎木氏は語る。
具体例として、JC・JK流行語大賞2024のコンテンツ部門で上位にランクインした「自然界隈」「当たり前界隈」「ママ界隈」を挙げる。「自然界隈」は自然がある場所を楽しむこと、「当たり前界隈」は当たり前のことを珍しいものであるかのように発信すること、「ママ界隈」は自身の母親との日常を表しているという。
「界隈」と表現することでハッシュタグのように記号化するこの現象について、長年若者と向き合ってきた椎木氏は次のように分析している。
「趣味や推しが多様化している中で、他の人との共通点を見つけづらい世の中になっています。そこで『界隈』をつけて簡単に記号化することで、他者との共通点を見つけているのです。こういった背景から、『界隈』という言葉を使う子が増えているのではないでしょうか」(椎木氏)
10代の半数以上が界隈への所属意識を持つ
意識調査からも、「界隈」の意識・消費行動が、Z世代マーケティングで注目に値することが明らかになってきている。
Z世代に特化した企画・マーケティング支援を行う僕と私との調査によると、「あなたは何かしらの『界隈』にいる人だと思いますか?」という質問に対して、「はい」と答えた人は全体の36%だった。年代別では、若年層ほど「はい」の解答率は高く、10代の女性が7割、男性でも5割が、自分は何かしらの界隈にいると回答した。

対象条件:全国の10~50代 男女
調査期間:2024年12月16~19日
調査方法:インターネットを利用したアンケート
調査有効回答数:6,000人
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「あなたは『界隈』で流行っているもの、お薦めされたものから何かものやサービスを購入したことがありますか」という質問に対して、「はい」と答えた人は全体の52%。10代・20代は男女ともに50%が「界隈」で流行っているものやサービスを購入した経験があった。「界隈」への帰属意識に根差した消費行動が起きていることがわかる。

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では、多種多様な若者の「界隈」に対し、具体的にどの界隈へどのようなアプローチをしていくべきか。ウィゴーは「界隈」を取り入れた事業戦略、ディップは1つの「界隈」に特化し、成果を上げたプロモーション施策を紹介した。