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SEOからGEO/AEOへ “検索されない”生成AI時代、企業が取るべき3つの対策

 生成AIの急速な普及によって、ユーザーの検索行動はかつてないほどのスピードで変化している。これまでのGoogle検索を中心としたSEO(検索エンジン最適化)は、有効ではあるものの万能ではなくなりつつある。特に2023年以降、ChatGPTをはじめとする生成AIによって、ユーザーが検索結果を「クリックせずに」回答だけを得るケースが激増している。Wall Street Journal(2025年5月)の報道によれば、企業が自社サイトへのトラフィック獲得のために従来行ってきた検索上位表示の施策が、直接的な成果につながらない傾向が強まっているという。この現象は「ゼロクリック検索(Zero-Click Search)」と呼ばれ、検索エンジンそのものの役割を再定義する流れにもつながっている。本記事では、このような「検索されない時代」におけるマーケティングの新常識として、SEOの次に来る最適化の形や企業が取るべき施策について考察する。

検索はもはや「クリック」されない

 ChatGPTやGemini、Perplexityといった生成AIの登場によって、検索という行為は大きく変貌している。ユーザーは「知りたいこと」を検索してページを渡り歩くのではなく、「AIから答えを直接得る」体験を好むようになった。たとえば、BtoBのマーケティング担当者が「おすすめの営業支援ツール」を探す際、検索結果ページを比較するよりも、AIに最適な候補を直接聞いたほうが速く確実だと感じる。

 この変化は、ユーザーの利便性を大きく高める一方で、従来のWebメディアや企業にとっては流入減少というリスクをともなう。2024年にはGoogleも「AI Overview」という機能を本格導入し、検索結果の要約やAIによる回答をデフォルト表示するようになった。ユーザーがクリックする前に答えを得て離脱することで、コンテンツ制作者側はリーチ機会を失うことになる。

 また、広告のクリック率やインプレッション数にも影響が出ており、PPC広告(リスティング広告)のパフォーマンスにも揺らぎが生じ始めている。こうした環境の変化は、一時的なトレンドではなく、構造的な転換であると見るべきだろう。

SEOからGEO/AEOへ:新たな最適化とは何か?

 従来のSEOは、検索エンジンのアルゴリズムに最適化した「ランキング向けコンテンツ」を作ることに重きが置かれていた。これに対して、GEO(生成エンジン最適化)やAEO(AIエージェント最適化)は、生成AIや自然言語処理モデルに「引用される」ことを目的とする新しいアプローチである。

 GEOでは、AIが理解しやすい構造・文体・表現で情報を提供することが求められる。たとえば、あるテーマについて「要点・理由・具体例・結論」の順に記述されている文章は、LLM(大規模言語モデル)が最も扱いやすい形式とされる。AEOにおいても同様で、FAQ形式や明示的な問いと答えのセットは、AIが情報を抽出・再構成する際に有利となる。

 また、AIがあるコンテンツを信頼するかどうかは、単に被リンクの多さやページランクの高さでは決まらない。LLMは、更新頻度、一貫性、出典明記、著者情報、専門的な言語表現の有無など、複数の要素を総合的に評価しているとされる。

 実際、OpenAIは2024年に入り、ChatGPTのWebブラウジング機能を拡張し、FAQページやスキーマ構造のある情報を優先的に読み取れるよう改良している。

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この記事の著者

中井千尋(Livit)(ナカイ チヒロ)

大学卒業後、金融機関勤務を経て、イギリスへ留学。そこで培った語学力を活かし、帰国後は企業の語学研修コンサルティングに携わる。シンガポールに渡り、大手日系商社に転職。シンガポール人、インド人、オーストラリア人、モンゴル人、中国人など多国籍社員が集う場でのビジネスを経験。その後、オランダに渡り、ライターとして独立。分野...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2025/06/03 09:30 https://markezine.jp/article/detail/49118

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