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『MarkeZine』(雑誌)

第114号(2025年6月 最終号)
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【特集】ストレスフルな社会で高まる“セルフケア”のニーズ、注目のブランドを取材

急成長の「セルフケア市場」を紐解く──“足して癒やす”働き世代と、“そぎ落として整える”Z世代

「推し活」「編み物」「キャラクターグッズ」… 学生の癒やしは「好き」から始まる

MarkeZine:世代によってセルフケアの方向が異なるのは、非常に興味深いです。それぞれの具体的な行動や最近のトレンドを教えてください。

飯野:まず、学生世代の場合、セルフケアは意識的なものではなく、むしろ無意識的に始まることが多いです。最近若年層に人気の「編み物」はまさにその一例ですね。編み物は「作る過程から映えてかわいい」という動機から始める人が多いですが、実際にやってみると両手を使うため、自然に「スマホ断ち」ができる。このデジタルデトックス感が心地良さへとつながり、ハマっていく人も多いようです。

川畑:「推し活」も同じような流れが見られます。推しを応援することで自己肯定感が自然に高まったり、癒やしをもらったり。「楽しいからやっている推し活が、自分の精神安定のために必要なことだったんだ」とあとから気づくという順序になっています。

画像を説明するテキストなくても可

辰野:かつては幼い子ども向けだったような可愛らしいキャラクターグッズの人気も同様です。「自分を癒やそう」と意識したものではなく、直感的に「かわいい」「好き」という気持ちから自然に触れたものが、結果的に癒やしや支えになっている人もいるのではないでしょうか。

AIがセルフケアのパートナーに?

MarkeZine:無意識から始まるのは興味深いですね。他にも、注目している動きはありますか。

飯野:今のセルフケアでは「自分で自分の機嫌を取る」という文脈が強いですが、今後は「もっと人に依存していい」「心がぶれても大丈夫」「ダメな自分を肯定しよう」というような、ある種「開き直り」の動きも出てくるのではないかと考えています。

川畑:最近は若者の間で「スピリチュアル」が再ブームになっていることにも注目しています。パワーストーンを集めたり「気」のいい場所を訪れたりするインフルエンサーもいますね。スピリチュアル思考を通じて、自分の心地よさを追求することが、自分を守ることにつながるのなら、立派なセルフケアと言えるでしょう。

飯野:これまでの周囲との関係を絶ち、意識的に自分のいるコミュニティをガラッと変える「人間関係リセット症候群」も数年前から話題になっていると聞きました。

川畑:加えて、昨今はもはや人間よりAIが若年層の相談相手になってきているのかもしれません。対話型AIを心のケアのために使う学生は増えています。どんな相談もまず肯定から入ってくれますし、クローズドで本音を話せる環境なのでしょう。大人は仕事のために使いがちなAIですが、学生にとっては「セルフケアのパートナー」という役割になっていくのかもしれません。

\ポイント/

● 学生のセルフケアは無意識的に始まる

● 「人に依存してもいい」「ダメな自分も受け入れる」といった、より柔軟な自己受容の動きも

● 対話型AIが若年層のセルフケアパートナーになってきている

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高級コーム、美容医療、耳つぼジュエリー……「見返り」を重視する、働く世代のセルフケア

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この記事の著者

安光 あずみ(ヤスミツ アズミ)

Web広告代理店で7年間、営業や広告ディレクターを経験し、タイアップ広告の企画やLP・バナー制作等に携わる。2024年に独立し、フリーライターへ転身。企業へのインタビュー記事から、体験レポート、SEO記事まで幅広く執筆。「ぼっちのazumiさん」名義でもnoteなどで発信中。ひとり旅が趣味。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

1993年生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。Web記事に加え、定期購読誌『MarkeZine』の企画・制作、イベント『MarkeZine Day』の企...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/07/09 09:30 https://markezine.jp/article/detail/49362

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