ネガティブなコメントにどう対応する?
ただし、コメント型UGCにはリスクも一定あります。
コメント欄ではユーザーが自由に発言するため、ポジティブな意見だけでなくネガティブな声も含めて賛否が入り交じります。企業にとってはブランドや商品への批判、さらには炎上リスクを抱える可能性もあるということです。炎上時はブランドイメージの低下だけでなく、対応の工数も要します。
一方で、ネガティブコメントを放置すると「無関心」と受け止められ、逆に信頼を失いかねません。そのため、コメント欄の運用方針としては「閉じる」のではなく、モニタリング体制を整え、あらかじめ炎上リスクに備えたガイドラインや危機管理プロセスを準備しておくことが重要です。コメント欄は双方向の接点であり、開いておくことで得られるUGCは企業にとって大きな資産となります。
コメント型UGCの成功には、以下のようなポイントを踏まえ、適切に対応することが重要です。
・真っ向否定ではなく同意から入る:「そうだったんですね!ご意見ありがとうございます」など、意見を尊重しつつ柔らかな対応で信頼を得る。ネガティブコメントは、むしろ“リアルさ”を出すものと考える。
・競合比較コメントを否定しない:競合と比較されることは正しい商品理解のチャンス。否定するのではなく「この商品は〇〇な方におすすめ」といった情報提供により、逆にファンを増やせることもある。
こうした対応を一貫して行うために、一部の企業ではコメント対応のガイドラインを設けています。万が一の炎上に備えたガイドラインの整備にあたっては、対応体制とエスカレーションフローの明確化・返信の基本方針(トーン&マナー、対応時間、返信対象)・ネガティブコメントは深刻度(例:意見・不満、誤解、誹謗中傷、炎上リスク大)ごとに分類し対応を整理するなどが重要です。
これらの基準を明文化しておくことで、担当者間のばらつきを防ぎ、ブランドの信頼を守ることができます。
コメント欄という余白がSNSマーケティングのカギを握る
生活者の判断軸は、動画からコメント欄へ移行しつつあります。これまで企業のUGC施策は投稿そのものに注力されてきましたが、次のフェーズではコメント型UGCの設計こそが差別化の鍵となります。
マーケターに求められるのは、コメント欄という“余白”をどう活用するか――これが今後のSNSマーケティング戦略を左右する重要な視点になるのです。