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データ管理作業が4分の1に? 商品情報を“デジタル資産”に変える「PIM」の可能性とは

 朝日放送グループにおいて通販事業を担うABCファンライフ。長年培ってきたテレビ通販のノウハウを強みに事業を拡大する一方、ECチャネルの成長に伴い、顧客データや商品データの管理に新たな課題を抱えていた。煩雑化するデータは、いかにして理想の顧客体験(CX)の実現を阻むのか。そして、その解決策として今、注目されるのが「PIM(商品情報管理システム)」だ。今回は、インターファクトリーが新たにリリースした「EBISU PIM」を軸に、両社のキーマンにデータ活用の現状と未来について話を聞いた。

テレビ通販とEC、両輪で顧客に寄り添うABCファンライフ

MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに、ABCファンライフの事業概要と、朝日放送グループにおける立ち位置についてお聞かせください。

山本(ABCファンライフ):私たちABCファンライフは、朝日放送グループの通販事業を担う会社として、「地域の方々に寄り添い、幸せをお届けする」というコンセプトのもと、BtoCビジネスを展開しています。

 事業の根幹はテレビ通販で、「せのぶら本舗」や、城島茂さんにご出演いただいている「らくらく茂」といった番組をメインに運営しています。それに加えEC事業として、これらの番組でご紹介した商品を取り扱う「ABCミッケ」と、3年前に立ち上げた生活雑貨専門の「itomani(イトマニ)」を展開。テレビ通販とECを両輪で推進しています。

株式会社ABCファンライフ 代表取締役社長 山本 顕輝氏
株式会社ABCファンライフ 代表取締役社長 山本 顕輝氏

MZ:続いて、インターファクトリーについても教えてください。

窪田(インターファクトリー):弊社はクラウドコマースプラットフォーム「EBISUMART(エビスマート)」を中心としたEC構築・運用支援サービスを展開し、様々な企業様のECビジネスの成長を支援しています。

 近年は事業の多角化を進めており、ECサイトの売上向上を支援するコンサルティング事業なども手がけています。そして、私が所属しているのが、新規事業として立ち上がった「データ利活用プラットフォーム部」です。これまでEC事業を通じてお客様が蓄積されてきた膨大な商品・顧客データを、もっと有効活用し、ビジネスの成長に繋げられないかという考えから、今年の2月に新サービス「EBISU PIM(エビス ピム)」をリリースしました。私はその立ち上げメンバーとして、事業全体の企画・検討を担当しています。

株式会社インターファクトリー データ利活用プラットフォーム部 窪田 陽平氏
株式会社インターファクトリー データ利活用プラットフォーム部 窪田 陽平氏

理想の顧客体験(CX)を阻む、見えざる「データ活用の壁」

MZ:多くの企業が顧客体験(CX)の向上を掲げる中、ABCファンライフではどのようなお買い物体験の提供を理想とされていますか。

新井(ABCファンライフ):基本的なことですが、「お客様がストレスなく、気持ちよくお買い物を終えられること」が最も重要だと考えています。サイトに来ていただいてから、商品をカートに入れ、決済を終えて商品がご自宅に届くまで、一連の流れがスムーズであることが「良いお店」の第一条件です。

 そのために、お客様が離脱しやすい箇所の導線改善は常に行っていますし、決済方法も、電子決済など可能な限りの選択肢を用意しています。

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株式会社ABCファンライフ 大阪事業本部 本部長補佐
兼 ONE DAY DESIGN事業本部 本部長補佐 新井 達也氏

MZ:より良い体験の実現には、やはりデータ活用が鍵になるかと思いますが、その点で課題はありますか。

新井(ABCファンライフ):まず「顧客データ」の点で言うと、お客様に最適な商品を提案するためには、その方のステータスを知る必要があります。しかし、個人情報保護の観点もあり、我々が保有できる顧客情報は最低限のものに限られます。

 「詳細な情報をいただければ、よりあなたに合ったご提案ができますよ」とお伝えしても、入力の手間から離脱に繋がってしまう。このジレンマが大きな課題です。

窪田(インターファクトリー):新井さんがおっしゃった「データ収集のジレンマ」は、まさにあらゆる企業様の共通課題です。そして、苦労して集めた顧客データを活かす上でも、実はその手前にある『商品データ』の整備が非常に重要になってきます。しかし、その足元のデータ整備が後回しになり、社内で整理・管理されていないという、より根深い現実があるのです。

 売上が伸びている間は、足元のデータ整備がどうしても後回しになりがちです。その結果、データが数百万、数千万件という規模になった時に「もはや手が付けられない」という状態になっているケースが少なくありません。「CX」や「DX」といった言葉が先行し、実態が追いついていないのが多くの企業の現状ではないでしょうか。

なぜ情報はバラバラになるのか? 現場を悩ます商品データ管理の落とし穴

MZ:なるほど。データが集まらない上に、集まったデータも整理されていないとなると八方塞がりですね。特に扱う点数が多い「商品データ」などは、管理がさらに大変なのではないでしょうか?

新井(ABCファンライフ):おっしゃる通りです。実は商品データの管理はもっと深刻でして、同じ商品データが基幹システムやECシステム、画像サーバーなど、様々な場所に点在・重複してしまっています。データの重複はリソースを圧迫しますし、何より「どれが最新で正しい情報なのか」が分からなくなるリスクを生みます。

 さらに問題なのが、その元データを入力するプロセスです。メーカー様からExcelでいただいた情報を、我々が手作業で基幹システムに打ち込んでいるため、アナログな「伝言ゲーム」になってしまっている。どこかでミスが起きると、間違った情報がすべてのチャネルに伝播してしまう恐れがあるため、注意が必要な作業となります。

MZ:こうした商品データの分散や属人化といった課題も、やはり業界の「あるある」なのでしょうか。

窪田(インターファクトリー):そうですね。多くの企業様が同様の課題を抱えています。ECで扱う商材は増える一方ですから、お話にあったようなデータの分散や重複といった問題は時間と共に深刻化します。片方のデータを更新しても、もう一方が古いまま残ってしまい、お客様に誤った情報を提供してしまうという事態は、起こりがちな課題の一つです。

商品情報を“デジタル資産”へ。PIMが拓くデータ管理の新たな地平

MZ:そうした複雑な課題を解決するのが「PIM」というわけですね。ここで、PIMとはどのようなシステムなのか、解説いただけますでしょうか。

窪田(インターファクトリー):PIMは「Product Information Management」の略で、日本語では「商品情報管理」と訳されます。その名の通り、企業内に散在する商品情報を一元的に集約・管理し、ECサイトや各種モール、カタログなど、様々なチャネルへ正確な情報を効率的に配信するためのシステムです。

 海外では市場が大きく伸びていますが、日本ではまだ認知度が低く、市場は黎明期と言えます。しかし、先ほどお話しいただいたような課題は多くの企業が潜在的に抱えており、我々もEC事業のお客様から同様の悩みを数多く伺ってきました。そこで、これらの課題を解決すべく「EBISU PIM」を開発・提供するに至りました。

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MZ:「EBISU PIM」ならではの特徴や強みはどこにあるのでしょうか。

窪田(インターファクトリー):最大の強みは「外部サービスとの柔軟な自動連携」です。従来、EC担当者様は楽天市場やAmazonなど、各モールの管理画面に個別にログインし、手作業で商品情報を登録・更新する必要がありました。これは非常に手間のかかる作業です。

 「EBISU PIM」を使えば、一つの管理画面で情報を更新するだけで、連携しているすべてのチャネルに自動で情報が配信されます。これにより、担当者が更新作業にかけていた時間を3分の1、4分の1にまで削減できます。単にデータを一元管理するだけでなく、API連携によって「自動化」し、業務効率を飛躍的に向上させるところに、我々のPIMの価値があると考えています。先ほど新井様がお話しされた『伝言ゲーム』のようなアナログな転記作業がなくなり、ヒューマンエラーを根本から防ぐことができるのです。

現場が求めるPIMの真価とは? ABCファンライフが描く理想の連携

MZ:「EBISU PIM」について、ABCファンライフのお二方は率直にどのような印象をお持ちですか。導入するとしたら、どのような点に期待されますか。

山本(ABCファンライフ):まだまだ先にすべきことがあるのが正直なところでして、今すぐに導入すべきタイミングなのかは悩ましい部分です。ただ、将来的な成長を見据えた時、サービスとしてのPIMには可能性を感じています。

新井(ABCファンライフ):EC事業を展開する者として、PIMに期待したい点は3つです。

 1つ目は、物流・経理といった基幹システムと連携することで実現する、バックオフィス業務のコスト削減。2つ目は、チャネルごとに売価や原価が異なる商品の「多様な顔」を、ひとつの商品軸で一元管理し、分析できる機能。そして3つ目が、キャンペーンなどで変動する仕入れ情報を正確にトレースし、精度の高い損益管理に活かせる機能です。

窪田(インターファクトリー):ありがとうございます。今お話しいただいた物流や経理システムとの連携、そして商品軸での精緻な損益管理は、まさに我々が「EBISU PIM」で解決したい課題であり、API連携を通じて実現を目指している中核機能です。その上で、我々はさらに先の未来像を描いています。

 これまではチャネルごとの分析が主流でしたが、今後は「商品軸」での価値を可視化していく必要があります。ある商品がどのチャネルで、どのような価格で、どれだけ売れているのか。さらには競合他社の状況も含めて分析し、商品自体の価値をスコア化できるような、新たな世界を目指しています。

“コマースの進化”を目指して。データと共に歩む両社の未来

MZ:最後に、今後の展望についてお聞かせください。まずABCファンライフでは、どのようなチャレンジをしていきたいですか。

山本(ABCファンライフ):厳しい市場環境ではありますが、我々はテレビ通販にもECにも、まだまだ大きな可能性があると信じています。データ活用という点では後れを取っている部分もありますが、これまでの強みである「個社データと経験」を活かしつつ、データ分析の良い部分をバランスよく取り入れていきたい。テレビ通販とECという両輪をしっかりと成長させ、売上の最大化を目指していきます。

MZ:ありがとうございます。では窪田さん、「EBISU PIM」を今後どのように進化させていきたいか、展望をお聞かせください。

窪田(インターファクトリー):これまであまり光が当たってこなかった「商品情報」というものに、改めてフォーカスを当てていきたいです。商品情報は、単なる画像やテキストではなく、企業にとって非常に価値のある「デジタル資産」です。その資産を安全かつ効率的に一元管理し、その価値を数値化・規格化していくことが、これからのコマース全体の底上げに繋がると信じています。

 「PIM」という言葉に留まらず、商品・受注・顧客というコマースにおける3大データを統合的に扱える「データ利活用プラットフォーム」として進化させていくことで、お客様のビジネスに持続的に貢献できるパートナーでありたいと考えています。

商品データの一元管理で、販売ビジネスを加速

 「EBISU PIM」は、企業が持つ多種多様な商品データを統合し、情報の整合性を保ちながら各チャネルへシームレスに配信する商品データ統合プラットフォームです。

 商品情報管理(PIM)を導入することで、商品のメディアデータ管理や、様々なシステムへのデータ連携、自社製品の特性に合ったデータ項目の設計・構築などを実現し、EC運営コストの削減とBtoC/Bにおける販売事業ビジネスの加速をご支援します。

 詳細はEBISU PIM公式サイトをご確認ください。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社インターファクトリー

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/10/21 10:30 https://markezine.jp/article/detail/49791