オンライン特需が帳消しに。The Trade Desk、サイバーエージェントの企業価値推移
図1は、プログラマティック広告配信に特化した代表的な広告代理店である米国の「The Trade Desk(以下、TTD)」と「サイバーエージェント(以下、CA)」の企業価値推移を示している。

TTDは創業以来、オープンインターネット広告の旗手として、世界規模のOmnicomやWPPを凌ぐ驚異的な成長を遂げ、企業価値を数兆円規模にまで拡大させてきた。CAも日本国内インターネット広告市場の雄として躍進を続け、電通・博報堂と並んで「広告代理店3強」と呼ばれる立ち位置まで上っている。
「インターネット広告」の事業ドメインで成長してきた2社だが、偶然にも、現在の企業価値は「オンライン特需期(外出自粛下による需要増)」以前の水準に戻っている(図1)。TTDは、特需期に約8.7兆円(580億ドル、1ドル=150円換算)まで膨らんだ企業価値が、直近では半減以下の3.8兆円に。CAも直近の伸びはあるものの、2018年からほぼ横ばいの0.9兆円規模に留まっている。
この「戻り」は、過去数年のオンライン特需がほぼ帳消しになったことを意味している。「プログラマティック広告代理事業のコモディティ化」という観点から、CAとTTDの事業状況を分析してみよう。