ペルソナを「作って終わり」にしない、活用促進法
福永氏は複数社での経験から、ペルソナ作成後の課題を説明した。
「ペルソナを作ったばかりの頃は頻繁に使われます。しかし、半年経つと利用率が半分程度に減り、1年経つと存在すら忘れられているといった状態を、これまで何度も経験しました」(福永氏)
そこでSansanでは、ペルソナを「作って終わり」にしないための仕組みを整備している。1つ目は、週次定例での「導入企業分析」だ。営業が作成した受注レポートをもとに、導入企業がどのペルソナに該当するかを分析する。マーケティング部門としてはペルソナC向けに施策を行ったものの、受注したのはペルソナDだった、ということも起こり得る。そのため、導入企業分析を通じて、施策の検証をしているのだ。
2つ目は、「グループワーク」による理解促進である。受注した企業の情報を記載した「ペルソナカード」をメンバーに配布し、その企業が前田フレームのどの位置に当てはまるかをディスカッションしながら、フレーム上の適切な場所にカードを配置していく。メンバー間でペルソナの解釈を意見交換し、理解度を深めている。
3つ目は「施策ごとの結果の共有」だ。各チームで前田フレームを使った施策を振り返り、週1回発表する場を用意している。週1回は前田フレームを活用した振り返りや発表の機会を設けることで、「ペルソナを作っても、時間が経つと使われない」という状況を防いでいるという。
このように、ペルソナの継続的な活用促進により、前田フレームは組織に浸透し、実践的なツールとして機能し続けているのである。
メンバーの声でフレームを定期的にアップデート
同社はフレームワークの活用において、アップデートを重視している。フレームワークが使いにくいと定着しないため、メンバーの声を反映した改善を継続的に行っている。
「フレームワークを運用していると、『ペルソナ像がわかりにくい』『軸の判断に迷う』といった声がメンバーから上がってきます。時間をかけて作ったからといって、そのまま使い続けるよう強制すると、メンバーは拒否反応を示します。そして、フレームワーク自体を無意味だと感じるようになります」(福永氏)
Sansanも1年半ほど前田フレームを使用した結果、バージョン2へとアップデートした。導入企業分析や施策を振り返ると、ペルソナに当てはまらないケースも出てくるため、実態に合わせて改良した。具体的には、データ活用度を3から5段階に変更し、部署や役職といった属性情報を追加している。

フレームワークは「作成して終わり」ではない。現場で本当に使えるフレームにするためには、定期的にアップデートを行うことが重要だ。使えるものになれば、メンバーが積極的にフレームワークを活用する。その結果、コンテンツの品質に個人差がなくなり、顧客に響く施策を安定的に生み出すことが可能になる。
福永氏は「組織として施策のクオリティを担保するには、ペルソナを使い続けてもらう必要がある」とし、そのためにはトップダウンで指示をするのではなく、メンバーの意見や実態に即した内容をもとにアップデートしていくことが重要だと伝え、セッションを終えた。
