「洗顔セラム」の思いもよらないニーズを発見
──Club fibonaで収集したVoCが商品の開発や改善につながった例はありますか?
中西:2025年4月にfibonaでローンチした商品「洗顔セラム」で面白い事例がありました。私たちは当初、女性の朝の洗顔習慣を変えるものとして開発したのですが、Club fibonaで使用者の声を聞くと、意外にも男性の購入者が多かったんです。「髭剃り後の肌に優しい」「これ一本で仕上がるから楽」といった、研究員が想定していなかったニーズが見つかりました。
中西:このようなニーズは、再販時のメッセージングを変えたり、R&Dから事業部にブランドや商品の方向性を提案したりする際のエビデンスになります。Club fibonaを始める前は、R&D側にそのような仮説がそもそも存在しませんでした。定量/定性調査も実施していますが、不確実性の高い“思いもよらない発見”を拾えることが、オンラインコミュニティの魅力だと感じています。
──Communeの機能やコミューンのサポートについて「ここが助かっている」という点があればお聞かせください。
小堀:システムに関しては管理画面が見やすく、デイリーやウィークリーの活動量を踏まえてテコ入れの施策を考えやすいです。運営に関しては、当社のトンマナやスタンスを汲み取った上で場を設計してくださるため、丁寧なコミュニケーションに助けられています。
──コミューンのお二人から見て、Club fibonaの特徴はどのような点にありますか?
黒田:企業側と参加者側、二つの視点でお話しします。まず資生堂様にとっては、中西さんがおっしゃったように、研究員の皆さまのEXにポジティブな影響が出ている点です。普段、技術や製品に向き合っている開発者の皆さまが、生活者から「こんな風に役に立っている」という実感を直接得られる機会は極めて貴重です。それが大きなやりがいとなり、さらなる商品開発やエンゲージメントの向上につながる。これは企業にとって大きなメリットです。
参加者の立場に立っても、研究開発のプロセスに携わったり、研究員の方と直接対話したりする機会は、他では得られない希少性の高い体験です。ブランドを一緒に育てるという強い参与感を持てる点が、他のコミュニティとの違いだと感じます。
石垣:未発表のものを世に出すことや、工数がかかるコミュニティイベントの実施に二の足を踏む企業も多い中、資生堂様は共創を前提に全てが動いているんです。そのオープンな姿勢が生活者の方々の愛着につながっていますし、ギブ目的ではなく「企業/ブランドへの愛を語りたい」という純粋な思いを持つ方々をコミュニティに集めていると思います。
生活者とメーカーの間にある情報の非対称性
──最後に、皆さまの展望と読者へのメッセージをお願いします。
中西:生活者との共創は、Club fibonaによって大きく前進しました。メーカーと生活者の間には、どうしても「情報の非対称性」が存在します。私たちはClub fibonaを通じて、この非対称性を解消したいです。アセットを持つメーカーからの一方的な提供にとどまらず、もう一段レベルを上げた活動が将来的な目標です。
小堀:Club fibonaが生活者との対話の起点となり、ここから生まれた商品やカルチャー、場が「Club fibonaだからできたよね」と言われるような存在にしていきたいです。

石垣:これまでは、Club fibonaに参加する方をどう温めるか・定着させるかに注力してきました。今後は、新しく入ってきた方と長く参加している方の熱量の調整など、一歩先の施策にも挑戦したいです。
黒田:fibonaの名前の由来である「フィボナッチ数列」は、常に黄金比に近づこうとしながらも、完璧にはなりません。その未完成さを愛で、調和を求める姿勢がClub fibonaの活動なのだと感じました。コミュニティを立ち上げる前は「うまくいくのか」「やる意味はあるのか」と不安になる方も多いと思いますが、資生堂様のお取り組みからコミュニティのインパクトは十分に伝わると思います。ぜひ多くの企業で取り組んでみていただきたいです。

コミュニティ活用についてもっと知りたい方は
書籍では、コミュニティの立ち上げ方が詳しく解説されています。具体的なノウハウを学びたい方は、ぜひお手に取ってご一読ください。

