位置情報を基に近くの店舗と行楽スポットを提案
ほかには、位置情報を活用した企画「私をお花見に連れてって」も展開。近畿圏の花見スポットを特設LPで紹介し、ユーザーがスポットに近付くと、最寄りのほっかほっか亭を報せるプッシュ通知がアプリに届く仕組みだ。裏側ではBrazeが活躍している。弁当と花見の組み合わせを自然に提案するこの企画は、約1万2,000PVを記録した。
これを横展開した企画の第二弾が「私を花火に連れてって」だ。全国58ヵ所の花火大会の運営事務局から許可を取得し、全国規模の企画に拡大した。エリアごとに使えるクーポンも配布することで来店を促進。その結果、約5万PVと前回を大幅に上回る成果を上げた。
「ランキングで自分の順位を見たり、自身の近くにある花火や花見のスポットが届いたりすると、家族や友人につい話して共有したくなります。1to1の施策は、自然と話題化につながる設計になっている点も特徴です」(佐藤氏)
個別最適化された体験が口コミや拡散を生み、新しい顧客をCRMの循環に引き込む好例と言えるだろう。
ほっかほっか亭がBrazeを採用した理由について、平尾氏は「豊富な機能とサポート体制の厚さ」を挙げる。
「ジオマーケティング、条件分岐による個別メッセージング、マルチチャネル配信など、理想の1to1マーケティングを実現するために必要な機能がBrazeには揃っています。加えて導入・運用のサポートが充実していたため、導入後はスムーズに立ち上げることができました」(平尾氏)
Brazeの佐藤氏は、自社の強みを次のように語る。
「おもしろい企画があっても、データ連携が複雑で実現できないケースは多いです。その壁を突破する強力なプラットフォームを、当社では年間200億円規模の費用を投じて開発しています」(佐藤氏)
5つのマーケティングステップでPLを改善
マスマーケティングを控え、新戦略に基づいて全リソースを話題化と1to1コミュニケーションに集中投下した結果、ほっかほっか亭は広告宣伝費を前年比50%に抑えながら、既存店舗の売上で昨対比120%を達成。PL(損益)面で大幅な改善を実現した。
同社のマーケティングシナリオは大きく5ステップで構成される。入口のステップ1では話題化によってブランドの認知獲得を図り、ステップ2でアプリへと誘導。ステップ3ではアプリを基盤とした1to1施策を通じて来店・購入を促し、ステップ5でファン層を拡大する。このシナリオでマーケティング施策の費用対効果を最大化させているという。

ほっかほっか亭では2026年2月より「カスタマイズ弁当」を販売している。弁当に唐揚げやかき揚げなど好みの惣菜をトッピングして注文できる商品で、惣菜の組み合わせは数億通りに上るという。これも1to1施策の一環だ。
「カスタマイズ弁当によって、お客様一人ひとりの好みが精緻なデータとして当社に蓄積されます。そのデータが1to1マーケティングの精度をさらに高めるはずです」(平尾氏)
現在はマーケティング部が中心となって活用しているBrazeだが、今後は営業部門とも連携し、個店レベルで1to1施策を展開することも視野に入れているという。
「『話題化=新規獲得』『CRM=継続購買の促進』と単純に切り分けるのではなく、CRMを通じたワクワクする顧客体験が話題を生み、その話題が新たな顧客をアプリへと誘い込む。この循環が重要」と平尾氏。今後も試行錯誤を重ねながら、理想の形に近付けていきたいと展望を語った。

