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イベントレポート

飲料カテゴリーの境界を溶かしポートフォリオ拡充へ サントリー「新価値創造プロジェクト」方針説明会

技術的ハードルの克服と「おいしさ」へのこだわり

 サプリメント成分を飲料化するにあたっては、特有の技術的課題があった。三谷氏によれば、ロコモアに含まれるアンセリンやコンドロイチンといった軟骨・筋肉由来の成分には一定の臭みがあり、これを飲料としておいしく仕上げるためには高度なマスキング技術が必要であったという。同社は独自のフレーバリング技術や酸味料の使いこなしにより、ロコモアWATERで日常的にゴクゴク飲めるスッキリとしたレモン味を実現した。

 またセサミンについては、本来水に溶けにくいという素材性質がある。そのまま添加すると分離してしまうため、原料メーカーと協働してセサミンを飲料に馴染ませる乳化技術を確立した。さらに、現代人に不足しがちなカルシウムやマルチビタミンを加えたヨーグルトテイストに仕上げることで、セサミン1000の飲料としての満足度を高めている。

 これらの開発期間は約1年と、従来の飲料開発と比較してスピーディーに進められた。三谷氏は「サントリー生命科学研究所の成分知見と、新価値創造部の飲料化技術を持ち寄った結果」と、グループを挙げた連携の成果を強調した。

1,000万ケース級ブランドの創出を目指す

 新価値創造プロジェクトは、単なる既存商品の穴埋めではない。大塚氏は「生活者のインサイトを捉え、カテゴリー再編を促すようなサブカテゴリーを創造していきたい」と語る。その究極の目標として掲げられたのが、年間販売数量1,000万ケースという高いハードルである。

 飲料業界において1,000万ケースを超えるヒットは、生活者の購買行動や習慣に大きな変化をもたらしたことを意味する。大塚氏は、かつてクラフトボスが市場に与えたインパクトを例に挙げ「想像以上のお客様の変化と需要創出につながる可能性がある。そうしたインパクトを残せるプロジェクトを生み出していくのが私たちの志」と述べた。

 今回発表した飲むサプリシリーズは、特定のベネフィットに特化した商品であるが、大塚氏は「飲むサプリというコンセプト自体に広がりがある」と見ている。同社が保有する膨大なサプリメント資産や技術を順次拡張していくことで、個別の悩みを持つ生活者それぞれに価値を届け、その集合体として巨大なブランド群を形成していく構想である。

 サントリービバレッジ&フードが挑む「新価値創造」は、飲料というカテゴリーの物理的な境界線を、生活者の本質的な欲求という熱量で溶かしていくプロセスそのものであると言えるだろう。国内における人口減少や市場の成熟化という逆風の中、同社のこの挑戦がどのような実を結ぶのか、マーケティング業界のみならず多方面からの注目が集まっている。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2026/04/09 07:00 https://markezine.jp/article/detail/50640

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