5年間で国内大手企業50社への提供を目指す
説明会では、実際にCWAを推進している日本企業の具体例が紹介された。特に注目されたのは、コスモエネルギーホールディングス株式会社と王子ホールディングス株式会社の事例である。
コスモエネルギーホールディングスの「全員参加型」DX
同社では、6,000名の社員のうち5,000名が日常的にDomoを利用し、データに基づくオペレーションを行っている。CDOのルゾンカ典子氏は、データを物事を測る「ものさし」と捉え、全社的なデータ活用を推進することでDX銘柄の選定も引き寄せた。
王子ホールディングスのスピード感ある全社展開
同社では、わずか2ヵ月で経営者向けダッシュボードを構築。その後、グループの全社員一人ひとりがデータを活用できるよう、1万人規模の従業員にトレーニングを実施した。伊藤氏は成功の鍵を「成功事例を増やしたことではなく、成功を全社展開できる『設計』に変えたこと」にあると分析した。
具体的には、PoC(概念実証)による小さな成功を単発で終わらせず、3ヵ年のCWA計画へと落とし込んだ点が重要だという。教育を定着のための中核施策と位置づけ、ロードマップに沿って計画的に進めることで、組織全体への浸透を可能にした。
ドーモは今後5年間で、国内の大手企業50社に対してCWAを提供することを目標に掲げている。単なるソフトウェアベンダーの枠を超え、コンサルティングと運用代行を組み合わせた「人」と「技術」の両輪で、日本企業のデータドリブン経営を支えていく構えだ。
AI時代の「BI不要論」に対するドーモのアンサー
プロダクトイネーブルメント部 マネジャーの塩谷風氏は、米国で開催された年次カンファレンス「Domopalooza 2026」で発表された最新機能を解説した。
最新アップデートの目玉は、外部AIエコシステムとの連携を強化する「Domo MCP Server」と、AIエージェント構築を支援する「AI Agent Builder」である。
Domo MCP Server
Model Context Protocol(MCP)に基づき、ClaudeやGemini、ChatGPTといった外部AIアシスタントから、Domo内のガバナンスが効いたデータへ安全にアクセスすることを可能にする。単なるテキスト応答だけでなく、AI経由でワークフローの起動やダッシュボード生成も可能になる。
AI Agent Builder
企業独自のデータを用いた課題解決を支援するAIエージェントを構築するためのフレームワークである。
AIの台頭により、従来のBIは不要になるのではないか。この疑問に対し、塩谷氏は次のような回答を示す。
「データ活用を全社に浸透させたいなら、共通の指標をダッシュボードという固定化された画面で見る習慣もそれはそれで必要です。逆にアドホック分析(スポット調査)など、個人で行う分析はAIに寄っていくでしょう。Domoは個人のAI活用から組織横断のAI活用までを総合的にカバーできる業務プラットフォームだと認識しています」(塩谷氏)
質疑応答:顧客企業のマーケティング部門への支援内容
質疑応答では、CWAコンサルティング統括部から顧客企業のマーケティング部門への支援内容についても言及された。川崎氏は「一昔前のようにデータがマーケティング部門内に閉じてしまうと、経営層やセールス部門にその価値が伝わりきらない」という課題を指摘。特にセールス部門が不可欠なBtoBビジネスにおいては、部門を横断してデータを統合し、CPA(顧客獲得単価)への寄与度を可視化することが、経営側の正しい投資判断に直結するという。
川崎氏は自らの立場を例に挙げ「マーケティング予算の承認や配分は、Domoのようなツールがなければ正確に行えない」と明言。単なるマーケティングファネルの分析に留まらず、事業全体のファネルにマーケティング活動を落とし込むことで、予算増額のリクエストに対しても「その投資が本当に正しいか」を経営サイドが明確な数字で判断できる状態を目指せるためだ。CWAコンサルティング統括部は、こうした部門間のデータの接続を担い、ビジネス成果の最大化を支援していく。
