アクセスログ解析タイプのメリットとデメリット
だいぶ長くなってしまいましたが、次に「ページに解析用のタグを埋め込むタイプ」の説明に移りましょう。このサービスを利用する場合のメリットは、まず解析の手間がかからず、非常にお手軽に行えるという点にあります。
利用する側は、サービスに登録し、指定されたHTMLのタグをページに埋めこみさえすれば、あとは勝手に記録を行ってくれるので、解析結果のページにアクセスすれば、リアルタイムに近い形でアクセスの状況を見ることができます。
また「取得可能な情報」という観点から言っても、このタイプは、アクセスログを利用するよりも、Webサイトのアクセス向上やマーケティングに有用な情報がいくつも取得できるようになっています。
例えばクッキーを使うことで、アクセスしてきた個人を特定することが簡単にできますから、アクセスして来た人が最初にアクセスしたのはどのページで、どういう順番でページを見て、最終的に何ページ見たのか、といったこともきちんと解析できます。
解析用のタグには、JavaScriptや画像を貼り付けるための「Imgタグ」が利用されます。とくに、JavaScriptを使っている場合(現在のアクセス解析サービスでは、JavaScriptで解析を行い、JavaScriptが実行されないときにのみ、imgタグを利用するケースが多いのですが)、そのページを閉じたり、別のページに移動したときの時間を検知して、どれだけの間、そのページに滞留したのかを図ったり、どのリンクをクリックしたのか、というリンクの場所(例えば同じURLへのリンクが複数張ってあったとしても、そのどちらへのリンクが判別可能)などを解析することも可能になっています。
ほかにも、アクセスしてきた人のうち、Flashムービーを利用できる人がどれくらいいるのかとか、さらには利用者の画面のサイズまでも解析可能です。ただしこれはあくまで技術的に可能ということであって、利用するサービスによって、どこまで対応しているのかは異なります。
また、利用するサービスによって、得られる解析結果が制限される場合がある点も「ページに解析用のタグを埋め込むタイプ」のデメリットと言えるでしょう。サービスが無料か、有料か、といったことによっても異なりますが、例えば解析可能なページ数が100ページまでと決められていたり、記録可能な1日のアクセス回数に制限があるなどといったことがあげられます。
さらにこのタイプのアクセス解析では、アクセスを記録できるのは、画像やJavaScriptをきちんと解釈するブラウザからのアクセスのみです。検索エンジンのクローラーをはじめ、自動的にWebページを巡回してデータを取得するタイプのロボットからのアクセスは、まず記録できません。
もちろん、最も重要なのは人からのアクセスですから、むしろそれ以外のアクセスがはじかれることで、実際に人が見ているアクセスだけが記録できると考えることも可能です。ただし、クローラーがどのページにどれだけの頻度でアクセスしているのか、といったことは知ることはできなくなります。
そして、解析用のタグを埋め込んだページしか解析できない点も、デメリットの1つと言えるかもしれません。これは当たり前のことのようですが、ページが増えるたびに、忘れずにタグを埋め込む、ということが必要になります。「サーバに記録されたアクセスログを解析するタイプ」ならば、何もしなくても、新しいページへのアクセスもきちんとログに記録されますから、手間がかかりません。