任天堂×はてなの強力タッグ
「うごくメモ帳」は、DSiのタッチパネルやカメラ機能を利用して、パラパラ漫画のように動く手書きメモを簡単に作成できるソフトウェア。DSiにダウンロードして利用する「ニンテンドーDSiウェア」のひとつで、12月24日に無料配信が開始される。
うごくメモ帳のユーザーは、DSiのWi-Fi機能を利用して、自分が作成したメモを「うごメモシアター」に投稿することができる。うごメモシアターは、はてなが開発・運営するDSi用のコミュニティサイト。ユーザーは、投稿されている作品を自由に閲覧でき、お気に入りのメモには★マークを付けることができる。★がたくさん付けられたメモは、サイト上で「おすすめ作品」として表示される。
投稿されたメモは二次利用も可能。公開されているメモをダウンロードして、新しい内容を書き加え、別のメモとして投稿することができる。このとき作品の親子関係は記録されるので、派生作品をたどることも可能になっている。ただし、作品を投稿する際に「創作者ロック」をかけておけば、自分以外のユーザーはメモを編集できない。「うごメモシアター」の利用は無料で、利用制限なども設けられない。
はてなではまた「うごメモシアター」に対応するインターネット上での公開サイトとして、新サービス「うごメモはてな」も発表した。すでに18日にプレオープンしており、24日の正式オープンまでは、はてなや任天堂のスタッフなどによるデモ作品を閲覧することができる。
UGCを生かしたサービス
「うごメモはてな」では、誰でも自由に投稿作品を閲覧でき、新着順および人気順(付けられた★の数)に掲載された「みんなの作品」のページが用意されている。作者ごとに作品を一覧表示したり、二次製作の親子関係にある作品を順にまとめて見ることも可能。さらに、はてなユーザーとしてログインしていれば、「うごメモシアター」と同じように作品に★を付けることができるだけでなく、作品にコメントを付けることもできる。★やコメントを付けた作品は、ユーザーの「マイページ」で一覧表示できる。なお「うごメモはてな」での★には「はてなスター」の仕組みが利用されている。
個別の作品は、はてなが提供する「はてなダイアリー」をはじめとする各種ブログサービスに貼り付けることができ、作者ごとの作品一覧も、ブログパーツとして提供されている。作品または作者それぞれの個別ページから「ブログに貼る」をクリックすることで、貼り付けタグが表示される。
「うごメモはてな」はPC向けインターネットサイトだけでなく、モバイルサイトも用意されているほか、WiiやDSiのインターネットブラウザでも閲覧できる。はてなでは、さらにうごメモはてな経由で新規登録したユーザーと、うごメモをブログに貼り付ける機能の利用者を対象に、ニンテンドーDSiがあたるオープニングキャンペーンを実施している。応募期間は2008年内いっぱいまでだ。
協業のメリットは?
今回の協業においては、ソフトウェアもサービスも無料であり、資金提供などもないため、双方ともに直接的なメリットを収益には置いていない。はてなの近藤社長は「任天堂といっしょにできること」自体がメリットだ語り、これまではリーチできなかった幅広い層を新規のユーザーとして取り込むことを狙っている。
一方、任天堂の小泉歓晃プロデューサーは、うごくメモ帳のような「エディター系の広がりがある遊びは、大事な方向性」だとし、「インターネットで自由度の高いUGC(ユーザージェネレイテッドコンテンツ)を扱うのはノウハウが必要」であるため、はてなのようなソーシャルメディア的な展開をしているITベンチャーと協業したという側面があるようだ。
また、UGCのノウハウを持つベンチャーの中でも、とくにはてなを選んだのは「任天堂と似た雰囲気がある」ことを挙げ、企業カルチャーの親和性も要素としては強いようだ。そういった経緯については、任天堂とはてなの双方が、自社ウェブで社長インタビューとして公開している。
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