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モバイル広告大賞に入賞した、慶大生二人が見つめる広告の未来


 慶應大学生の2人が企画したモバイルSuicaの普及促進企画「オトノリ」は、自動改札を自分好みのサウンドで通過できるプロモーション企画だ。この企画の実施により「第7回モバイル広告大賞」に入賞した2人に、企画の背景や、学生から見た広告ビジネスの将来について聞いた。(この記事は、『「モバイル」を極める 広告・集客・サイト運営の大原則 BOOKMARK 002』の転載記事です。この本のお買い求めは、こちらへどうぞ。)  

改札がスイカップのお姉さんだったら…「オトノリ」誕生のきっかけ

 「モバイルSuicaを利用することで自動改札を自分の好きな音で通過できる」。「オトノリ」と呼ばれるこの企画は、ジェイアール東日本企画が主催した学生向けの企画コンテスト「jeki企画コンペティション2007」向けに、慶應義塾大学の鈴木雅陽氏と六反孝幸氏の2人が考案し、最優秀賞を受賞した企画だ。

 その後、一日限りではあるが、JR東日本の体験イベントとして実施され、「第7回モバイル広告大賞」のマーケティング部門にも見事入賞した。学生ならではのアイデアと、ビジネスマンさながらのマインドを持つ鈴木氏と六反氏にオトノリ企画の背景から将来の広告ビジネスなどについて聞いた。

写真右は鈴木雅陽氏、左は六反孝幸氏

ゼミで出会い、応募を決意 

 鈴木氏は、商学部で消費者マーケティングを専攻し、現在は政策・メディア研究科に在籍し、口コミの研究を行っている修士。六反氏は、環境情報学部に在籍する4年生。この学部は専攻や学科はなく、ゼミに分かれて好きな研究を行っており、六反氏はインタフェースデザインとメディア研究のゼミに在籍。2人の出会いは、このメディア研究のゼミだ。ゼミの合宿で共同の企画を行い、その企画で特許申請もした。その後さまざまなコンテストに挑戦する中で、「jeki企画コンペティション2007」の存在を知り、応募を決意。テーマは、大学生へのモバイルSuica普及促進だ。

「オトノリ」は、「大学生にモバイルSuicaを広める」という目的を達成するための企画として設計された。
改札を通過する際に自分の好きな音が鳴るしくみを提案した
「オトノリ」は、「大学生にモバイルSuicaを広める」という目的を達成するための企画として設計された。改札を通過する際に自分の好きな音が鳴るしくみを提案した

「スイカップ」×「モバイルSuica」

 六反氏は当時を振り返り、「僕はずっと屋外のインタラクションメディアの研究を行っていましたので、応募しようと思いました。鈴木さんに『スイカップやりましょうよ。スイカップ!』言って。この企画は、胸の大きな女の人にSuicaをあてると『ぷるるん』といったリアクションや、何かせりふを言ってもらうという販促キャンペーン企画です。僕はどちらかというとアイデアを出すのが得意で、鈴木さんはロジックを組み立てるのが得意。右脳と左脳みたいな関係です。それでこのアイデアをうまくロジックにまとめてもらえないかなと思いました。スイカップのお姉さんと仲良くなりたかったし」と語った。

「携帯」=「アイデンティティ」

 一方、鈴木氏は、「『スイカップ』企画は彼(六反氏)が冗談で考えてた企画で、オトノリ企画に直接影響を与えたわけではありません。まあ、彼は『スイカップ』企画が頭から離れなかったのか、『自動改札の隣にお姉さんもいてほしい』と最後まで言い張っていましたが…。企画のコンセプトを詰めるにあたって、まずSuicaとモバイルSuicaの違いは何かを考えました。その過程で通話、メール、アドレス帳など、自分に関係する情報が入っている携帯は、自分のアイデンティティを表現するツールだと気づき、『モバイル=アイデンティティ』という結論を導きました。そこから、アイデンティティを表現できる手段として『音』と『アバター』のふたつが候補に挙がり、結果として、『音をカスタマイズできる改札』というアイデアにたどり着きました」と企画が生まれた経緯を説明してくれた。

 では、音を選択した理由は何かあるのだろうか?

 六反氏は「Suicaは500円で『キップのない生活』を実現させますが、モバイルSuicaは500円払ってまで使いたいとは思いません。つまり現在のモバイルSuicaにはそれだけの魅力がないので、視点を変えて『便利さ』ではなく『面白さ』訴求をすべきじゃないかと思ったのが理由のひとつです。その他の理由もいろいろあり、二人で総合的に判断した結果、『音』になりました」と語った。  

 
改札を通過するたびにユーザーとモバイルSuicaのエンゲージメントは高まっていく。
利用者の視点ではオトノリを楽しんでいるだけだが、他者から見ると魅力的な広告媒体に映ることを狙った

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

 就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・翻訳ツールなど...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2009/02/02 15:05 https://markezine.jp/article/detail/6289

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