データ統合を行うために重要な4つの準備
登壇したのはフォレスターリサーチ社のアナリスト、スレッシュ・ビッテル氏。はじめにマーケッターに対して「各種データを統合して分析できるような製品が必要である」という調査を行ったところ、「どの業界でも80%以上が必要としている」という調査結果を紹介した。
しかし、現在は各種データを統合するための基準が無く、アドホック(暫定的)に繋げられている事を指摘。また、測定基準もツールごとにバラバラであり、いろいろなソースから来るため、多くの企業で非常に苦労しているという課題があるという。
そこで、同氏は正しいデータ統合を実現するために、4つのポイントを紹介した。
ポイント1:準備段階で事例を想定する
1つめは、「統合を進めるためのモチベーションになる、事例を想定する事」だ。
また、その想定する事例は「複数のプラットフォームをまたがる事例を考えることが、データ統合を行う事の1番のメリットなので、それと紐づけた方がよい」とアドバイスした。講演で紹介された事例とは「ダイレクトメールのクリエイティブやキャンペーンをWebサイトでも利用」「ユーザーとの接触方法と内容を最適化する」などが紹介された。
ポイント2:データソースと社内リソースの整理
2つめは、「データソースと社内リソースを調査する事」だ。
1つめのポイントであげた事例を現実に行うために必要なデータソースとその中で利用する項目を列挙。 そのデータを作成している人を把握し、そのデータにかかわる情報を入手することが大切だと同氏は強調する。ここで言うデータにかかわる情報とは、取得難易度・頻度・定義・正確性などが含まれる。
また、データ統合を実現するには必要なツールやスキルがあり、それらが社内に現在あるかの調査も重要である。具体的には 「データ統合ツール」「統合されたデータを分析するツール」「データモデリングのスキル」「集めた情報を理解し分析し、ビジネスに使える情報を抽出できるスキル」の4つを挙げた。
ポイント3:自社はデータ統合が必要なのかを調査
3つめは、「自分の企業がデータ統合を行う段階にあるか、またその可能性があるかを調査する事」だ。
講演の中では調査方法の1つとして、評価シートを紹介。
いくつかの質問に対して、「できていない」「できている」「よくできている」のどれかを選択する方式で、その合計点によって進めるか否かの判断を行える、という内容だ。質問例としては「データ統合を行うメリットを明確にし、それを理解してもらった」「必要なスキルやツールを入手あるいは購入するための予算を確保できた」「必要なデータのオーナーをすべて明確にした」「過去に似たような統合プロジェクトを行った経験がある人やベンダーを確保できた」などがある。
ポイント4:得意ジャンルから取り掛かる
そして、4つめは「正確かつ効果的な事例を作っていく事」だ。
これを実現する方法として、2つ以上のシナリオに取り組まず、自分がよく理解しているデータソースを活用し、集計および分析ロジックを常に改善していく事を挙げた。データ統合は反復が必要で骨が折れるが、多くの新しい価値を会社に提供してくれることを周りにも理解してもらうことも必要だ
ビッテル氏は最後に、リソースがそろうのであればすぐにでもチャレンジするべき、というメッセージを残した。