広告/マーケティングの専門情報サイト『MarkeZine』のリアルイベントである「MarkeZine Day」が本日始まった。2007年から数えると3回目の開催となる今回は、100年に一度の不況を乗り切るために、再注目されつつある「データ活用/分析」にフォーカスした内容のセッションを揃えている。
朝早くから多くの来場者が集まる中、トップバッターにマイクロソフト株式会社の保坂隆太氏が登壇。「本邦初公開!マイクロソフトのデータベースマーケティング」と題して、同社のデータベースマーケティングについて講演を行った。
昨今、徐々に注目を集め始めたデータベースマーケティング。しかし、先進的なIT企業であるマイクロソフトの中でも、その利用はまだ試行錯誤の段階にあるという。「データを扱うという基本的に地味な仕事。しかも、技術的に難解でとっつきづらい上に、短期間で結果が見えるものではないため、社内でも疑問を呈する人がいることは事実」(保坂氏)。実際、同社が国内で擁するデータベースマーケティングの担当者は、保坂氏ただ一人。ここにもそうした事情は現れているようだ。
社内的な認知が十分とはいえない状況ではあるものの同氏はデータマーケティングの重要性に確信を持っている。「データは、社内のさまざまなビジネスをつなげるための大切なもの。キッチリと活用すれば自分たちが考えている以上に、効果をもたらしてくれる」と同氏は言う。
講演では、保坂氏が実際にこれまで行ってきたデータベースマーケティングを紹介。例えば、「エンゲージインデックス」という定量化アプローチでは、「Web」「Event」「Newsletter」といったチャネルとその接触頻度、直近でいつ連絡をとったかというRecencyを元に指標を算出した。インデックスのスコアと購入金額を分析した結果、相関関係にあることなどを確認できたため、新たな営業アプローチが可能になったわけだ。また、別のデータマイニングアプローチでは、顧客リストの有効率を約10%向上させることに成功したという。
今後、データベースマーケティングを試みようと考える人々に対して、同氏は「小さな成功を幅広く積み重ねていくこと」が重要であるとアドバイスする。「現在、私がコミュニケーションをとっている部門は20以上ありますが、それぞれの部門でちょっとずつデータベースマーケティングの結果を出していく。『おっ、いいね』と思ってもらうことでファンを増やしていくことに取り組んでいます」(保坂氏)。こうした行動が奏功し、社内でのプレゼンスも向上してきているという。
また、マーケティング担当者が率先してITテクノロジーを活用していくことも重要だ。「マーケティングにおいてはスピードが重要になってくるため、ユーザ自身がロジックを開発していく必要があるでしょう。10年前と違ってコストや性能面でのハードルはかなり低くなりました。エンドユーザBIを行う環境は整ってきていると思います」(保坂氏)
保坂氏の基調講演に続いて、オムニチュア株式会社 マーケティング&チャネルプログラムディレクターの水嶋ディノ氏による「ROIを確実に高める5つのルール」、セールスフォース・ドットコム コーポレートセールス本部セールスディベロップメントディレクターの小関貴志氏による「B2Bマーケティング成功の鍵~情報価値の最大化を図るための仕組み」といったマーケティングROIの向上に関連するセッションが終日続いていく。