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Yahoo!プロモーション広告をマンガで理解!(AD)

APIの活用による広告システムの進化【前編】

規模の大小や業界を問わずさまざまな事業者が、APIを公開して他社との連携を図ることで新たなサービスを数多く生み出ているが、広告サービスでもこのような動きは活発化している。今回は、オーバーチュアAPIの事例を通じて、サービス開発・協業スタイルのヒントを探ろう。

※2013年1月29日よりYahoo!リスティング広告はYahoo!プロモーション広告に名称変更しました。

APIを通じた連携が広告サービスを活性化

 ネットサービスの進化にAPIを通じた連携が重要なカギを握っているのは周知の通りだ。規模の大小や業界を問わず、さまざまなサービス事業者がAPIを公開して他社との連携を図ることで、新たなサービスが数多く誕生している。「API提供事業者」「サービス開発事業者」「サービス利用者」の三者にWIN‐WINの関係が築かれ、インターネットがさらに豊かになるという循環が起きているのだ。「独占」から「共有」へとシフトしつつある現在の潮流を反映したとりくみだといえるだろう。

 「スポンサードサーチ」「インタレストマッチ」の広告サービスを提供するオーバーチュアも、自社サービスをAPIで公開している事業者のひとつ。オーバーチュアでは2008年8月よりAPIを一部のパートナーに公開していたが、現在は、その範囲を拡大している。

「テクノロジーソリューションポータル」(オーバーチュア)
スポンサードサーチAPI、インタレストマッチAPIの仕様やFAQなどを利用・閲覧できる

「公開するだけ」では何も生まれない

 具体的には、オーバーチュアのAPIはどのように活用され、どのようなサービスを生み出しているのだろうか。ここでは、オーバーチュア株式会社 テクノロジーソリューション マネージャー 小沼 剛氏と、本田 烈氏にお話をうかがった。

 「私どもが提供しているのは、スポンサードサーチとインタレストマッチの広告管理用のAPIです。APIの機能提供だけでなく、わかりやすいドキュメントを用意したり、サービス開発の打ち合わせに参加したりなど、一般的な『API公開』のイメージよりも深い範囲でのお手伝いも行っています」(小沼氏)

 APIを利用しているのは、オーバーチュアの代理店および自動入札ツールに代表されるツールプロバイダー。単なるプログラムを介したデータのやり取りという従来のAPI利用の枠組みを超えたパートナーシップを結ぶには信頼関係が不可欠と考える。パートナーになるには、APIを利用したビジネスプランの提示やヒヤリングなどを通じた審査が必要だ。審査にパスし「テクノロジーソリューションパートナープログラム」の契約を締結すると、次のようなサポートを受けることができる。

・ライセンスキーの提供
・テスト環境(サンドボックス)ライセンスキーの提供
・各種技術ドキュメントの提供
・開発キットの提供
・認定ロゴの使用
・ビジネスコンサルティングサポート
・技術サポート
・バージョンアップ時の各種情報提供

 「パートナーの皆さんからとくに評価いただいているのは、APIを使ってどういった形のビジネスを行うのかということまでを含めたトータルサポートを行なっている点です。一般的なものへと普及しつつある、APIを通じたサービス開発ですが、技術ドキュメントを提示して、『ここを見てください』と一方的にサービスを提供しても、豊かなサービスがすぐに生まれてくるわけではありません。データのやり取りをスムーズに行うための技術的なサポートはもちろんですが、効果的な広告出稿に関するノウハウ、これに関する広告主や広告代理店の問題意識やインターネット広告市場の動向など、技術の周辺への知見がないと、付加価値の高いサービスは作れません。そのあたりも含めて、できる限り深く、オーバーチュアのもつノウハウをパートナー各社にご提供しています」(小沼氏)

 確かに、技術的な出来・不出来はあっても、API自体は単なる道具。それをどのようにサービスとして具体化するかは一筋縄でいかない。コンサルティングを受けられるのは、パートナーにとって願ってもないことだ。テクノロジーソリューションの名の通り、パートナーの問題解決に重きを置いている。

 「パートナーとは密な連携を組み、サービスモデルの根幹から議論を重ねていきます。その結果、検索連動型広告の自動入札ツールや効果測定ツールはもちろん、基幹業務系のシステムと連携した自動出稿のしくみなど、先進的な成果も出始めています」(小沼氏)

在庫などの基幹業務系と連動した出稿システムも登場

 APIの面白いところは、これまでは個々で使われていたツールを繋ぐ、橋渡しの役割も担っていること。

 「数年前までは、効果測定ツールや自動入札ツールは別々に分かれて使われていましたが、最近では両者がAPIによってつながり、ハイブリッドのサービスが誕生したり、Webページの最適化サービスが作られたりなど、新たな動きも出てきています」(本田氏)

 オーバーチュアが重視しているのもこういった点だ。ノウハウを持つ事業者同士がうまく提携して互いの良い面を磨き合い、ひとつの統合した新サービスを生み出す……このような創造の歯車をスムーズに回すために、パートナープログラムは機能している。

 「APIには色々な使い方がありますが、今までよく見られたのは、業務の効率化のための利用です。1,000以上の広告主を抱える広告代理店が、APIを用いたツールを作り、深夜の間に各社への報告資料を自動的に書き出すなど、ルーチンワークを軽減させるための利用法ですね。しかし最近は、戦略的な利用、例えば前述のような、サービスの付加価値を高めるための利用も増えていますので、今後はますます私たちからのサポートにも高度なものが求められるようになるでしょう」(本田氏)

 オーバーチュアは、広告技術の活用をこれまでも重視し、一部代理店へAPI以外にもユニークなかつ高度なサービスも提供している。オーバーチュアが提供しているECサイト連動型のサービス(カスタムインプリメンテーション)もそのひとつ。実際に同サービスを導入している日本最大級の古本通販・買取サイトである「eBOOKOFF(イーブックオフ)」を運営するネットオフ株式会社の例を聞いてみた。

在庫連動・自動出稿システムなど先進的な取り組みで成果をあげる
「eBOOKOFF(イーブックオフ)」のWebサイト

 「カスタムインプリメンテーションでは、、ECサイトの商品と直接連動した広告出稿・管理を実現する先進的な取り組みが行われています。1日に大量の在庫を入荷するなど、大きな流通を行う企業で、入荷の翌日には、検索連動型広告に反映されるしくみを実現されています。物流とマーケティングが一本で繋がっているわけです。売価を高く設定することが難しいビジネスであり、CPAへの要望もシビアなので、リアルタイム性を重視した在庫との連動を実現する広告システムを作り上げている点が画期的ですね。これまでは売れなかった本まで売れるようになったとの声もいただいており、新規性だけでなく、実際の成果にもつながっている点も、嬉しい限りです」(小沼氏)

 検索連動型広告を利用する広告主も増えたため「このキーワードなら広告を出しているだけで利益が残る」というような出稿が難しくなって久しい。また、この不況の折、広告の費用対効果への要望は厳しくなるばかりだ。そんな中、省力化・効率化や一層の効果改善を実現する広告技術には、広告主も代理店も注目している。オーバーチュアのAPIをベースとした新しいサービスには、一層大きな期待がよせられるだろう。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2010/02/25 19:50 https://markezine.jp/article/detail/7623